メンコ集めがどうのこうのと言われても、いつまでも交信の証としてのQSLカードが欲しいのです。もちろんQSLカードの楽しみ(当コラム42,47,48)にあるようにカードの中味そのものにもいろいろと楽しみ方があるわけですが、やはり最終的にはどこそこと出来た、どこまで出来た、どの範囲をクリアしたと言うようにQSOの目的そのものにも繋がるからに他なりません。  

そしてその集大成とも言えるものがアワードでしょう。いつかもどこかで書きましたけれど、アマチュアのアワード(賞状)なんていたって自己満足的なものなのです。日本の全都道府県と交信したからと言って、仲間こそ「おめでとう!」と言ってくれるかもしれませんが、一般世間の方からみれば「ああそう!すごいね!電波ってそんなに届くんだ!」などは良い方で、ほとんどの場合「だからどうした?」と言うのがごく当たり前です。

でもこればかりはやった人、やっている人でなければわからない感激なんですね。日本国内ならさしずめAJDからWAJA、そしてJCC100と進み、次はWACA(全市交信賞)なりWAGA(全郡交信賞)となるのが一般的でしょう。もちろん中には、それを1つのバンドとか、1つのモードで完成させると言う楽しみ方もあります。  

同じWAJAでも複数のバンドで完成させるとなると、これは周波数帯にもよりますが、予想以上に厳しいものがあるのです。1つはロケーションとコンディションでしょうか。筆者などは関東地方ですら、比較的東西南北と交信しやすいようにも見えますが、これが結構厳しいのです。関東の県すべてと交信しようとしても周波数帯によってはなかなかできません。
よほど高いアンテナ、性能の良いアンテナでも使っていれば別でしょうけれど、所詮、グランドウェーブで飛ぶには限りがありますし、また通常は電波がスキップして思ったところに落ちないのです。  

またアマチュアのアワードの殆どが自己申告によるもので、決して誰かから自動的に与えられるものでもありません。手数料とか郵送料もかかったりしますから、もうこれは道楽以外のなにものでもありません。従ってアワードとは「よくやった!」と言うようなお免状と言うよりもむしろ、「やったことを証明します」と言う証明書の性格の方がより近いかもしれません。  何百枚、何千枚のカードを見せて、「どうだ!」と自慢する手もありますが、そこはスマートに一枚の紙に「これこれの内容の交信を完成したことを証す」とあった方がぐっとスマートな感じもします。  

泥棒さんと同じで世にアワードの種は尽きまじと言う感じで浜の真砂ほどもいろいろなアワードが発行されています。自分にあった目標を立てて挑戦するのもハムライフの楽しみ方の1つではないでしょうか。でも同じアワードでも大きく分けると2つのグループがあるようです。一番乗りなり上位のランクを競うタイプ(DXCCなどはその最たるものですが)そしてコツコツと努力の結果によるものがあります。  

例えば全市全郡との交信を終えた方ならば、次に狙うとすれば、より単位の細かい全町村かもしれません。JARLで発行しているAJAなどは市と郡、それに区までが加算され、しかもマルチバンドを対象としていますから、どこまで行ってもきりがないような感じすらしますね。

JAIAから発行されているJCAに至っては異なるサフィックスの局と、つまりA−Z、AA−ZZ、AAA−ZZZのことなるサフィックスを追いかけるのですから、これなどはとても一朝一夕とはまいりません。まあ気長にQSOを重ね、一枚一枚QSLカードをコンファームするしかないのです。  

世界に目を向けますと、そこには全大陸との交信を対象としたいわばDXの入門アワードWACから始まって、WAZとかDXCCがありますし、特定の国を対象とするならば日本のWAJAの各国版もあります。その中の極めつけと言えばアメリカのCQ社がスポンサーするUSA-CA(米国カウンティアワード)があります。  

アメリカは日本と並んでハム人口の多い国ですから、交信の相手には事欠きませんが、それらの局が異なるカウンティ(郡)に属していると言う条件となるとまた別物です。今現在では3076の異なるカウンティがあるそうですから、日本で言えばちょうど全市町村くらいの数に当たります。

でも日本と異なるのはそれぞれの単位が大きいことと、それに対してハム人口が希薄なところも多く、ある数までは順調にコンタクトできたとしても、それをこえると次なる新しいカウンティとの出会いが結構大変です。中にはアラスカ州のように4つのディストリクト(カウンティに相当)しかないところもありますが、おなじみのカリフォルニア州でも58カウンティ、テキサス州などは254カウンティもあってうんざりするほどです。  

競争によるものは自分の局の設備とかオペレータの能力などで差がつくものですが、この努力賞に相当するものであればまったくマイペースで長く楽しめること請け合いです。今貴方の手元に何枚の異なるカウンティがありますか?ちなみにUSA−CAは異なる500カウンティのQSLをコンファームしたところから500単位で受け付けられます。  

