3月28日より31日まで、昨年までハムフェアの会場として使われたご存知のパシフィコ横浜で、「ロボデックス2002」と銘打った人類のパートナーロボット博覧会が開かれていると聞いて早速足を運んでみました。これまでにもテレビや新聞等で報道されていますから、おおよそは知っているつもりですが、それでもやはりこの目で見てみたくて1,000円の入場料を払いました。  

やはり目玉と言いますか、完成度の高いのは既に評判を得ているSONYのアイボであり、HONDAのアシモですが、それ以外にも意欲的な新しいロボットの発表もあってなかなかの盛況でした。今回は特に人間に親しまれるロボット、生活に密着したロボットと言うふれこみで、玩具タイプのものもたくさん出品されていたのが特徴です。  

さて、ロボットと言えばやはり人間型の2本足のもの想像しますけれど、これまでは20世紀中に実現可能かとあやぶまれていた2本足走行のものがかなり高いレベルで実現したことが上げられます。私はロボットのことはまったくわからないのですが、とりわけ階段を上り下りするロボットの姿を見て技術の発展進歩を改めて実感した次第です。はたしてこれがまったくの自動なのか、あるいは遠隔操作なのか不明ですが、もし階段に段差があったらどう見分けるのでしょうね。  

人間は足を代える度に、即座に重心のバランスを取っているからして 2本足走行も階段の上り下りも可能なのですが、ロボットの場合はどのようなシステムになっているか大変関心があります。  

今回はこの2本足走行もそうですが、遠隔操作にも興味がありました。HONDAのアシモとかSONYの新しい人型のロボットではほとんど完全な2本足が完成していますが、その他のロボットはまだこのレベルに至っていないものも多く、どちらかと言うとすり足走行でした。

これなら足裏に相当する場所につけたホイールを回せば移動できますから、それほど難しくはなさそうですけれど、やはり1本ずつ足を持ち上げてバランスを取ると言うところが曲者なのでしょうね。  

さて、ロボットと言っても人型のものばかりとは限りません。多くの工作機械のロボット(例えば自動車の生産ラインでの自動溶接ロボットとか自動塗装ロボットtなど)はその仕事に見合った形をしています。その点、少年漫画に見られる鉄人28号ではないのです。そして多くの産業用のロボットは、これは巡回警備をする警備ロボットの例でもそうですが、普通は別のコントロールルームから人間が操作することが多いようです。  

今回、展示されていた中には無線コントロール型のロボットも多かったのですが、その一つはPHSによる制御を売り物にしていました。つまりPHSの電波が届く(一つの固定ノードから)半径500m以内であれば、確実に操作でき、かつ東京、九州とはなれた地点であっても同じ遠隔操作ができると言うことでした。  

もともとPHSはデジタル波ですから、多チャンネルの操作が可能なわけですね。かつてつくばで科学博が開かれた折に当時のJARL特別局では、場内にアンテナの架設が許可されないので、あえて数キロ離れた地点に送受ポイントを設け、場内からは1,200MHzの波を2波使ってリモートコントロールをしたことを思い出します。  

とりわけクリチカルだったのは受信で受信場所にあるトランシーバのダイヤルをカメラで捉え、別の周波数を使ってモニターし、それを見ながら送受信をした手前、どうしても若干の時差と言いますか、ずれが出て最初は慣れないとなかなか満足なQSOができないと言った一幕もありました。  

いま欲しいのは自分の手の代わりに電鍵を打ってくれる電鍵ロボットです。もちろんメモリーキーヤーがありますから、同じ仕事はすでに手を煩わせることなくできますが、なんとなくロボットの手が電鍵を打つと言った形が夢があって面白いなと会場を後にしながら想像したものです。 (2002/3/30)

 
     

 
 
 

3月はデューシー島から初のDXペディションが実施され、DX界は大いに賑わいました。それ以外にもXROX(サンフェリックス島)からのDXペディションもあって連日大騒ぎでした。そもそもなぜDXペディション?と言われると正確な返答もできませんが、要するにあまりアマチュア無線のアクティビティのないところから電波が出るわけですから、世界中のあらゆる場所とQSOしたいと願っているハムにとっては格好の機会なわけです。  

そのもととなるのはDXCCのルールで、世界中の国、あるいは島等々をエンティテイ(古くはカントリー)と言う定義でくくり、その中のいくつの場所とコンタクトしたと言うのが実績となるのです。今回の表紙ページでレポートしているP5(North Korea)もその意味では貴重な場所で、まだまだアマチュア無線が完全にフリーになっていないだけに、世界中の局がコンタクトを望んでいるのです。  

毎年のようにDXCCのWanted List(交信希望エンティテイ)が発表されますが、やはり政治的な理由でなかなか正規のオペレーションができない国々とか、絶海の孤島などがリストアップされています。その中にはインド領ノラカディブ島とかイエーメンとかも含まれているのですが、少なくもP5はエドのオペレーションで少しずつ需要が満たされていくと思われます。  

しかしながら相変わらず絶海の孤島でのオペレーションは厳しいものがあります。先般の新エンティティであるデューシー島にしても、なかなか簡単に到達できる場所でもなく、費用も労力もかかります。昨年実施されたマルペロ島もそうでした。島の中には動植物の保護の為になかなか上陸そのものが許可されない場所も少なくありません。 そんな中にあって待望久しいのがBS7H(スカボローリーフ)です。中国領とは言え、駆け引きの激しい南シナ海にある珊瑚礁で、もう10年近くもオペレーションが行われていません。  

最初のDXペディションは世界的DXサーのOH2BHJA1BK溝口さん等のご努力で1994年に行われました。ご覧のパンフレットは、このDXペディション報告を兼ねてハムフェアの会場で配られたものです。 残念にもこの時は運用時間も短く筆者はQSOできなかったのですが、 2千数百局との交信に成功しました。

引き続き1995年に行われた際にはより良いロケーションを確保して、幸い私もコンタクトができたわけですが、政治的理由はともかく、もっとこのDXペディションを困難にさせているのは、海よりわずかに顔を覗かせている環礁と言う地理的条件でもあるようです。  

単なる無人島であれば、上陸許可があれば、多少の困難はあっても設営はそれほど厳しくないと思われますが、この手の環礁では常に自然との戦いが要求されます。写真はパンフレットに載っている最初のDXペディションの様子ですが、本当に岩にしがみついたように設営されたヤグラの上に発電機とアンテナを設置し、ほとんど2人分くらいのスペースしかありません。この条件は今では消滅エンティティになっている、かっての7J1(沖の鳥島)のものと類似しています。  

QSLカードは1995年のオペレーション時のものですが、この時はもう少し条件の良い岩場が選ばれたようで、少なくも数名がスタンバイ可能なようです。遠くにはメンバーを輸送した船が見えています。昼間はともかく、夜間のオペレーションはそれこそ南シナ海の中のたった一つの点と言うことでさぞや厳しいものであったことは想像に難くありません。  

そうなんです。DXペディションとはそもそもエクスペディションの省略語であり、その意味は正しく「冒険」であります。なぜチョモランマに登るの?と聞かれたアルピニストが「そこに山があるから」と答えたのにも似たあるロマンを感じます。  

今年もいろいろな場所からDXペディションの電波が届きます。その時々に果たしてどんなドラマがあるのか想像しながらパイルに立ち向かうのもアマチュア無線の醍醐味と言えるでしょう。 (2002/4/12)

     
 
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