はるか昔の話ですが、「グレンミラー物語」と言う映画がありました。当時は日本でもいわゆるスイングジャズなるものが持てはやされていた時期で、同じように「ベニーグッドマン物語」「愛情物語」などの音楽ものがヒットしたものです。
グレンミラーと言えば自分のバンドを作ったのは良いけれど、言うところの「どさまわり」をしていたのですが、なかなかブレークしない折も折り、西海岸の演奏がラジオに乗って全国に流れたものが、聴取者の時間帯にうまくマッチして急遽スターダムに登ったと言うエピソードが語られていました。
なぜと言う部分になるとこれが実は時差に関係してくるのです。つまりあの広いアメリカ大陸には西から東にかけて4つのタイムゾーンが存在するのです。映画のことは細かく覚えていないのですが、確かあまり聞かれない時間帯に放送されたものが、ほかのゾーンでは人々がダンスを楽しむ時間に当たっていたので、それがグッドタイミングになったと言う次第です。
日本国内でQSOをしている限りは時差は関係ありません。せいぜい日の沈む時間が北海道と九州では大きく違いますから、会話の中で「こちらはいま日が沈むところです」片方では「もうすっかり暗くなっています」と言うところで多少とも時差的なものを感じるくらいです。
|
「日付変更線通過記念証」と記載されている。 |
一番時差が気になるのは海外旅行でしょうか。昔のように船でゆったりと旅行した時代には時間の経過がほとんど感じられないので、あまり不自然でなかったのでしょうが、このごろは出発したその日に目的地到着と言うのも珍しくない訳で、これでは身体がついていけないのも当然です。
地球が丸いことからして、いつの頃からかタイムゾーンが使われてきて今日に至っているのですが、地図で見ると面白い発見があります。(地図をお目にかけたいのですが、版権等の関係でコピーできません!)アメリカの中でもそうですし、地球上のいろいろな場所でも同じですが、やはり生活に合わせてといいましょうか、タイムゾーンの切り方が一様ではありません。
例えばアメリカならば州の境で区切っていますし、太平洋の部分では島を避けるようにしてタイムゾーンが設定されています。例えばハワイなどは日本時間マイナス19時間ですが、殆ど同じ経度にあるキリバス島は日本時間プラス5時間と区切られています。
日付変更線にしても北の部分ではロシア大陸とアラスカの境を通って、南に下っていますけれど、このキリバスのところで大きく迂回しているのです。つまり日本と同じ日はこのキリバス辺りから始まっているのです。そして一番最後に同じ日付になるのは米州サモアあたりの勘定です。
DX交信をしていますと、このあたりが実に微妙で、はたして「グッドモーニング」と言ったものか、「グッドイブニング」なのか、それとも「グッドナイト」なのか戸惑うことも良くあります。さすがに近頃は世界時計も安く売られていることから、現地時間は即座にわかるようになって、一々時差表を見ることも少なくなりました。
ところで、アマチュアの世界ではUTCが一般的に使われています。同じ時間でカウントしないことにはQSOの付け合せができませんから、みな一様にUTCを使うようになっているのですが、少し前まではGMTと言う呼称が使われていました。言うまでもなくこれはグリニッチ標準時と言われるものでイギリスのグリニッチの天文台を基準としていました。(そう言えば日本は確か明石の天文台が基準点でしたね)UTCはフランス語の略ですが、英語ではCoordinated
Universal Time、すなわち協定世界時と呼ばれています。
UTCの代わりにZを使って「QRV at 1200 Z」のような表現も通用しています。果たしてこのZがどこから生まれたか失念しております。どなたか正しい情報をお持ちの方はお知らせいただけるでしょうか。
カットの写真はその昔、飛行機で日付変更線を横切った記念に機内で配られたものです。今ではまったくのお笑い種かも知れませんが、その時はその時で感激していまだに手元に保存されていたものです。因みに日付は1972年6月20日となっています。
(2001/10/19)
|