目的の無いQSOではやがて飽きもくるし、長続きしないなんて一人前のことを並べてきておりますけれど、さて自分を振り返りますと、たいしたこともやっておりません。CWだけで全市と交信したとか、同じく50MHzのみでWACAを完成したとか言う話を聞くにつけ頭のさがる思いです。  

確かにある程度のロケーションに恵まれるとか、実力のあるリグやアンテナを備えていると言うのも条件の一つには違いありませんが、それはあくまで理想で、中にはアパマンハムながらベランダに取り付けたモービルホイップを使ってこつこつとこれらの目標に向かっておられる方も少なくありません。  

ただただのんべんだらりとコンタクトを重ねるだけならば毎日欠かさずオンエアーしていればよいのですが、ある目標を捕らえるとなるとそうも行きません。自ずと毎度のワッチにも熱が入ります。私自身も振り返ると40数年にもなってまだWACAもWAGAも完成できておりません。

WACAについては以前このコラムで書きましたように一度は東京都の羽村市を最後に完成にこぎつけましたが、元来のものぐささがわずらいしてアワードの申請に至らず、今年に入ってからはまたまた新市(白井市、潮来市、さいたま市など)が誕生し、幸い交信にはこぎつけておりますけれど、まだカードをコンファームできていませんから、結局いまだ未完成と言うなさけない次第です。WAGAに至ってはもともとあまり関心を持ってチェックしていなかったのが煩いしてハッと気がついたときにはバンド、モードに関係なくまだ10数郡をのこしておりました。  

丁度一昨年あたりから町村を追いかけることに熱中したのがきっかけで郡のハントも必然的に進んだのですが、いまもってまだ未交信の郡をのこしております。でものこりわずかになりますと人間変わるもので、毎日リグに火を入れる際の意気込みが違います。とりわけ週末ともなりますと全国津々浦々移動する方も多く、わけてもこの夏時期はふるさとへ帰郷したついでにサービス運用される方も少なくないことからチャンスがぐっと増えてきます。  

そんな次第で毎日が新鮮です。今日はどんな新しいところが聞こえてくるか?と各バンドのワッチにも熱が入ります。電話の交信では例外なく電波の発射地点(通称QTH)の紹介がありますから、たとえ移動局と言えども数回の交信を傍受していればその所在が確かめられるのですが、やっかいなのは電信で、良くてJCCとかJCGナンバーを打っていますけれど、固定局の場合にはそれも省略する場合があったり、電信で住所などを打っているのを聞き取って(ローマ字が多い)それを自分の未交信リストと照合するのも結構骨がおれるものです。1つだけ例外なのは10MHzで、こちらは電信だけのバンドと言うこともありますが、固定、移動を問わずに少なくも市郡ナンバーをつけてCQをだしていることが多いので助かります。  

私の場合には常時日本の白地図を手元においてワッチをしているので(交信済みのところはマーカーを使って塗り絵をしている)交信、未交信の実績がわかります。  

8月も頭のころ例によってたらたらと交信を続ける中で兵庫県豊岡市のJI3GDJ下田さんにお目にかかりました。なにげなく地図を見ていましたら、すぐ隣の京都府熊野郡久美浜町が未交信と言うことがわかりました。久美浜は一郡一町ですから、JCGの為には欠かせないポイントの1つですが、なぜかこれまでご縁がなくてまだ交信にはいたっておりません。  

いつもの例で「もし今後移動される時には県は異なりますが、お隣の久美浜町に行っていただけたら・・・」と言う願いに応えて下田さんは早速車をだして行っていただけると言うまことにラッキーな結果となりました。なんてでお住まいが県境なので車で20分も走れば到達するとのことです。  

21MHzでのコンタクトでしたから、コンディションの変わることが懸念されはしましたが、お言葉に甘えて待機することと相成りました。そして予定の時刻に間違えもなくJI3GDJ/3の信号が聞こえてきました。待ちに待った熊野郡です!そして数日も経ずにご親切にダイレクトでカードも送っていただきました。  のこりわずかとなりますと、特定の地点とのコンタクトはまさに体力、気力勝負ですが、このように時の運に恵まれることもあるのです。今日届いたからと言って明日届く約束のないアマチュア無線の世界だからこそ味わえる至福の一瞬です。  

JCCはこれからも町村合併などで増えますが、JCGの方は減ることがあっても増えることが無いだけに届かない夢でもありません。いよいよラスト1ポイントになりました。はたして次は気力が勝つか、運が勝つか?あるいは体力か?これだからハムが止められません。 下田さんからは移動地点を示した地図付きのカードを送っていただきました。 (2001/8/15)

 
     

 
 
 

今年もハムフェスティバル(通称ハムフェア)の開催時期が迫ってきました。お金を掛けすぎる。出展料が高い。駐車場が不便。もっと手づくりの味が欲しい。など等注文も多いのが事実でしょうが、いまや世界を代表するイベントの1つに定着しています。アメリカはデイトンのハムベンションドイツはフリードリヒスハーフェンのドイツハムショウと並んでIARU リージョン3(アジア・オセアニア地域)ではかけがえのないイベントです。  

そして今年は21世紀最初のハムフェスティバル。そのキャッチフレーズも「21世紀の扉を開けよう アマチュア無線」、テーマは時代にふさわしく「21世紀のアマチュア無線=アマチュア無線とデジタル」と銘打っています。

開催日が会場確保の都合でいつもより1週間ずれて8月32日から9月 2日となったせいでもないでしょうが、折から防災の日にも重なっているのですが、特別催事は「非常通信で社会貢献」となっているのも、このところややもすると衰退の兆候がなくもないアマチュア無線の意義を再度社会に問おうと言う意気込みでしょうか?  


