さてDXペディションQSOその2となります。ショートコールが有効なことは前のコラムで書きました。ショートコールにもいろいろなパターンがあります。ごく一般的なのはフルコールサイン(例えばJA1AYC)で呼ぶのですが、猛烈なパイルの時はそれすら有効ではありません。なぜならAYC以外にもJA1と言うプリフックスの局が同時に沢山コールしているので、JA1がかならずしもアイデンティティにならないからです。
例えばDXペディション局が「JA1???」と応えてきても、また数多くのJA1***局が呼びにまわりますから、混信は依然軽減しません。ということで、一層のことJA1をカットしてサフィックスのみで呼びかけることも有効な手段です。「AYC」と短く呼びかけてもよいですし、「アルファ・ヤンキー・チャーリー」とフォネティックスで呼んでもよいでしょう。
フォネティックスは基本的には同じものが使われますが、DXペディション局相手の時は例外で、例えばチャーリーではなく、カリフォーニアとかカナダなど他の局と異なるフォネティックスを使うことで多少区別されます。受け手から見ると一寸違った音が聞こえますから、印象として残るのです。私はスペイン語系のオペレータ相手の場合にはYをヤンキーではなく、「ユカタン」と表現する場合があります。
あくまでもメキシコのユカタン半島と言う響きが相手に理解され易いことを狙ったものです。 こうするとサフィックスで取ってもらえる訳ですが、同じサフィックスの局が2局も3局も重なって呼ぶ確率は低いので、より応答の確率が高くなります。たまたま「ヤンキー・チャーリーGo!」と返事が来て、これは自分への応答だと思って応えたら「AYC」でなくて「DYC]だったと言う悲劇もなくはありませんが、それでも「別のヤンキー・チャーリー?」と続けて応答される可能性もあるわけです。
サフィックスだけでは交信成立になりませんから、応答があった場合にはフルコールサインを言うのですが、よほどはっきりしたサフィックスなら良いのですが、他の文字に間違えられそうな場合には同じくフォネティックスコードを使って応答します。
もっともすでに「アルファ・ヤンキー・チャーリー」が相手によって確認されている場合、すなわち「Alfa Yankee Charlie、You are 59!」とかえってきたら、これはもう自分と思ってよく、いたずらにコールサインを繰り返すのでなく
「JA1、Juliett Alpha One、You are 59、Thank You!」とプリフィックスを返すのみで良いのです。
たぶんDXペディ局は「JA1AYC、QSL!]と簡単に確認のサインをくれるでしょう。こうすることで時間の短縮と交信の効率化につながります。
今回のBV9PでもJAしか開いていない時間帯はなるべく日本語で応答していました。
すなわち「JK3***、59です。どうぞ!」のような具合ですが、これに対して「応答ありがとうございました。こちらはJK3***、同じく59です」と言う返事をもらうのですが、この場合の応答ありがとう云々とか、こちらはJK云々は余計で、すでにコールサインが確認されているのならば、単純に「QSL!同じく59どうぞ」程度で良いのです。
もし万一コールサインが間違ってとられている場合、JK3でなくてJK2であったとしたら、その時は「JK2、Twoです。59!」で良いのです。このような受け応えがDXペディション局にとっても、その他のパイルアップ参加局にとっても心地よいのです。
それでも日本人のオペだから、この機会にDX局を仕留めようとパイルに参加してくる、いわばDX初心者がいます。もちろん大歓迎でこんな機会にDXハンティングの楽しさを覚えていただければ大変嬉しいのですが、えてして「応答有難うございました。
こちらは7N4***、セブン、ノベンバー、フォー***、そちらの信号も59で**県○○市に届いています。こちらのオペレータネームは××です。・・・」などと通常の国内QSOスタイルで返されますと、すっかりリズムが狂います。
前後して呼ぶ局のないような時は結構ですが、本当のパイル状態の時は不要の長物です。少なくもDXペディション局にとってはJAはJAで何県もなんとかさんも関係ないと言っても言い過ぎでないでしょう。
他の方のコンタクトを聞いて同様にてきぱきとやっていただきたいのです。 ましてや「そちらのコールを繰り返してくださいとか、QTHはどちらでしょう?と言うのも気がききません。少なくもコールサインは確認してから呼んで欲しいのです。
QTHはプリフィックスがわかればあとでも確認できますし、QSOが済んだからといって、そのままバイバイするのではなく、しばらくそのやり取りを聞いていさえすれば、何分かに一回はコールサインもQTHもDXペディション局によってアナウンスされるはずです。
自分だけでなく沢山の局が待機して受信していることを常に心掛ければ自然に身についてくるはずです。 (2001/3/24)
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