移動運用ともなると気になるのがその移動地の正確な位置です。やっかいなのは前にも書きましたが、境界線の判断でしょうか?いまだにはっきりしていないのが、電波の発射場所、つまりQTHの定義です。果たしてオペレータが居る場所なのか、それともRIGのある場所なのか、またアンテナの架設場所なのか?  

本来なら以上のすべてが同一地点なら何の問題も無いのですが、例えばアンテナを架設するに良い条件の場所が、たまたまいわゆる運用地の境界線外にあったら、どちらを運用地点ととらえたら良いのでしょう?  あるいは車が市の境をまたいで止まっている状態で、その車の中から運用する時には、どちらを正確な運用地として表現したら良いか微妙です。もっともこのような場合には、よく「2ポイントサービス」と称して2度に渡ってレポート交換をする。つまりある時は○○市、次の交信では××市と称するような例を見かけたことも少なくありません。  

私の記憶では確か埼玉県の正丸峠もそのような条件であったかと思います。一つは飯能市、そしてもう一方は名栗村だったと思うのですが・・・  車にGPSを積んでいると、メーカーの種類にもよるのですが、あるメーカーのものは緯度経度まで表示するので、かなり正確な位置測定ができます。また別のものでは、その地点の地名(町村、区など)を画面で表示するので、大変便利です。しかしGPSが無いとなると、今度は地図だよりです。  

これが都心であるとか、ある程度標識が完備されている場所なら、なんの苦労もありませんが、たまたま過疎地で標識もほとんど見当たらない時には、たぶん大変なことになります。  

実はWACAの整理をしている過程で、WAGAについてもMIXバンド・モードではありますが、残りが1箇所であることが判明しました。それが実は長崎県は対馬の北、上県郡なのですが、そう気が付いてワッチしたからと言ってすぐに目的の場所からの電波が聞こえるわけでもありません。  

とかくしている内に、友人らから「それでは我々が移動して運用しよう!」と誠に有難い申し出をいただいたのです。自分一人だけサービスを受けるのでは、なんとなく後ろめたい気もするのですが、その機会に他にも上県郡を必要とされている方も居るわけだから、時間とコンディションが許すかぎりは移動運用を楽しむつもりだと聞かされて、二つ返事でお願いしたものです。  

幸いにもこの移動は成功で無事にラスト・ワンとなる上県郡をいただいたので、まずは目的が達成できたのです。しかしこの話には続きがあって、どうせ上県郡にいるならば、その機会に同郡内にある 4町村をくまなくサービスしていただきたいと言う、なんともずうずうしいお願いに発展したのです。  

レンタカーを駆って、島内をあちこち走りまわっていただいて、こちらも無事に全部QSOができたのですが、後日談がありまして、実ははたして運用する場所が目的のところか判断するのに大分苦労をされたようです。いかにも場所の表示がなくて、多分走行距離から見ても「どこそこの場所」だろうと推察はできるものの、証拠としての判断ができないのです。

そんな折に、なんと唯一地名が判明したので、お目にかける「ゴミ箱」でした。はたしてその横にはゴミ箱の回収責任者を告げる町名の表示があったのです。  

私の家からすぐの山道には横須賀市と逗子市の市境を示すコンクリートのくいが打たれているので、それが判断基準になりますが、本当の山の中であればたとえそのようなものがあっても、今度は探すのが一苦労です。
多分移動を楽しまれている方の中には同様の経験を持たれた方も多かろうと想像しています。 (2002/5/20)
 
     

 
 
 

1月27日付けのコラム68で書きました「料金受取人払い」の続編です。前回はアメリカから来た「料金受取人払い」の封筒を中心に、SASEのでのQSL請求のあれこれを書き記したと思いますが。今回はその日本版です。はい!実は日本にもそのシステムが存在したのです。  

