今年のハムフェスティバル(通称ハムフェア)は例年に比べて約1週間遅れの開催でした。初日の午前中こそ雨にたたられて入場者が少なくなるのではと懸念されたのですが、午後には天候も回復し、会場は多くの参加者で賑わいました。  

オープニングセレモニーでのテープカットのシーン

オープニングセレモニーはこれまた豪華絢爛で、折から横浜で開催されているIARU第三地域理事会の出席者の皆さんやお隣中国や韓国からの参加者に加えて、西アフリカはモーリタニア、太平洋の小さな島ピトケアンからも珍客を迎えて予定以上に盛り上がりました。

テープカットにはJARL原会長を中心にIARU副会長のVK3ADWワードロー氏、第三地域理事会議長のZL2AMJジョンソン氏、JAIA会長の中野氏、この度再び参議院議員に復帰された7M3URU小野氏、CRSA秘書長ワン・シンミン氏、KARK会長チュン・クック・ヒュン氏の7名によって行われました。  

JAIAフェアの呼称が無くなったのは寂しいかぎりですが、それでもJAIAコーナーにはICOM、KENWOOD、日本無線、第一電波工業がブースを出展、新しい機器の展示やデモを行ってくれました。これまでレギュラーだったスタンダード(旧八重洲無線)もビジネスコーナーに出展し、こちらも数々の機器が注目を集めていました。  

八重洲の新製品モーバイルベースステーションFT-897

ワールドコーナーには例年のようにDXCC・IOTAブースがもうけられ、こちらも連日大賑わいです。今年はARRLから有名なコンテスターでもあるNT1Nデーブ・パットン氏がかけつけてくれてJA1DM海老沢さんはじめJARL側の担当者と共にDXCCの受付やクレジットの照合に奮闘されていました。  

クラブ展示ではなつかしのリグを集めた「ビンテージ・リグQSOクラブ」、今年初めて出展のRTTY・PSKの愛好家のグループ「JARTS]ブース、あるいはおなじみの「SEA-NET」SSTVerの「JASTA」、「JARL-QRPクラブ」、衛星通信の「JAMSAT」なども元気に顔を連ねていました。  

10GHZのデジタルレピーターシステムの前でICOM井上社長
ハムフェアでなによりも嬉しいのは日ごろ電波で親しいけれど、顔合わせは初めてと言う仲間とのアイボールQSOでしょうか。そして数多くのOMとの出会いがあります。メーカーからも社長さん達が沢山参加され、しきりに自社製品の開発の成果をPRされていました。  

今年のハムフェアのテーマでもある「アマチュア無線とデジタル」に焦点をあわせた商品や参考出展なども数多くあって多くの方の関心を集めていました。  

これも人気の記念局は朝から大賑わい各バンドで記念運用が行われました。加えて今年はPSK-31によるデモンストレーションが行われたのですが(なにを隠そうオペレータは筆者でしたけれど)短い運用時間(約30分)にもかかわらずおよそ10局あまりとコンタクトができました。

おりから使用したリグは出力が10Wに固定されていたのですが、それでもUSAの局 3局との交信に成功しました。その内の1局はわずか 3WのQRP運用でしたが見事にメッセージがスクリーンに再現され、あらためてPSK31の解像力を確認できました。

JARTS日本アマチュアラジオテレプリンターソサエティのブース
前述のJARTSのブースにも多くの方がおとずれてRTTYやPSKモードの導入に際しての質問を寄せてJARTSのメンバーによる解説やデモを聞いたり見たりして大いに興味を持たれたようです。  

こうしてふれあいの3日間が無事終了しました。なんでも来年は会場が再び東京有明のビッグサイトにもどされ期間も 2日間に短縮されるとのことです。日程の短縮は若干残念でもありますが、また明年多くの方との出会いを期待したいと思います。

ハムフェスティバルが終わるともう秋です。昨日4日には富士山で初雪が観測されたとか。秋から冬にかけてDXが楽しめる季節になりました。どうぞFBなハムライフをお楽しみください。
 
