国境のない趣味、それがアマチュア無線でしょう。毎日のように世界の各地からのFBな信号を耳にするにつけ平和のありがたさをつくづく感じます。戦争ではありませんが、過日のニューヨークのWTC、ワシントンの国防総省への同時多発テロは、あまりにも悲惨な結果に終わりました。  

あの事件は多くの有能な方々の命をいとも無残にうばいました。まだまだ発見されていない多くの方々を思うにつけ、あらためてテロリズムに対する憎しみを感じざるをえません。WTCにはその最上部にTV局の送信所があって、多くのエンジニアが電波を送り続けていたのですが、その中にも我々ハムの仲間が居たのは当然とは言え誠に悲しいかぎりです。

N2SJJスティーブ・ジャクソンさん、WA2ACWビル・ステッツマンさんがいまだに行方不明です。事件発生と同時に駆けつけた警官のKA2TDボブ・シリーsrさん、WTCで働いていた保険業のAA1GOマイク・ヤコブさんも同様に見つかっておりません。事件からの経過を考えると時間的にもすでに亡くなられていると思われます。ご冥福をお祈りしたいと思います。

今アメリカを始めとする世界の国々が、このテロリズムの撲滅の為にいわば報復戦争を始めようとしています。心情的にはわかるのですが、また罪も無い多くの人たちが犠牲になると思うと実に複雑な心境です。国際的な争いばかりでなく、多くの独立戦争や、内戦などもたえまなく続いています。  

我々日本のアマチュアが戦後半世紀をほとんど平和裏にすごしてきたことすら奇跡的にも思えるのです。ひとたび戦争が始まると、その地域からのハムの電波が途絶えるのは言うまでもありません。

いま焦点となっているアフガニスタンの電波も久しく聞いておりません。写真のカードは1991年にイタリー人の男女のグループがアフガニスタンからT6ASと言うコールサインでオペレートしたもので、当時としてはまだ希少価値のある18MHz,24MHzと言うWARCバンドの交信でした。  

もう一枚のカードはパキスタンのAP2IZのもので、こちらは1979年に14MHzのSSBによる運用です。いまでもパキスタンからの電波は時折聞くことができますが、はたしてこのままの状態が続くかどうか大変心配です。  せっかく独立をめざしたパレスチナも、いまだにイスラエルとの争いが絶えません。とてもペディションとかの話ではないのです。せめて初めて議会を開催した東チモール(4W)が無事に完全独立を勝ち得ることを祈る次第です。  

つい数年前に訪れたニューヨークのWTCのツインタワーがもう無いとは本当に信じられない限りです。一日も早く世界の混乱が収まって再び電波が飛び交うことを願ってやみません。 (2001/9/15)

 
     

 
 
 

たまには画の無いコラムをお目にかけます。私の85歳になる母親がどこで見たのか面白い格言と言いますか言葉の遊びを日誌に書き留めていたのを見せてもらい、「うんなるほど!」と思わずうなずいたものです。もともとは「いろはカルタ」の話から始まって、昔の人はまったく良いことを言ったものだというやり取りをしていた折にふと取り出してきたものです。  

ひごろQSOを聞いていますと、まったく中身のないワンパターンのやり取りが多いのに気がつきます。実は自分もその一人で、自己嫌悪に陥ることすらあります。コンテストなども好きですが、最近は根気がないと言いますか、どうも最後までしっかり参加することもなくなりました。  

この「つもり違い」を読むにつけ、自分の行動や態度や、知識などあらためて反省させられるものがありました。果たして皆さんはどうお感じになりますか?  

高いつもりで低いのが教養   低いつもりで高いのが気位  深いつもりで浅いのが知識   
浅いつもりで深いのが欲の皮  厚いつもりで薄いのが人情  薄いつもりで厚いのが面の皮  
強いつもりで弱いのが根性   弱いつもりで強いのが自我  多いつもりで少ないのが分別  
少ないつもりで多いのが無駄
 

つまり「つもり」とは天気予報のようなもので、多分こうであろうと言う推測であり、実際とはきわめてかけはなれているケースが多いのです。  この「つもり違い」をアマチュア無線家の日ごろの「思い違い」にあてはめてみました。  

高いつもりで低いのがアンテナ=5mも高くしたはずなのに2−3軒はなれたら屋根の陰。  

低いつもりで高いのがSWR=ゲッ!どうしてこんなに飛ばないんだ!もしかして??  

深いつもりで浅いのがアース=アース棒と言ってもたかが3−40センチしか埋まっていないんですね。  

浅いつもりで深いのが変調=もう少しでもパワーを出したい、なんとかこのパイルに勝ちたいetc。  

厚いつもりで薄いのが人情=なんで俺だけ応えてくれないんだ!あれほど良く付き合っているのに!  

薄いつもりで厚いのが穴あけのパネル板=自作の時代にはいつも感じていました。  

強いつもりで弱いのがステー=大風でステーがはずれてしまった。ステーとは安定の意味なんですが。  

弱いつもりで強いのがJA10W=日本の10W局は実に強力ですね。とDXから良く聞くはなしです。  

多いつもりで少ないのがビューローからのQSL=この夏あんなに頑張ったのに、どうして??  

少ないつもりで多いのがRSレポート=一寸コールサインがアバウトだけどまあいいか。「UR59!」

まあこんなつもりが多いからこそ、人生楽しいのかもしれません。つもりがつもりであってくれれば良いのにと思うことも少なくありません。皆さんにも共感していただけるつもりでこのコラムをお届けしました。 (2001/10/7)

     
 
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