なぜか町村ハンティングに夢中になっています。全国で3000からある町村を追いかけるのは何故だろうと自問自答するのですが、やはりどうせ電波を出しているのだから、国内の隅々までと交信したいと言う気持ちの現われだろうと思います。  

隅々と言うことになりますと、町村より言うところのグリッドロケータの方がより理にかなっているようにも思えます。つまり町とか村は大きさも、そのたたずまいもいろいろですが、地図を一定の四角でくぎった場所であれば、一見公平で、密度も同じわけですから、それらを埋めることで本当に隅々と交信したと言う結果が得られるのです。  

とは言ってもグリッドロケータを一々発表しながら運用している例(例えば、こちらはJA1AYC、PM95THですのように)はまずありません。ではどうやってそれを見極めるかと言えば結局交信証を受け取ってから判断するしかありません。真面目な?局であれば固定運用と移動運用を問わずグリッドロケータの位置をカードに記載していますから、それは良しとして、何も表示が無い場合にはその電波の発射地点(QTH)から割り出さなければならないので、これは結構な仕事になります。  

そんな訳でまだ町村であれば、地図もあり、位置も簡単に見極められますから当面の目標としては格好の単位になるのです。いかにアマチュア人口が増えたからと言って全町村にくまなくアクティブなハムは居るわけでも有りません.特に過疎の村などはまずハムの活動は無いと言ってよいでしょう。あるいはハムの一人や二人いたとしても、V/UHFオンリーの場合にはとても全国市町村ハントの対象としては無理があります。まずは前提としていずれかのHFバンドで運用していることが鍵になります。  

リグも小型化し、モービルの移動も楽になって、このところHF帯での移動運用がごくあたりまえになっています。それも一日中電波がたえることのない7MHzなどは最適のバンドです。もちろん21MHzとか50MHzでの運用も盛んですが、こちらはコンディションと言うもう一つの条件があてはまりませんと上手くいきません。  
と言うことで特に週末はワッチしているだけでも、市郡あるいは町村のサービスを目的とする移動運用が盛んです。前にも書いたように一つには呼んで貰える快感も移動する動機にはなりますが、自分もJCCとか町村ハントをしていると、同好の士に少しでもポイントをサービスしてあげたいと言う意向も湧いてくると言うものです。  

かくして「今度はどこに行こうかな?」と地図と自分の自由時間を見比べて移動ポイント探しになるのですが、他の方はどうかわかりませんが、やはり珍しいところ、あまりアクティビティの無いところが狙い目となります。ではどうしてその珍しいところを見極めるかと言うと、こればかりは人によって異なるわけですが、一つの目安としては自分が交信したことの無い場所、聞いたことの無い場所と言う結果になるから不思議です。  そしていざ移動して多くの方から呼ばれると「やった!」と言う満足感につながるのです。より多くの方から呼ばれると「来てよかった!」と思う反面、戻ってからのQSL発行を考えますと、「ちょっと頑張りすぎたかな?」とつまらぬ反省につながることもしばしです。  

なんのことはない、多くの方にはかくしてサービスできたわけですが、いざ自分自身を振り返りますと、依然としてそれらのポイントが未交信のままのこっていると言うことに気が付きます。これを矛盾と言わずしてなんと言ったらよいのでしょうか?「こことまだ交信できていないな!よし今度はここに行ってみよう!」まずはこんな繰り返しなのです。 (2000/7/14)
 
     

 
 
 
ショート、ショート、つまり短い短いお話のことです。小説と言えば小説なんでしょうが、それがまこともって短い作りになっています。せいぜい数十行で完結するお話です。星新一さんなんてショート、ショートの名人がいましたね。いかに短い話の中にうまい起承転結をつくるかが鍵になります。  

古来日本には俳句とか短歌があって、それぞれ5,7,5とか5,7,5,7,7と言った決まりの中で喜怒哀楽を表現していますし、ちょっとデフォルメすると川柳なんて言うものもあります。どれも短い言葉使いの中に、いかに幅広い感情とか、情景描写を行うかで読む人それぞれに共感を与えるから、すばらしい文化だと思います。  

さて我々ハムの日常のQSOも丁度このショート、ショートに似ていると思います。限られた時間、相手のタイミングを見計らった時間の中にあらゆるインフォメーションを織り込むわけですから、これも技術です。  ただ俳句、短歌と違うのは、いつも相手は通常限られた一人ですし、その中身もやりとりを予想した、今風に言うならばツーウェイのコミュニケーションが原則です。ですから、会話そのものも単純に完結するのではなく、常に相手方の反応や応答を意識したものになっています。  

もちろんコンディションが悪かったり、混信がひどかったりする場合には、とても優雅なコミュニケーションが望めません。従って、コールサインの確認とレポートのやり取りと言った最低条件を満たすだけの交信にならざるを得ないのですが、少しでも事情が許すならば、やはり気持ちの良いコミュニケーションを心がけたいものです。  

ほとんど自分とかわらないQTHの相手方と「それにしても今日はとびきり暑いですね!」「いやーまったく暑いですね!」も時節の挨拶かもしれませんが、どちらかと言うとレポート交換が終わると次の話題がいつもお天気や温度の話になるのはどうしたものでしょう。  

とは言っても自分自身、いつもこのようなワンパターンのQSOをしていることに気づくのです。せめてもう少し話題を広げて、とは言っても相手方がそれに同調してこない押し付け型のメッセージでもどうかと思われますが、せめてお互いのQTHにまつわるあれこれ、オペレータ名にからんだやりとり

「大変お珍しいお名前と伺いましたが、そちらの地方では多いお名前なんでしょうか?」
「まだ○○市には伺ったことがないのですが、まあ知っていることと言えば××のお寺くらいですけれど、いろいろ見どころがあるのでしょうね!」

などと、誘い水をかけて、また自分のところの周辺を紹介したり、リグアンテナの話でも単に○○製のなんとかトランシーバですで終わるのでなく。こんなところが気に入っています。だいぶ長いこと使っているのですが、こんな故障が目立ちます。同じような経験はお持ちですか?と少しでも会話の中味が広がるやりとりになればQSOも単調でなくなり、お互いの印象もずっと深くなるはずです。  

これを起承転結の原理でやり取りできれば、それこそ送って、受けて、話題を変えて、そして見事なファイナルメッセージにつなげることができると言うものです。ワンパターンのQSOがすべて悪いとは言いませんが、せめて話題を広げてこそ、QSO本来の深みがぐっと増すこと疑いありません。  

せめてなんらかの特徴ある話題、表現で自分を印象づけるのも日常生活での会話の幅を広げてくれるはずです。せっかく見事な舞台が用意されているのですから、それを利用しない手はありません。 (2000/7/21)
     
[注:ここに掲載した写真は本文に関連ありませんが、すべて松本さんの撮影によります]
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