今世紀最後のオリンピックが始まりました。金メダルを、金メダルをと言って期待を持ちすぎるのはあまり感心しませんが、と言って勝ち上がる当てもないのに何人も出かけて、参加数だけを誇るのもいただけません。  確かにクーベルタン男爵の言う「勝つことよりも参加すること」と言うのもわからなくはないのですが、なにしろお金のかかるイベントですから、他人事とは言え気になるのです。その点アマチュアの競技(コンテストとかアワードハンティングなど)はお金がかかると言っても前者はせいぜい電気代ぐらいですし、後者もQSL代とか申請手数料程度ですから、まだかわいいものです。  

もちろんコンテストで上位に入賞しようとするからには、それなりの覚悟が必要です。まずは十分な準備(これはリグやアンテナの整備はもとより、オペレーションテクニック)のマスターが不可欠です。アワードハンティングで他人よりも一歩先んじようとするならば、今度はコンスタントな運用が欠かせません。でもそのどちらにせよ自分で解決しなければなりません。  

その代わりその努力に与えられる夢も大きいのです。日本中とQSOした。世界の何カ国とコンタクトしたと言う事実はアマチュア無線を知らない人にとっては何の意味もないかもしれませんが、少なくも一度電波の魅力に取り付かれたものならば決して忘れることのできない感激があるからです。  

オリンピックと言えば今年は開会式から大きなニュースがありました。HLとP5の選手団が一緒に行進を行ったことは今年のオリンピックの最大の話題の一つでしょう。確かに毎日のように新しい記録が生まれているのですが、それにもまして2つの国がオリンピックを機会に一つの力として結集し、やがではそれがスポーツの上でのみならず、政治の世界でも民族の結束につながるとしたらこれは世紀の変わり目に大きな意味を持ってきます。  

今年は200の国と地域が参加とありました。いつも開会式では次々と現れる各国の選手団を目にして、最初はSVつぎは何と、それぞれの国名をプリフィックスで即座に言えるかどうか楽しみにしているのですが、最近ほんの少しばかりDXから遠ざかっていたと思ったら、結構でてこないんですね。これにはがっかりしました。  

アマチュア無線はある意味で政治に先行しています。まだ独立宣言がだせずにいるパレスチナ(E4)にしても、今回は一般参加の形をとった東チモール(4W)にしても、我々の中ではすでに立派な国(エンティティ)として通用しているからです。  立派な実力がありながら、主に経済的な理由で十分な選手団を送り込めない国々を目の当たりにしますと、やはりせつないものを感じます。でも小さな島国の選手団の中に青年協力隊などで海外に出かけられている方がコーチとして参加されているのには感激しました。  

アマチュア無線の世界でもまだ免許条件などでの制約はあるものの、特に日本のハムの仲間が毎年のように開発途上の国々や島嶼国に出かけてソフト、ハード両面での援助を行っている事実があります。一見華やかなDXペディションの影にも、こんな地道な努力が積み重なってやがではアクティブなハム活動が花咲く例はいくつも見かけます。  オリンピックは確かに民族の祭典であり、平和の祭典でありますが、我々ハムの活動も常に無線と言う国境の無い舞台で人々の輪をつくりだしていることに、あらためて気づくのです。 (2000/9/18)
 
     
 
 
私の所属するCW愛好グループの総会が9月中旬に開かれましたが、その前夜の懇親会のアトラクションとして、お互いのお宝を紹介するコーナーを設けましたが、これが予想以上の盛り上がりで大好評でした。  元来お宝とは価値のあるものの総称です。でも、その価値がお金に換算されるものばかりかと言いますと、そうでもありません。およそ人様には無価値なもの(例えばアマチュアのQSLカードとか、アワードなどがこれにあたるでしょう)でも本人にとっては何ものにも変えがたいもろもろのお宝が存在します。  

RCA送信管 DXハンドブック
たった一夕の懇親会ですから、重いリグなどをもちこむ人はないと思っておりましたが、そうでもなく期待を裏切って?JRC製のプロ仕様のリグを持ち込まれた方もありました。

中には愛器を写真に撮って持ってこられた方、部品の一部を持ち込んで(超安定化VFOの回路に使われたコンデンサ)こられた方、ようやく手に入れたフルサイズの建設可能な家と敷地の設計図を持ってこられた方、自作のミリワット機を紹介された方、などなど多種多様で、そのままにしておくのは本当にもったいないくらいです。  

私はと言えば数冊の書籍を持ち込んで紹介させていただきました。その一つは写真右のDXハンドブック(誠文堂新光社昭和26年初版刊行)でまだ戦後のハムの免許が与えられる1年前のものです。定価は180円でしたが、当時としては大変高価なものだったと記憶しております。私がDXに興味を持つのはもっと後年のことですが、この1冊の本がすべての出発だったと思います。いずれ中味もコラムを改めてご紹介予定です。  

左の本はアメリカのRCA社(Radio Corporation of America)が当時使われたいた送信管を回路設計を含めてそのデータを盛り込んだもので、もっぱらジャンク球を集めてはリグを作る者にとってはかけがえのない資料でした。これは残念ながら発行年がさだかでないのですが、多分昭和30年代の始めことだと思います。アメリカの友人に送ってもらったものですが、定価は$1と記されています。

●皆様にもそれぞれのお宝がきっとある筈です。初めての海外QSOのカードとか、○○賞の第一号とか、吉永(メーカー)のタイトバリコンとか、現用のQRP機とか・・・ そんなお宝を紹介するページを企画中です。ぜひと思われるかたはja1ayc@jarl.comまで写真をjpgファイルで添付してお寄せください。順次ご紹介させていただきます。 (2000/9/24)
     

 
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