QSO(交信)成立の条件と言えば、コールサインの確認とRS(電信の場合はRST)レポートの交換と言うのが最低必要条件である。これに加えてオペレータの名前とか電波の発射場所(QTH)が判れば更に完全で、参考事項としてはロケーション(QTHの状況、つまり標高とか海沿いなど電波の伝播に影響があると思われる事項、または使用しているリグ,アンテナなども判れば参考になります。  

ところでみなさんは日頃いかなるレポートを送っているでしょう?筆者は最近7MHzバンドに出ることが多いのですが、バンドの特徴からよほどコンディションが悪くない限りはみなさんの電波はS−9で入感しています。従ってよほど支障の無いかぎり、レポートは「5−9」となります。  

さてこのRとSですが、これはあくまで主観的なものですから、各個人差が当然出てまいります。例えばSですが、使っている受信機の性能とか、アンテナの形状によっても大きく変わるのです。同じシャックでオペレーとしていても、あるリグではメータ読みでS−9であっても、別のリグをつなぐとS−7といった具合です。  ですから、Sメータをその方の基準としてレポートを送っている人もいますし、私のように、直感的に自分でSの基準を設定していることもあるわけです。  

さてR(了解度)ともなるとまた話が変わります。もう一度おさらいをしておきますと、 R1は「了解できない」R2は「かろうじて了解できる」R3は「かなり困難だが了解できる」R4は「事実上困難無く了解できる」そしてR5は「完全に了解できる」とあります。  この基準で言うとR−5とはローカル同士のきわめて良い条件のコンタクトとか「貴局の電波はローカルなみに入っています」のような交信では当然でしょうが、あのQRMの多い7MHzでは、はたしてすべてあてはまるか疑問になります。  

ついつい良いレポートを送ってあげたくて、「貴局の信号も5−9です」と言いがちですが、実は名前が確認できていなかったり、QTHが取れなかったりと言うこともしばしばですから、本来は正確なレポートでは無いのかもしれません。  まあアマチュアの通信のことですから、特に害も無いので許されているわけですが、でも「貴局の信号は5−9です。 でも名前が取れていませんから、もう一度お願いします」と言うのはあきらかにミスレポートです。繰り返せば問題なく受信できる(これは発音とか、マイクゲインの状態で取りきれない場合もあるので)場合ならば、良く言ってR−4に相当するのでしょう。  先ほど書きましたように7MHzの信号は一般的に強いので、Sは9であっても、了解度が このように大きく変わります。

その中には3−9(Thank you)とか4−9(CQ)などのケースも多くあります。スリーナインであれば数字ですが、サンキューと言われるとありがとうなのか、それとも数字の3と9なのか、ましてシーキユー、シーキューと言われると???とわかっていても面白く感じます。  5−9(ファイブ・ナイン)なら完全なレポートでしょうが、時々フィフティナインと言われているのを耳にします。これは5・9ではなくて五十九ですから、間違いです。すなわちR=5、S=9と言う意味なのでサンキュウ、シーキュー、ゴーキューの方がただしいことになります。

 DXペディションなどの場合は例外的で、受信レポートを記入する手間を省く意味もあってか、例外なく59−59の交信が行われています。少なくもコールサインが確認されれば、呼ぶほうも呼ばれるほうも59です。いつぞや正直に「Your signal is 49, 49」と送ったら、なんども「What?」「What is my report?」と繰り返され、面倒になって「59!」と言ったら即座に 「OK]と言う返事が返ってきたと言う笑い話もあるくらいです。  

でもレポートはレポートですから、アンテナの調整をされていたり、送信地点をチェックされているような相手には少なくも正しいレポートを送ってあげてください。そうでないと親切が親切でなくなります。 (2000/8/15)

 
     

 
 
 
去る8月28日から9月1日の5日間に渡って、IARU RegionVの総会がオーストラリアのダーウィン市において開催されました。 IARUすなわち国際アマチュア無線連合はいまから四分の三世紀前にアマチュア無線団体の結束と親交を目的にフランスのパリ市で第一回の会合が開かれ、つい今年の4月には同じパリ市のパリ大学構内(これは発足の会議が当時ソルボンヌと称していたパリ大学内にて行われた)ことを記念して盛大な75周年のメモリアル会議が開かれたことはJARLニュースなどによっても記憶に新しいところです。

これまで数々のアマチュア無線史上に大きくかかわる提案決定がなされ、それを受けてITU(国際無線通信連合)で新しい歴史が築かれてきました。その良い例の一つは、いわゆるワークバンドの獲得で、これにより10MHz、18MHz、24MHzなどの新しい周波数帯がアマチュアに与えられ、今日の盛況を見ているとおりです。

さて、日本のJARLもこのIARUの一員ではありますが、IARUではさらに世界を三分し、ヨーロッパ、アフリカで第一地域、南北アメリカで第二地域、そしてアジア、オセアニアで第三地域を形作っています。そしてこの第三地域の総会は3年に1度開かれることになっていて、今年はオーストラリアで開催される運びとなりました。
IARU RegionVの開催に際し運用された記念局AX8IARUのカード
今年の最大のテーマはなんと言っても来る2003年に予定されるWRC(世界無線会議)の議題にアマチュア無線が取り上げられることが、今年のWRC(トルコ・イスタンブール市)で決定したのに対応して、いかに2003年に向けて、アマチュア無線界の主張が取り入れられるか、そして、そのためにはいかなる結束が必要かと言う点に集約されていたと言っても過言ではありません。

当然7MHz帯のバンド拡張とか、高周波数帯域でのアマチュアバンドの確保、維持とか、 将来期待される国際レベルの無線免許の統一とかに焦点がおかれました。 もちろんこれ以外にも日頃頭の痛いイントルーダー(侵入)電波の防止とか、衛星通信のモニターシステムとか、国際ビーコンの運用とか、そしてなによりもアマチュア無線の振興の方策とかあらゆる議題が討議の場にあげられました。

これらの結果はIARUの理事会に持ち込まれ、さらに検討と調整が行われ、来るWRC2003を目指してアピールが行われることになります。 アマチュア無線は個人の趣味だから、組織はQSL転送のみ機能すればよいと言う考え方もなくはありませんが、実は地道ながら、こんな国際協力があってこそ、未来のアマチュア無線の発展があるのです。皆さんもその組織の支えとなる一員であることを誇りにされ、ますます活躍されることを祈ってやみません。 (2000/9/7)
     
[注:No.17の写真は本文に関連ありませんが、松本さんの撮影によります]
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