我々ハムにとっては時差は大きな関心事です。どうしても自分の生活時間 (就寝、食事、通勤・通学etc)にあわせてハムを楽しむわけですが、同時に 世の中にあわせる必要もあるのです。まあ、これが国内の話であれば、多少 夜更かしをする人とか、朝早くから目覚める人とかさまざまですから、その点 はマイペースで良いのでしょうが、ひとたびコンディションを気にしだすと、そ うも言っておられなくなります。

2002年6月 ツェペリン博物館のロビーでDK0ZM(左)、JA1CVF(中)、JA1AYC(右)が打ち合わせ
これからは夏のコンディションでV/UHFの 飛びが気になる季節です。朝方まで若干冷え込んだ大地が夜明けとともに 気温が上昇すると、そこに寒暖の空気の層が発生し、思いがけない伝播が 期待できるのです。 事実筆者もさかんに144MHzとか430MHzで遊んで いた当時はその恩恵にあずかりました。

ふだんはとても望めないような遠距 離まで電波が飛んでいくのです。これはEスポなどと違って、それほど強烈な Sの変化は期待できないものの、実に見事な聞こえ方、届き方をするものですから、当然のように毎朝目覚ましをかけて、朝食の前まで目一杯楽しんだ ものでした。 冬は冬とて、こんどはローバンドの季節とあって、1.9MHzとか3.5 MHzをゆっくり楽しむにはどうしても夜更かしをしがちです。  

これがDXを追いかけるようになると、また見方が一転します。つまり地球 は丸いことを実感するのです。こちらは真夜中でも、地球のどこかは朝であ り、昼であり、夕方であるわけで、特に珍局を射止めたり、めずらしいエンテ ィティ(カントリー)とQSOしたいと思ったら、どうしても彼らの時間に合わせる 必要が生じます。  DXペディションなどであれば、そこはサービス目的の運用ですから、現地 の時間に関係なく運用してもらえますから、JAの生活時間帯の中でも十分 に対応できますが、これに加えてコンディションが大きな要素になってきます。 電波伝播の情報を見ますと、あるときは深夜であったり、早朝であったり、実 に思いがけない時間帯に開けるとすれば、どうしてもそれにあわせざるを得 ないことになるからです。  

先般短い時間でフランスに行ってきましたが、この場合は肉体的な時差が生じます。こちらを昼に出発して、ついた時間は夕刻、でも実際には日本時間 で言えば夜中ですから、それから就寝するまで起きていると、実に徹夜をしたような状態になります。逆に向こうから戻る時には、昼に出発して、日本には 早朝に帰着するのですが、これがまた現地時間では真夜中にあたります。つ まり日本に戻った日は少なくも12時間くらい起きていることになりますので、まる半日以上の時差が生じる計算になります。  

QSLカード 黄色のバージョン
ところでパリと日本の時差は8時間と思っておりましたところ、この時期彼の国ではサマータイムを使っていて、実際には7時間の時差と言うことでした。 とにかく時計の針を進めたり、戻したり、いつもの話ではありますけれど、混乱 したものです。 

でもハムの世界ではUTC(世界標準時)がありますから、こんな混乱はあり ません。UTCであらわす限りは世界中同じ時間帯で生活できるのです。例え サマータイムを使っていても、その時間をUTCに置き換えるかぎりはなんら不 都合は生じません。それが証拠によくQRV時間の打ち合わせなどを行っていることがありますけれど、常にUTCで管理していればまず不都合は生じないこ とになるからです。  

UTCといえば既成カードにはJSTとUTCの表記があって、それを使い分け るようになっています。当然UTCは日本時間マイナス9時間と計算できますか ら、もし気を付けるとすれば日付の部分でしょうか。日本時間の朝9時がUTC では0時に当たります。と言うことは朝の9時以前、例えば8時50分はUTCで 表すと前日の23時50分になるのです。 この点だけを押さえておけばOKです。

