再び東沙島(プラタス)からみの話になります。今回プラタス島で運用するに際しては昨年のオペレーションと同じくBQ9Pと言うコールサインが使われました。
もともとはBV9として割り当てられているものですが、ほかの移動と区別する意味でもBQ9と言う特別のプリフィックス、そしてサフィックスもプラタス島のPが使われています。もちろん台湾領ですが、DXCC上では別のエンティティ(カントリー)として扱われますので、その点は日本における小笠原や硫黄島と似ています。 ただ、民間人がかんたんに行けない場所だけに意味があるようです。

上陸、滞在には特別の許可が要るためで念に1度ほどのQRVしかできないところに意味がありそうです。日本からは近いので、1バンドならず、多数のバンド・モードに渡ってQSOされている方も少なくありませんが、やはりヨーロッパや米大陸あたりから見れば依然大珍局になるわけです。

従ってDXペディションでは期間中なるべく多くの方にサービスをすると言うのが大命題になるのです。それには優れたオペレータが不可欠でしょうが、いつも贅沢はゆるされません。そして2番目にはオペレーションのスタイルがあります。

今回も数多くの場合スプリットオペレーションが行われました。すでにご承知でしょうが、これは送信、受信の周波数を分けることで、すこしでも混信をさけ交信の能率を上げることを意味します。同じスプリットでもペディション局が送信周波数の上、例えば5kHzを指定して、シングル周波数を受信する場合もあれば、5-10kHzと言うようにある幅を指定して、その範囲を受信するものがあります。

シングル周波数では想像できるように「強いもの勝ち」と言うパターンがほとんどですから、自分がよほど強力な電波を送り込んでいると言う自覚が無い限りは、ひとあたり強力な局がコンタクトを終えたと見てからコールした方が精神衛生上も良いのですが、とはいっても、そのDXペディション局が何時間も続けて運用するとか、良いコンディションがいつまでも続くと言う約束はありませんから、どうしても早く呼びにまわる結果にもなります。 こんな時の要領は実にタイミングです。

例えば10局の局が同時にコールを開始したとすると、受ける側では一瞬ビート状となって、ほとんどのコールがとれませんが、ワンテンポずれて送ってきた局についてはコールサインの全部とは言いませんが、すくなくも2-3の文字をキャッチできますから、その局が応答の対象となる場合が多いのです。 とは言っても全員がずらして送れば同じ結果となります。運と言えばそれまでですが、いろいろな呼び方を工夫して、トライするしかありません。ただ受け取る側から見ますとロングコールはいかにも無策です。

取る場合にはワンコールの一部をキャッチするのですから、できるだけショートコールを行い。常にペディション局がどのような状態(つまりすでに誰かに応えている、あるいは誰もとれないでもがいている)を知る必要があります。

最近のリグにはディユアルワッチ(つまり送信、受信両周波数を聞ける)の機能のあるのもこんな場合を想定してですが、使いこむと結構役に立つものです。 さて周波数の幅を指定された場合には、これはもう運次第としか言いようがありません。

エィヤッと狙いを定めてある周波数でねばるとか、それとも常に応答された局を探し、交信が終わるやいなやすかさずその周波数、あるいはごく微妙に上下の周波数で呼ぶとかのテクニックです。でもDXペディションのQSOはごくわずかの時間でやり取りが終わるだけに、その周波数を見つけるにはよほど受信の腕がなくてはなりません。

もう一つはDXペディション局のくせをみぬく方法です。下の端から上まで順々に周波数を移して受信する局、上の端にいたかと思うと次は下の端にうつるような身代わりの速い相手にはもうどちらかの周波数で待ち受けて、あとは運を天にまかせます。Hi。

でもこの場合でもショートコールが有利なことに変わりはありません。これからコンディションも良くなりますし、DXペディションも次々と予定されています。ぜひこの機会に一つでも二つでもニューエンティティを増やしてはいかがでしょう?グッドラック!   (2001/3/24)

 
     

 
 
 

さてDXペディションQSOその2となります。ショートコールが有効なことは前のコラムで書きました。ショートコールにもいろいろなパターンがあります。ごく一般的なのはフルコールサイン(例えばJA1AYC)で呼ぶのですが、猛烈なパイルの時はそれすら有効ではありません。なぜならAYC以外にもJA1と言うプリフックスの局が同時に沢山コールしているので、JA1がかならずしもアイデンティティにならないからです。

