さて1万枚のカード整理の続編です。なにはともあれ1万なにがしのカードをそれぞれのエンティティ別に振り分けて山にしました。しかしながら、一つ一つのエンティティの山をつくるとなると(もちろん山とは言わず1エンティティで1枚のところもあるわけですし、まったくカードの無い(つまり未交信の)エンティティもありますが、今日現在では全世界には334のエンティティがありますから、床の上に334通りの固まりができるわけです。これも半端ではありません。前回書きましたようにスペースがなくてはとてもできない仕事なのです。  

334の山に仕分けられたカードの山

さて無事に?(と書きましたのは所属するエンティティのはっきりしないカードもかなりあるからですが)エンティティ別のソーティングを終えて、次のステップに進むことになります。

つまりエンティティごとに今度はプリフィックス別、そしてサフィックス別に並べ替えるわけです。これも前回書きましたように国によっては数多くのプリフィックスが使われていますので、それですら大仕事です。  

でも数は力と言いますか、応援の助けを借りてなんとか形がつきました。さてサフィックスの並べ替えと言いますと、これは皆さんが通常JARLビューローに送るカードを整理しているように、サフィックスをAAからZZ、そしてAAAからZZZの順に並べるのです。  

この作業も全部ではありませんが、かなりの部分応援の皆さんの力を借りて進行します。ところが若干潤滑油が効いてきたのか、それとも単調な作業の疲れからか、誰となくスピードがダウンしたり、中には「A、B、C] 「H、I、J」などと呪文を唱える人がでてきたのです。頭からはなんの抵抗もなく言えるアルファベットの順番が時として不確かになるのです。なにしろ数の多い話ですからしかたの無い話かもしれません。  

プリフィックス整理の話に戻りますが、日本のそれを整理するとなるとJA、JD、JE、JFとJSまで来て、更に7J,8J、8Nが続きます。(もちろん関東地方の場合にはその上に7K1−7N4が加わります)これがアメリカの場合にはプリフィックスの第一文字にA、K、N、Wと4種類も登場します。しかしながらもっと厄介なのは旧ソ連邦(通称Uゾーン)のケースです。  

ソ連邦の崩壊とともに、それまでの地方がそれぞれ独立した国となった結果、プリフィックスが大きく変わってしまったからです。今でこそアゼルバイジャンはエンティティリストでは4J、4Kと記されていますけれど、かってのそれはUDあるいはRD、それにUK6の次にDあるいはKで始まると言った具合に実に複雑怪奇なのです。
ファイルケースにプリフィックス、サフィックス別に分けて収まったカードの一部。最終的にはこのケースがなんと15個にもなってしまった


1万からのカードとなりますと、当然これらの古いプリフィックスのカードが多く含まれます。ひごろDXに親しんでいたとしても、この旧Uゾーンは結構やっかいな代物なのです。先のUK6で始まるカードであっても、UK6FとかUK6Oともなるとジョルジア(現4L)になりますし、UK6Gとくれば今度はアルメニア(現EK)と言った具合なのですからたまりません。  

カードを順番に並べ替えることで、一応作業は目的を達するのですが、どうせここまで来たのだから、この際すべて(と言ってもコールサインのみ)をデータベース化しようよ!と言う声が出始めました。なるほど、将来申請書などに書き起こすにしてもこれは貴重です。一枚一枚カードをくらなくてもプリントアウトされたそれを見ながら清書するのは誠に効率的です。と言う次第でカード整理に並行してパソコンに入力すると言う作業手順が加わりました。  

これだけの数のカードともなりますとかなりの重複が見られます。多い局とは実に十数枚ものカード交換をしているのです。果たして同一局1枚で計1万枚が達成できるか心配にもなってきました。でもパソコン入力することで、この重複問題もかなり解決しますので、大変な作業ではありますがメリットも少なくありません。かくして週も半ばになり作業は佳境を迎えます。 (2001/7/25)  

 
     

 
 
 