カットの写真はこのUSA-CAの記録の為のレコードブックの表紙と中味の一部をご覧にいれています。 (2001/71/5)

 
     

 
 
 

大げさなタイトルを掲げましたが、実はこの7月7日から14日にかけて行ったある大仕事の報告です。たまたま開始したのが七夕の7月7日、無事終了したのがフランスの独立記念日にあたる7月14日でした。実は以前当ホームページのコラムで「ハムの整理学その1」と題してQSLカードのファイリングのお話をしたのですが、内情と言えばQSLの山を単に枚数の多いエンティティ(カントリー)に限って大まかに別々のケースに収納したものでした。  

QSLの山を前にした筆者(まだエネルギーが温存した状態)

40数年に渡る道楽の結果、どうやら海外からのカードが1万枚は越えたと自覚するに至って、なんとかこの成果をまとめてかの「よみうり1万局賞」にでもトライできないかと考えたのが事の始めです。

何人かの友人にそれとなくそんな抱負を語り、ご丁寧に年賀状にまで今年の抱負の一環として書いたのが「ひょうたんから駒」で何人かの方から「それなら手伝うから!」と発破をかけられたのが今年の4月ごろの話。そうは言ったもののなかなか手がつけられません。  

と言うのもいざ1万枚からのカードを整理するとなると半端ではありません。とにかくそれだけのカードを一度はひっくりかえして、再度エンティティごとに分類し、次にはプリフィックス、サフィックス順に並べ替えると言う考えただけでも気のとおくなるような話です。  

まあ時間さえかければ出来るものでしょうが、実は問題が生じました。なんといっても1万からのカードですから、それを広げるには十分なスペースがないと出来ない話です。しかるに我がシャックも、あるいは家族のご機嫌うかがいをしながら居間を使うにしても我が家はあまりにも狭いと言う現実にぶつかりました。  

とても数時間で片付くものでもなく、予想ではほぼ1週間の時間が必要です。それだけの間、カードを広げぱなしにするなんて余地はとてもありません。そんな折に友人のJH1VVW石井さんより山中湖にある別荘を使ってもよろしいと言う夢のようなオファーがあったのです。しかも石井さんを含めて数人の応援もいただけると聞きおよんで、重い腰がうごきました。  

さて7月4日、スーパーマーケットで仕入れたダンボールにQSLカード、着替え、必要な資料を詰め込んで、いざ出発です。普通の乗用車タイプの車ですから、後部シートはまず満杯のありさまです。昼近く別荘に到着、昼飯もそこそこにいざカードを展開します。  

エンティティごとにまとまったQSLの山
しかしながらその量に驚き、感激しながらも前途を思うとお先真っ暗のありさまです。なにしろこれからすべてのカードをエンティティに分解し、そして次なるプリフィックス、サフィックスへの分類作業と進むことになります。エンティティの仕分けをしながら、出来上がったものから次の工程に進むのですが、まずはQTC-JAPANの仲間の応援がありました。

JH1VVW石井さんを筆頭に、JF1GUQ日置さんが加わって最初の作業はほぼ順調に進みます。そして翌日にはJA1FUY川合さんが、JA1CVF岡田さんと共に加わります。その上に遠来のVK1ARA荒さん(JA1RHL)、JA1XVY平野さんご夫妻までが駆けつけてくれて日曜の夜には大フィーバーとなりました。  

そうは言ってもプリフィックスの整理も大変です。JAのプリフィックスはJA1−JS1、7K1−7N4と順序だっていますけれど、外国のそれは、そんなに甘いものではありません。長い歴史の間に何度もプリフィクスが変わった国もあれば、アメリカのように実に多種多様なプリフィックスも使われています。頭文字だけでもA,K,N,Wと4種類もあり、さらにそれが細分化されるのです。  

例えばアメリカの1エリアであれば私が持っているだけでもAA1、AC1、AD1、AE1、AF1、AG1、K1、KA1、KB1、KC1、KE1、KF1、KG1、KJ1、KM1、KQ1、KS1、KT1、KY1、N1、NC1、NF1、NJ1、NY1、NM1、NR1、NV1、NX1、NY1、W1、WA1、WB1、WN1、WS1等々とあるのです。  

その仕分けが済めば済んだで、今度はサフィックスをAA−ZZ、AAA−ZZZに分類する作業が待っています。まさにQSLビューローも真っ青と言った雰囲気です。月曜ともなるとさしもの応援団も一人去り、二人去りでついにはまたもとの孤独にたちかえりました。まだまだ渡るべき多くの川が待ち受けています。カード整理が終わると次にはコンピュータ入力の仕事が控えています。果たして一週間でこなせるかどうか。不安と期待を込めたフライトが始まりました。(この項つづく)   (2001/7/15)

     
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