例えばDXペディション局が「JA1???」と応えてきても、また数多くのJA1***局が呼びにまわりますから、混信は依然軽減しません。ということで、一層のことJA1をカットしてサフィックスのみで呼びかけることも有効な手段です。「AYC」と短く呼びかけてもよいですし、「アルファ・ヤンキー・チャーリー」とフォネティックスで呼んでもよいでしょう。

フォネティックスは基本的には同じものが使われますが、DXペディション局相手の時は例外で、例えばチャーリーではなく、カリフォーニアとかカナダなど他の局と異なるフォネティックスを使うことで多少区別されます。受け手から見ると一寸違った音が聞こえますから、印象として残るのです。私はスペイン語系のオペレータ相手の場合にはYをヤンキーではなく、「ユカタン」と表現する場合があります。

あくまでもメキシコのユカタン半島と言う響きが相手に理解され易いことを狙ったものです。 こうするとサフィックスで取ってもらえる訳ですが、同じサフィックスの局が2局も3局も重なって呼ぶ確率は低いので、より応答の確率が高くなります。たまたま「ヤンキー・チャーリーGo!」と返事が来て、これは自分への応答だと思って応えたら「AYC」でなくて「DYC]だったと言う悲劇もなくはありませんが、それでも「別のヤンキー・チャーリー?」と続けて応答される可能性もあるわけです。

サフィックスだけでは交信成立になりませんから、応答があった場合にはフルコールサインを言うのですが、よほどはっきりしたサフィックスなら良いのですが、他の文字に間違えられそうな場合には同じくフォネティックスコードを使って応答します。

もっともすでに「アルファ・ヤンキー・チャーリー」が相手によって確認されている場合、すなわち「Alfa Yankee Charlie、You are 59!」とかえってきたら、これはもう自分と思ってよく、いたずらにコールサインを繰り返すのでなく
「JA1、Juliett Alpha One、You are 59、Thank You!」とプリフィックスを返すのみで良いのです。
たぶんDXペディ局は「JA1AYC、QSL!]と簡単に確認のサインをくれるでしょう。こうすることで時間の短縮と交信の効率化につながります。

今回のBV9PでもJAしか開いていない時間帯はなるべく日本語で応答していました。
すなわち「JK3***、59です。どうぞ!」のような具合ですが、これに対して「応答ありがとうございました。こちらはJK3***、同じく59です」と言う返事をもらうのですが、この場合の応答ありがとう云々とか、こちらはJK云々は余計で、すでにコールサインが確認されているのならば、単純に「QSL!同じく59どうぞ」程度で良いのです。

もし万一コールサインが間違ってとられている場合、JK3でなくてJK2であったとしたら、その時は「JK2、Twoです。59!」で良いのです。このような受け応えがDXペディション局にとっても、その他のパイルアップ参加局にとっても心地よいのです。

それでも日本人のオペだから、この機会にDX局を仕留めようとパイルに参加してくる、いわばDX初心者がいます。もちろん大歓迎でこんな機会にDXハンティングの楽しさを覚えていただければ大変嬉しいのですが、えてして「応答有難うございました。

こちらは7N4***、セブン、ノベンバー、フォー***、そちらの信号も59で**県○○市に届いています。こちらのオペレータネームは××です。・・・」などと通常の国内QSOスタイルで返されますと、すっかりリズムが狂います。

前後して呼ぶ局のないような時は結構ですが、本当のパイル状態の時は不要の長物です。少なくもDXペディション局にとってはJAはJAで何県もなんとかさんも関係ないと言っても言い過ぎでないでしょう。

他の方のコンタクトを聞いて同様にてきぱきとやっていただきたいのです。 ましてや「そちらのコールを繰り返してくださいとか、QTHはどちらでしょう?と言うのも気がききません。少なくもコールサインは確認してから呼んで欲しいのです。

QTHはプリフィックスがわかればあとでも確認できますし、QSOが済んだからといって、そのままバイバイするのではなく、しばらくそのやり取りを聞いていさえすれば、何分かに一回はコールサインもQTHもDXペディション局によってアナウンスされるはずです。
自分だけでなく沢山の局が待機して受信していることを常に心掛ければ自然に身についてくるはずです。 (2001/3/24)

     
 
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