先日サイパン島で運用した折のQSLカ−ドが今月多数ビューローから送られてきましたが、残念なことにUTCを使わずに(カードには表記があるものの)、 JSTで記入されているものが多数ありました。せっかくのDX(サイパンではそれほどのDXでないかもしれませんが)とのQSOですから、是非そのUTCを 使って欲しかった訳です。筆者は日本人ですから、例えJSTで記入されていて もそれほどの混乱はありませんが、もしこれが外国人のオペによる運用であ ったとしたら、JST表記では一寸問題が生じる可能性もあります。せっかくカ ードにその旨の用意がある訳ですから、この機会に使ってもらいたかったと言 うのが正直な感想でした。(2000/4/25)
 
     

 
 
 
日頃アマチュア無線で、どんな楽しみ方をしていますか?手作りのリグで QRP運用を楽しんだり、あるいはアンテナの形状をいろいろと変えてみて 飛び具合を比較したり、それともトランシーバをかついであちこちに出かけた り、と人それぞれでしょう。  

例え無線通信士と言われようと、一日一善ならぬ、一日1QSOを日課とし てひたすら交信に明け暮れる方もいることでしょう。  同じ交信であっても、対象によって又その楽しみが異なります。世界を相手 にするDXingからローカルラグチュウ、そして高い周波数での交信実験、コ ンテスト中心のスリルとサスペンス(さすがサスペンスはないかもしれませんね) アワードハンティングと枚挙にいとまがありません。  

アワードハンティングと言っても、必ずしも賞や証のたぐいを集めるだけとは 限りません。数限りなくあるアワードの交信条件をクリアすることに意義を見出 している方も大勢います。  なにを隠しましょう、筆者もその一人で、海外交信から国内交信も含めて、何 かターゲットはないかと受け取ったQSLカードをためしつ、すかしつ目標といえ ば目標管理なんでしょうが、結構意義に感じています。  

BQ9PをオペレートするJA1AYC
お蔭様で昨年は念願の一つであるWACA(全市交信賞)の要件を達成できま した。と言ってもまだ申請をしているわけでもありません。ただ現存する日本の 672市のカードを大事に持っているだけですが、それでも結構満足なのです。 さてこのWACAの場合(今回はバンド、モードもばらばらで、いわゆるMIXです が)最後に残った一市とは、実に同じエリアの東京都羽村市でした。JH1WRD 水上さんの信号を聞いた時にはまさに飛びつく思いでコールし、翌日には早速 ダイレクトでカードをお願いしたものです。  

開局当初、WAJAを追い求めていた時に最後まで残ったのは大分県でした。 いまでこそ、運さえよければ1週間たらずで全都道府県と交信するのも夢でない ほどにアマチュア人口もありますが、当時は県あたり何百人と言う程度のもので すから、よほどタイミングがあいませんと、この最後の1局がなかなかの難関でし た。残念ながらこのラスト・ワンの局名を失念してしまいましたが、確かそれはYL 局だったことだけは記憶しています。  

昨年はこれ以外にもゴールインがありまして、WAZ(全ゾーン交信賞)をRTTY で追いかけていてなかなか出来なかった最後のゾーン2をWB8YTZ/VO2で仕留めたのも感激でした。今年はと言いますと、まずはWAGA(全郡交信賞)をなん とかと思っているのですが、残りの5郡ばかりで足踏みをしています。  

一方CW だけでWACAを完成したいのですが、こちらはまだ30市ばかり残っていて当分の間楽しめ(苦しみ)そうです。はたしてこちらのラスト・ワンはどこの誰になるので しょうか?国内はまだ気長に待てばチャンスはあるのですが、世界ともなると事情 がかなり変わってきます。DXCCにしても残っているエンティティと言えば、無人島 でしばらく誰も行く予定が無いとか、政治上jの理由からハムの活動が一時的にス トップしているとか、たまにアクティビティがあっても世界中の需要が大きくて、なかなかパイルアップに勝てないとか、どれ一つ楽なものはありません。

それだけにこ ちらも一つ一つコツコツと稼いでいってやがてはラスト・ワンを待つところまで早く到 達したいものです。はたして貴方にとっての今現在のラスト・ワンはなんでしょう? 。( 2000/5/12 )
     
 
Copyright © 2004 QTC-Japan.com All rights reserved.