題して「国際郵便料金受取人払」です。申請のために、封筒の、と言うよりも封筒に書き込む種々の約束ごとがありますから、その作成には多少手間取る(PCを使い慣れた方、特にAdobeのイラストレーターを使っている方なら、なんの不自由もないでしょうが)ことを除けば、申請そのものは至って簡単です。  

私自身もここにお目にかかれるような封筒の体裁で申請も認可され、すでに使用できる状況にあります。ただ申請に至るには基本的にいくつかの条件をクリアしなければなりません。  

申請の受付は地元の局、つまり郵便物を実際に集配する局(本局と呼ばれる)で行う必要があります。近くの簡易郵便局ではできません。 それから封筒に印刷する項目は「国際郵便規則の第3節に示される国際郵便料金受取人払」にのっとったものでなければなりません。  

封筒の大きさは長さ140−250mm以内、幅は90−120mm以内、厚さは53mm以内、そして重さは50g以内となっていますが、これは我々が通常使う封筒を考えれば問題ありません。  

中に書かれる項目は「国際郵便料金受取人払」を明示した枠、承認番号と差出有効期限を明記した枠、そして宛先としての名前、住所、それに国際郵便料金受取人払の為の郵便番号です。もっともこの承認番号と郵便番号は申請後に郵便局から指示されます。  

手順としては、

@まず実際に使用する返信用の封筒(国際郵便料金受取人払」仕様のもの)に印刷される諸項目を条件に従ってデザインし、それを適当な紙(筆者の場合にはA4の用紙)にプリントしたものと、申請時に必要な印鑑を持って、前記の集配郵便局に行く。

A窓口で「料金受取人払承認申請書」を貰って必要事項を記入し(住所、氏名に始まって、使用する目的、凡その枚数、希望する期限、支払いの方法など)提出します。

目的はQSLカードの回収と言っても通じませんから、まあ書類の回収くらいでよろしいでしょう。枚数は別に数えるわけでもないのですが、年間200枚程度と書いておけばよいでしょう。有効期限は当面眼いっぱいに承認される2年間を指定します。支払いは後納とすればよろしいでしょう。  

うまく行けばそのまま受付されて、2−3日で承認通知書と共に承認番号と郵便番号が知らされます。これを再度入れ込んで、実際に使用するのと同じ封筒に印刷し、3通を郵便局に提出し、チェックを受けて完了。  これで明日から貴方も「国際郵便料金受取人払」(英文でIBRS)システムの利用者になります。 ただし郵便局もあまり慣れていないと見えて、申請する局によっては多少の差があります。すなわち料金の支払いは配達の度に現金あるいは切手で支払う。

と言うものとか、振替口座を設けてそこから天引きするとか、さまざまです。ちなみに後納の場合には手数料として1通あたり15円かかります。アメリカであれば、通常の日本からUSA宛の航空便110円プラス15円、つまり1通あたり115円で1$より若干安め、ほぼユーロ並?です。  

グリーンスタンプを何枚いれるか悩んだり、IRC1枚では駄目だと言う相手であっても、これならば文句がないでしょう。ただしグリーンスタンプやIRCによる蓄財を目当てとした相手だったら多少煙たがられるかもしれませんが。  

さらに付け加えるなら、相手からの返信にその国の切手などが貼ってありますから、ご自身でスタンプコレクタを自認される方にもお勧めできません。いつもワンパターンの封筒が帰ってくることになりますから。でもこれによりメリットは大きく、たとえ相手国の郵便料金が変わっても、それに左右されることがありませんし、第一切手を貼ると言う手間は間違いなく省けますから、真面目な相手局やマネジャーなら喜んでもらえると思います。もしどうしてもそのカードが必要で、この封筒だけでは心配と言う向きは、ドネーションとしてGSの1枚も同封すれば、それはそれで目的を果たします。  

もしご興味があって実際に申請したいが、まだ判らないと言う方は、ご遠慮なくお知らせください。
(2002/5/30)

     
 
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