例年のように日本アマチュア無線機器工業会(JAIA)の参加企業によるJAIAコーナーももうけられ、新製品等の展示が行われるのですが、今年はレギュラーのバーテックススタンダード(旧八重洲無線)がメンバーを抜けて寂しい感じがしないでもありません。またいつものJAIAフェアと言う呼称も消えています。これも時代のなせるわざでしょうか?  

いずれにせよ全国津々浦々からとは言わないまでも、各地からハムの仲間が集って一年に一度の再会を楽しむのもイベントの大きな目的の1つと言えるでしょう。  

かつて東京・晴海(はるみ)がハムフェスティバルの代名詞でもありました。東京の臨海開発と共に晴海もその姿をかえつつあります。かつての国際見本市会場もいまでは有明のビッグサイトと名称も一新し、年々開発が進むお台場地区のかかせない施設に変貌しつつありますが、我がハムフェスティバルはより会場費の安い、かつアクセスの良い横浜「みなとみらい21」地区に移って早くも 3回目を迎えることになります。今年こそまだ間に合いませんが、近年中には地下鉄の乗り入れもできてより便利になることでしょう。  

ハムフェスティバルの目玉の一つと言えば記念局「8J1HAM」の運用があります。毎朝早くから会場につめて順番を確保し、オペレートを楽しむ人、フェスティバル見学前に交信を済ませて出かけてくる人、あるいは見学を終えて家にもどってからコールする人。

中には要領よくハンディ機で場内からコンタクトする人などさまざまです。ハムフェスティバルには来れないけれど、毎年この記念局との交信を楽しみにしている全国の仲間もいます。幸いパシフィコ横浜(フェスティバル会場)は海際と言うロケーションに加えてアンテナの設置も過去の会場よりも条件が良く電場の飛びもFBなようです。  

毎年1.9MHzから1200MHzまで各種のモードで運用が行われていますが、今年は初めてPSK-31の運用も計画されています。これまではデジタルモードと言えばFAX、SSTV、RTTYに限られていたのですが、若干遅きに失した気味はありますが、新しいモードが登場することになりました。  

いまパソコンの普及やより良いソフトの開発によって数多くの方がこの新しいモードを楽しむようになっています。事実コンディションがよければごくローパワーでもDXが楽しめるこのモードは多くの方の関心を集めています。まだ予定ではありますが、金曜日(8月31日)の16:00ごろからHF帯の14MHz,21MHzあたりでQRVできる筈ですから、ご用意のある方は是非コンタクトしてください。  

同様に毎年土曜日の夕刻より行われる恒例の「アイボールQSOパーティ」も見逃せません。会費は5千円ほどかかりますが、飲み放題、食べ放題(ただしアマチュアの仲間ばかりなので、結構いそがしい争奪戦がくりひろげられますけれど)なによりもオールドハムや海外からのアマチュアの皆さんと親しく声を交わす機会でもあります。

今年もRegion 3の理事会が横浜で同時期に開催されるので、多くの外国のお客様と会えるのも魅力です。ややもすると同窓会的なニュアンスで受け取られ新しい方の参加がすくない感じですが、けっしてそのような主旨ではありません。どうぞ気軽に連れたって参加されてはいかがでしょう?  

私ごとで恐縮ですが、かつて実行委員会のメンバーの一人であった時に提唱し、実現した「リサイクルコーナー」もいまや目玉の一つになった感があります。普通の人から見ればただの鉄の塊であっても、我々ハムにとっては大切なリグが、それを必要とする人に良い条件で引き取られれば冥利に尽きますし、また新しい掘り出し物を発見する楽しみもあります。  

イベントコーナーの講演も見逃せません。ジャンクあさりで忙しいでしょうが、自分に合ったテーマを選んで、ベテランの講演を聞くこともぜひお勧めします。知らなかった新しいモードの話、電波障害の対策、あるいはアワードハントのこつや楽しみなど必ず収穫があることと思います。  

このようにハムフェスティバルの参加は、見る、試す、聞く、出会う、手に入れると実にさまざまな効用があります。残念にも遠くて参加できない方には申し訳ありませんが、このハム界最大のお祭を精一杯楽しみたいものです。会場でお会いしましょう! ご覧のQSLカードは上から1980年(晴海)1985年(同じく晴海=JAS-1が飛んだ年)1992年(晴海で最後のもの)1996年(有明ビッグサイトに移った年)の記念局のカードです。  

JARLの宣伝ぽくなってしまいましたが、決してそんな意味はありません。一人でも多くの方にお目にかかれればと心から願っております。 (2001/8/15)

     
 
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