話は7月まで遡るのですが、ドイツで開かれたHam Radio 2002に参加した折に現地で活躍されている日本のハムの方々にお会いする機会がありました。JAIG(確かJapanese Amateur In Germany)という団体をつくられて定期的に会合をもたれたいるのですが、ハムラジオのイベントの時はご都合の付く方のみが参加されているようです。

フリードリヒスハーフェン郊外で見かけたアンテナ

話は当然、日本とドイツのハム事情に及ぶのですが、どなたも一様にアンテナの苦労を述べておられました。特別の法律等は無いとのことでしたが、それでもハムの近隣の人からクレーム(アンテナの柱が見苦しいとか危ないとか)があると、まずはアンテナを撤去しなければならないとのことで、当然ながらほとんどの市街地では大きなアンテナの建設は難しいという話です。  

私も昨年ツアーでドイツ各地を訪問したのですが(主に観光地ですが、バスツアーなので通りすがりに大小の町を見ることになります)アマチュアの性でついつい目はアンテナと思しきものを追い求めています。しかしながら10日間に及ぶ旅行中にまずアンテナらしいアンテナにお目にかかれませんでした。  

都市の美観ということで、ドイツに限らずヨーロッパでは、アンテナの建設にかなりの制約があって、はたしてと思われるのですが、それにしても数多くコンタクトしているヨーロッパの局はどこにいるのでしょう?日本よりハム人口は少ないし、ある意味で土地は広いですから、まばらなことはわかりますが、それにしてもアンテナを見かけません。  

フリードリヒスハーフェン滞在中に町の郊外に出る機会があって、そこでアンテナらしいアンテナを見かけたのですが、それにしても高さはせいぜい10mほどで、日本の各地で見かけるビッグアンテナから見ると極めてつつましいものです。  

なんでも大きなアンテナを建ててDXをガンガンやるには郊外の人家の少ないところに別荘を持ってそこでやるしかないという話でした。もっとも日本に比べると土地代も安いので日本人だったらまず真っ先に考えそうなことです。(隣が見えるような日本の別荘地を想像してはいけません。Hi)

日本のハムフェアでNT1Nデビット・パットン氏が「アメリカのハム事情」という講演を行うのでお手伝いをしたのですが、彼の話の中でもアンテナのことが結構大きな比重を占めていました。日本に来るアメリカのハムがまず驚くのは新幹線等に乗ったり、高速道路を走っていて、次々と大きなハムのアンテナを目撃することで、その密度や規模の大きさに驚かれているようです。  

JA4KKW局の巨大アンテナ5エレ3段スタック

アメリカでは法律によってアンテナが規制されていて、こちらでもほとんどの都会でまともなアンテナが建てられないという話です。アメリカについても一昨年東海岸を中心に約2,700kmのドライブをしたのですが、そこでもあまりアンテナを見かけなかったのは事実です。

おそらく道路沿いからは見えないような場所に建っているのでしょうね。パットン氏自身も有名なコンテスターでアクティブですが、彼はARRLの職員でありますが、やはりアンテナを求めてかなり遠くから通勤しているとの話でした。

しかしながら昨年の9月11日の同時多発テロ以降、アマチュア無線の非常時の貢献が注目され、多くの州あるいは町単位でアンテナ法が見直されつつある話です。アマチュア無線人口が衰退している減少の一つはこのような制限があるからでもあるのだろうとの話でした。  

こうやって見ると日本は本当に恵まれていて、アパマンハム(アパート&マンション)とはそれなりの制限があるものの、一戸建てであれば大小は別としてなんらかのアンテナの架設は可能ですから、ぜいたくはいえません。

しかしながら、日本でも最近は環境にたいする見方が厳しくなりつつありますから、いつまでも今のような状況とは限りません。既得権というといささか手前勝手かもしれませんが、まずはアンテナを建てて、ここにハムありと明示するのも一つの方法かもしれません。   (2002/9/7)

 
     

 
 
 

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