     

 
 
 
故あって、と言うほどのものでもありませんが、ここ十数年來クランクアップタワーを使ってきました。お定まりの屋根馬から出発し、自立型の10mほどのタワーになり、最終的に現在のものにたどりついたのです。生来臆病ですから、とてもとても高いタワーの上での作業は想像できませんし、と言ってアンテナを補修したり、付け替えたりする度にローカルの手を煩わせるのもあまり気が進みません。  

アンテナ工事のやりやすさの他にもいくつか理由が挙げられます。関東エリアではあまり台風の被害はないのですが、それでも先日の15号のように、たまには直撃する場合もなきにしもあらずと言うことで、いざと言う時にクランクダウンできるメリットもあります。通常第一段の最上部には作業ステージがありますから、一人でアンテナをあれこれ動かすにも安心感があります。  

でもクランクアップはすべて良しと言うわけでもありません。あえてデメリットを挙げますと、上げ下げに労力を要する(これは多少高くつきますけれど電動にすることで解決できます)ステージごとの導通が良くないので、ローバンドのタワー給電には不向き。スローパーや逆Vなどのアンテナをつけるとクランクダウンするたびにエレメントがだらしなくとぐろをまいて誠に始末が悪いのです。

そして一番のなきどころはメンテナンスの部分でしょうか。タワーのメーカーによっては多少仕様も異なりますから、すべてではないにしても、なにしろ3段、4段のステージを上げ下げするのですから、そこには当然スライド部分があります。この動きをスムーズにするためにベアリングが入っているのですが、寒暖や強い日差しなどでどうしてもグリースがかたまってしまうのです。

従って最低でも年1回は動く部分へのグリースアップが不可欠です。几帳面な人にはなんでもないことでしょうが、これが意外と面倒なのです。暑い時や寒い時にはタワーに触れることもいやですし、かと言って丁度良い天候の時期はコンディションが良くて、ついついQSOに熱中するあまりグリーシングを忘れてしまうのです。  

私のタワーは都合4段でベアリングは3箇所に入っているのですが、四角のタワーを支える為に一箇所に付き8個のベアリングが使われていて、合計で24個になります。完全にクランクダウンした状態では、手の入りにくい場所があるものですから、ほどほどにクランクダウンした状態でグリースアップするのです。これがまた結構難儀で安全ベルトで身をささえながらタワーを回ると言う芸当が要求されます。  

大変重いタワーのステージを上げ下げするので、鋼のワイヤーにも気を使わなければなりません。上下の頻度が多ければそれだけワイヤーにも負担がかかります。時折ワイヤーに直接手を触れてささくれがたっていないかどうか点検しなければなりません。ワイヤーが切れもしたらそれこそ致命傷です。  

電動のクランクアップの場合には通常リモートコントロールが可能です。タワー下部にとりつけられたコントロールボックスから線をシャック内に引き込んで上げ下げするのですが、これが時として万全ではありません。すなわちタワーダウンするにつれ相当長の同軸ケーブルがたれさがるわけですが、見ていないと風などでなにかの突起物にひっかかったりしてモーターがそのまま回り続けるものならば、とんでもないことになるのです。  

同軸をささえるサポートアームが曲がるくらいですめばよいのですが、細い同軸では切断もありえますし、もっと他の部分の損傷につながるからです。そんな次第で最近はタワーの上げ下げはリモートにたよらずタワーの下のコントロールボックスからじかにオペレートして安全を確認するようになりました。  

でもこれらの注意やメンテを怠らない限りはやはりクランクアップはすぐれものです。平均的なものでも高さは20mほどかせげますから、これなら都会地であってもいらかの波からすこし頭をだしてアンテナの効きめを確保できますし、シーズンごとにアンテナの種類を変えて楽しむことも可能です。(ただしユーザーがどの程度こまめかににもよる)老齢化が進むハム界にあってやはりシルバーグッズの一つと言えるでしょう。 (2001/9/5)

     
 
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