しばらく移動運用から遠ざかっていたようです。移動のスタイルは大きくわけて2種類になります。一つは本格的といえば本格的なもので、電源や宿泊設備のある場所に行ってアンテナを張り運用するもので、これがDXのレア―カントリー(エンティティ)などに及べばDXペディションと呼ばれます。  

私はごく気楽に移動するこの手のものにDXヴァケーションと名前を付けました。それこそ命がけで(事実この春に運用されたVP6へのDXペディションなどは、そのヴィデオを見ていますと、いまにもひっくり返りそうなラバーボートで母船と岸とを往復しています。

過去にはDXペディションで尊い命を落とした例も少なくありません)取り組むものは別として、海外のレンタルシャックを利用したり、手荷物に小型のトランシーバを入れ、おりたたみの簡易型のアンテナを持ってチョット南の島にというのは、どう見てもDXヴァケーションです。  

ツェッペリン博物館の前でJA1AYC(左)とJA1CVF(右) 2002年6月
昨年、一昨年と移動して運用したKH0(サイパン島)がその良い例です。しかしながら、日程や費用や、手間暇(手続きなどを含め)を考えると、それはやや本格的な移動に属するでしょう。  

もう一方はいわゆるお手軽移動です。通常は車に積んだリグ、アンテナでおおよその準備がととのいます。あとは気楽に出かけていって50局、100局といった程度の交信を楽しむものですが、そうはいってもあるルールがあります。  

まずは、 @どこで運用するか? Aどの周波数帯、電波形式をメインとするか?
Bどんな交信内容とするか?が分かれ目です。

運用地点は、まずついでというのがあります。丁度どこそこへ行く用があるので、その途中で一時的に休憩を兼ねて電波をだす。次にある目的を持った運用地点選びがあります。例えばJCC、JCG、AJAなどを対象とした運用で、これはなんといっても珍しい場所が優先します。日頃自分が運用していてなかなかめぐり合わないところなどを選ぶケースが多いようです。  

電波形式となると、人それぞれでしょうが、最近は町村を対象とした10MHzでの移動(もちろんCW専用ですが)があります。とりわけ土日には数多くの移動局が出没しますから目を離せません。交信内容も極めてシンプルで、まずCQを出す側は「自局のコールサイン+運用地点(多くの場合はJCC/JCGナンバーなど)を送出します。

呼ぶ方は固定局であればQTHの確認は後ですみますから、とりあえず「自局のコールサイン+RSTレポートのみ」これに対して移動局側からは「QSL(了解)+レポート」のみが送られて一交信が成立します。まことに味気ないといえばそれまでですが、町村ハントをしている側から見ればお手軽にいろいろなポイントと短時間に交信できることと、このような移動をしている局はまずQSLの発行が前提となっていますから、その確認すらいらないという誠に忙しい人向けの楽しみ方といえるでしょう。  

新しい市が誕生したりすると、いろいろなバンドがいちどきに賑わいます。得てして新市といえども案外そこで運用する人が少ないケースもあって、やはり誕生当日などに仕留めておくのが一番確実な方法です。まさに砂糖にむらがる蟻のようにワンワン、がさがさが一定時間絶えません。この新市運用をする側から見れば、呼ばれ続ける(いわゆるパイルを受ける)楽しさが期待されます。  

いつもは何度も呼んでは振られ、呼んでは振られしているものが、この時ばかりは舞台の主役ですから、充分にもてもて感が味わえるというものです。通常はいくつかのバンド、モード対応で運用するケースが多いのでまったくのお手軽という訳にもいきませんし、なんといっても後始末(大量のQSL発行)が残っていますから、それなりの覚悟と準備も必要です。  

いずれの運用方法にせよ、最近はリグもアンテナも工夫されてきていますから、二昔前の移動と比べると月とスッポンの差があるというものです。  

そんな次第で折からの振替休日に雨の中(もちろんついで族ですが)横浜の区部を2〜3サービスがてら運用してきましたが、1〜2時間で100局からの交信を数えました。半分嬉しく、楽しく、そして、はたして帰ってからはログの整理とカード発行の苦しみが待ち受けていました。 

*今回はすぐに適当な写真が用意できませんでした。後ほど写真等を入れて画面を入れ替えます。 (2002/9/18)
 
     

 
 
 
コラムNo.51の「果てしなき挑戦」ではアワードハンティングの楽しさや厳しさと共にアメリカの郡(カウンティ)を対象としたUSACA(USAカウンティアワード)に触れました。

アメリカのカウンティというとあまり馴染みが無いかもしれませんね。州が日本の県に相当すると考えるとカウンティはさしずめ北海道などの支庁のような感じです。それでもあの広い国ですから、いま総数3,077のカウンティが存在します。  

自分でもそのスコアブック(記録簿兼申請書)を入手したりして興味深深ではありましたが、なにせ数が多いものですから、ついつい中途半端なチェックに終わっていました。ところが最近このUSACA整理用のソフトを提供いただいて、それでは一度数えてみようかということになった次第です。  

3,077のカウンティの名前が州ごとに並べられています。この表に対象となる局のコールサイン、住所、交信年月日、バンド、モードを書き入れていきますと自動的に最新のデータ(○○カウンティ、○○局)の集計が出来上がります。(Excelを使ったソフトです)  

対象となるカードも多いので一挙にとは参りませんが、ぼつぼつと入力してはその時点時点の成果を楽しんでおります。交信はとっくの昔にやっていてもまた改めて数えると、それなりにエキサイティングです!!

前にもモービルハムのコラムでご紹介したかもしれませんが、そんなカード整理の合間に目についたQSLを2,3ご紹介したいと思います。  

最初のW8CC局ですが、ダブルコールという意味ではなくて、実はその所在地のカウンティ名にご注目いただきたいのです。どう読んでも Shiawasee County=「しあわせ」と読めるのです。日本でも「幸福駅」のように人気になった地名もありますが、これはUSA版で「しあわせ郡」というわけですから、一度訪れてみたい気にもなってきます。  

次ぎのW8RCM局のものはCWマンならウンとうなずくところでしょうが、なくて七癖、キーの打ち方も人それぞれ、そのスタイルにいみじくも名前を付けて紹介しています。

いわく「ひっぱたき屋」「おつまみ屋」等々です。もっとも最近はエレキーのマニピュレータが全盛ですから、縦ぶれ電鍵のエピソードも少なくはなってきたようです。  

最後のN0EL局ですが、Noelとはいわずと知れたフランス語の「クリスマス」です。0の数字をOと読ませてトータルでNoel。文字に雪をつもらせて正しくクリスマス気分。


コールサインをこれまで生かして、しかもデザイン化している見事な例でしょう。

誰にでもできるものではありませんけれど・・・  
たかがQSL、されどQSL。なにかにつけ繰り返して見るカードにそれぞれの味もあり、物語もあることをつくづく感じました。 (2002/10/2)

     
 
Copyright © 2004 QTC-Japan.com All rights reserved.