2000年になったからと言うわけでもありませんが、なんとなくDXヴァケーションに出かけたと言うのは、モービルハム3月号でご紹介した記事のとおりです。主にRTTYとPSK31でヨーロッパにでもサービスしようかと言うのが当初の目的ではありましたが、数をかせぐ? と言う意味ではやはりSSBとCWの出番です。  

KH0/JA1AYC サイパンのレンタルシャックでオペレート(MH2000/3)
と言うわけで、なぜか終わってみると1500局あまりとQSOしたことになり、やむなくそれ用のQSLカードまで作ってしまいました。 ところがところがです。SSB はともかくとして、CWのオペレーションに関してはまさしくお手上げの状態でした。

と言うのも、パイルに参加することは多々あっても、パイルを受けるこ とはめったにないと言いますか、ほとんど経験のないことで、想像はしていたもののそのすざましさに愕然としたものです。  

パイルアップに参加する時には自分も One of themでして、その時の参加局の数と実力によって結果が決まります。つまり週日で競争相手も少なく、かつ大型の局(言うところのビッグ ガン)がすべて終わった後であれば、ほどほどの運さえあればさほどでもありません。まして CWの場合には自分のコールサインが帰ってくるのに耳を澄ましていればよいので、むしろ SSBのそれよりも聞き取りやすいことがしばしばです。

問題は相手局のオペレータがいかに ハイスピードで打ち返してくるかどうかにかかっています。それも例外的に速いものでなけれ ば、少なくも自分のコールと599のレポートぐらいでしたら、まずは問題なく受けることができ ます。  しかし打って変わってパイルを受ける段になると、事情は一転するのです。
例えスプリット 周波数を指定したところで、その周辺は蜂が群れをなして飛び交うようにブンブンうなってい ます。これもキロワットクラスの局が呼んできた時には一際強くクリアですから、これはすん なりと取れるにしても、同じような強さの、そして速かったり、遅かったりの信号が入り乱れ てきますともういけません!

人のコールする合間にすばやくショートコールを送ってくる局、 あるいは超QRS*の信号は比較的取りやすいのですが、いわゆる標準的な速さ、強さとなる と、もうただオドオドとするばかりで、なかなかコールバックに及びません。つまり受信技術 はまったく未熟と言うことが言えるのです。
(* QRS? Q符号 こちらはもっと遅く送信しましょうか。) 

3月に入って例のFO0クリッパートンが見事に運用してくれました。そしてそのキーさばきの実にあざやかなことに、しばしコールすることも忘れて聞き入ったものです。こちらがかなり 速く送ったつもりでも、受信に移ると既に他の局に応答しているではありませんか。そして とぎれることなく次から次へとレポートと確認が送られています。 しかも周波数はかなり広範 囲に指定しているのです。ダイヤルをまわして一つの局の信号を捕らえるのさえ大変なのに、 ごく瞬時に捕まえて、瞬時に応答しているのですから本当に手品のような気さえするのです。

カードの中央に"SINCE1955”の文字が記載されています
それに引き換え、自分のオペレーションの拙さに本当にがっくりして、本来ならもっともっと コールがある訳ですから、続いて応答する義務もあるのに、SSBとかRTTYとか他のモード にQSYを宣言してしっぽを巻いて逃げ出したと言うのが事実です。  

一度は大型のDXペディションにオペレータとして参加してみたいような願望がなくもないの ですが、今度の経験から、その夢も遠く去りました。またまたパイルアップトレーナー(猛パイ ルアップからコールを拾い上げるトレイニングソフト)のお世話になって一から受信技術を学ばねばならないようです。と言う次第で楽しくも悲しいサイパンの休日でした。 
編集部注: こちらもご覧ください。
(2000/2/10)
 
     

 
 
 
国内のQSOでは、とかく電波の発射地点が云々されているのは皆様ご承知の ところです。特にアワード関係では、同一の都道府県以内の移動のみを認めるケ ースが多いためでしょうが、JA1とかJA3ならともかく、北海道あたりになるとそのカ バーする地域も馬鹿になりませんから、UHFやVHFで稼ごうとしても結構つらいものがあるのではないでしょうか?

その点HFでの運用であれば、今度は全国的に電波の届き易いJA6とかJA8が逆に有利になると言うものです。 本来QTHと言うのは住所のことではありません。私自身もついつい便利なもので 「QTHはヨコスカです」のように紹介していますが、正規にやろうとすれば、 やはり東経○○度、北緯○○度のような表現になるのでしょう。  

KH0/JA1AYCのQSLカード
呼ぶと呼ばれるでは天地の差がありますから、昔QSY(住所変更として使ってい るけれど、これも変則的な使い方)を考えた時に、ハム人口の少しでも少ないとこ ろを頭に描いたものですが、やはり子供の教育とか、会社への通勤などを考慮す るとそうもいかず、結局現在のQTH!!に落ち着いたような次第です。  

最近全国の市郡から始めて町村などを追いかけたりもしていますが、これにも 言うところの珍QTHがあって、地図で見てもあまり人口が無く、かつ交通上の不便 なような場所に偏る感じです。モービル移動がリグやアンテナの改良でとてつもなく 簡単になったものの、やはり不便な場所ともなると決心して行かなければならず(つ まり他の用事がない)これが移動運用の妙にもつながっています。  

昔アメリカのテキサス州をバスで縦断した折に、なんと広いところなんだろう、まし て今現在の所在地はどうやって知るのだろうか?と不思議に思うくらい同じ景色の 連続です。アメリカのカウンティを追いかけていると、やはりテキサスはカウンティ数 は抜群に多いもののQSOの実績ともなると大都市(ダラスとか、ヒューストンとか) の周辺に固まっているのがわかります。  

話は戻りますが、つまり雑魚のQTH(ヨコスカも当然含まれます)に住んでいると、 なかなか思うようにお呼びがありません。そこで少しでも稼ぎを良くしようとすると、 どこかに出かけるのが一番ですが、これがまた例の同一都道府県が災いして、同一 県、私の場合には神奈川県でいわゆるサービス運用をして、かつ沢山呼んでいただこうと言う目論見はまずうまくいきません。

なんといっても人口過密県ですから、どこ に行っても人だらけ、ハムのいないところなどまずありませんから、よほど面白いバ ンドとかモードでも選んで運用しない限りはまず無理と言うものです。その点なかなか うまらない島根県とか徳島県とか(失礼!)はだんぜん有利です。どこに移動しても それなりにお声がかかる可能性が大きい訳です。  

昨年岐阜県から富山、石川県とかけてドライブし、ときおり電波を出したのですが、 実におもしろい位人気がありました。とても神奈川県にいては想像できません。でも 帰ってくるQSLカードにJA1AYC/9 と入っているだけで、私自身のアワードハン トにはカウントできませんから、この場合は呼ばれる快感とサービスするよろこびの 二つが主な収穫となります。  

ホームQTHからの運用か、移動地からの運用かは相手の方にも関心の深い部分ですから、QSLの表面(つまり局名が入っている面)にはできるだけ明瞭に/移動地 を明記するように心がけています。どこかで聞こえていましたら是非お声がけ願います。( 2000/3/20 )
     
 
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