またまた前回のコラムの続きになります。さてどうやら1万余枚のカードの並べ替えが終わりました。と言ってもまだまだプリフィックス上の混乱とか、あとから出てきたカードの追加などもあって、最終的にはもう一度1万枚に目を通さなければならないかもしれませんので、この暑い夏場の仕事としてはぞっとしません。  

いまトライしようとしているのは「世界10,000局よみうりアワード」なる代物ですが、これが結構意地悪にできていまして、単に異なる局10,000枚あればよいと言う単純な話でもないのです。1万枚と言う条件に加えて次のような規定が加わります。すなわち1万枚には最低200カントリー(現エンティティ)が含まれていること。そして南極を含む7大陸からのカードがあること。まあ200エンティティをクリアするには南極大陸のカードの1枚くらいは含まれていますから(例えば8J1RL)ここまでの条件はとりあえずOKのようです。  

そして難問は次の規定、ITUゾーン70以上のカードが揃っていること! 実はよみうりアワードの一番の泣き所はこのITUゾーンかもしれません。日ごろWAZ(Worked All Zone)に関心のある方とか、いろいろなコンテスト(一番代表的なのはCQ Worldwide Contest)などに参加される場合にもゾーンナンバーが必要ですが、こちらはWAZを対象としてUS CQ社が定めた世界のゾーン分けが使われます。すなわち世界を40のゾーンにくぎった例のWAZゾーンです。ここでは日本はZone 25に属しています。(ITUではZone 45)  

WAZで大変なのはかってはゾーン23で、モンゴルに無線局がなく移動した運用頼りだったのですが、近頃は多少様相が変わってきています。むしろ政治的混乱の多いアフリカ大陸とか(こちらは局数も少なかったり、電波が殆どでていなかったり、プロパゲーションが開いていなかったりと、いろいろな意味で大変なのですが、同時にゾーン2も無視できません。カナダの一部であってもあまりアクティブな局もなく、移動するにも気候上の条件が悪くいつも聞こえてくる訳でもありません。  

ではITUゾーンと言うのはどうかと言えば、こちらはITUが定めた区分けで世界の大陸、島の所在地が全部で75のゾーンに区切られているのです。区分けが細かいので、一見QSOチャンスがあるようですが、日ごろはあまりITUゾーンを対象とした移動運用、DXペディションなども行われていないだけに別の意味で大変なのです。  

とりわけ問題となるのはロシアの極東エリアと中国、そして南極大陸です。QSLカードにWAZゾーンナンバーの印刷されているものは少なくありませんが、ITUゾーンはむしろ印刷されているものが少ないのです。したがって、ある局がどのゾーンに属するかを特定するにはその住所の判定からおこなわなければなりません。とりわけロシアともなりますと、有名な都市ならいざしらず、極東の田舎?ともなりますと、それがのっている地図すら容易に見当たりません。やっとその所在地がプロットできた時点で今度はITUのゾーン分けにしたがって緯度経度から判断すると言う複雑な作業が要求されるのです。  

もう1つやっかいなのは南極大陸でしょうか。ITUゾーン67、69、70、71、72、73、74と実に7つものゾーンが南極に属しています。この中で比較的分かりやすいのはサウスシェットランド諸島と昭和基地くらいで、その他のゾーンについてはほとんど地名も無い(実際にはあるようですが)ような場所だからです。こうなると南極から電波のでている各国の観測基地の所在を確かめるしかありません。  

さすがに8J1RLはITU67と明記されていて楽なのですが、その他の基地関係は良くて緯度経度の表示がある程度です。でもこの緯度経度は大事で、これさえわかればゾーンが確かめられます。例外と言えばここにご覧にいれるKC4AAAでしょうか。すなわち南緯90度、経度はなし。つまり南極点に他なりませんから、これは文句なしにITUゾーン74とわかります。  

全部で75のゾーンの内70ゾーンが必要とされていますから、わからない、めんどうくさいでは済まされないのです。お陰さまでロシアの地図とか中国の地図を買い込んだり、南極関連の資料をインターネットであさる羽目になりました。最終的にはなんとか1ゾーンを除いて目的をクリアできるような見通しがたちました。 (2001/8/5)

     
 
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