移動と言ってもいろいろな形態や種類があります。中には勤務や学業の関係で自宅(常置場所)から離れた場所で開局されている方も少なくありません。ただ今の日本の法律では移動局は50W上限の制限がありますから、たとえ移動の形が半固定(つまり事実上固定局と同じにアンテナを設置し、リグなども普通の固定局用のものを並べているケースです)であってもコールサインにポータブルどこそこを付けるわずらわしさが伴いますが、それでもオリジナルなコールサインへのこだわりが捨てきれないで不便を承知で運用されている方が多いのです。  

本格的な移動には、それでも2,3種類の形態があります。いわゆるハンディ機で気軽に出かけて運用するような場合、常に自動車にモービルステーションを積んでいて、移動しながらの運用や、あるいは特定の場所で市町村をサービスしたりするケース。そして本当に本格的なものは移動地でアンテナを張り、発電機を使って行うような場合もあるのです。  

最後のような形は個人ではなかなかつらいものがあります。重い発電機の持ち運びから、大きなアンテナの設営など一人の手に余るケースもしばしばでしょう。ということで、二人連れ、三人連れでの運用が考えられるのですが、今度もまた法律がしばりになって、それぞれのリグを持ち込まなければならないつらさが伴います。

ある特定局のリグを使いまわすことはまだできないことになっているからです。オペレータチェンジと言っても、ただマイクをまわすだけでなく、別のリグのスイッチを入れる必要があるからです。  

でも移動運用の王様はなんと言ってもDXペディションでしょうか。DXペディションとはエクスペディションすなわち冒険の意味ですが、これは合成語です。冒険と言うからには無人島とか、人類未踏の地とか太平洋の真ん中の環礁とかへたをすると生命の危機にもかかわるような地が対照となります。  

最近では昨年のキングマンリーフ、とかマルケサス諸島とかがありますが、その他アマチュアの活動があまりない地域、国などへの遠征も含まれます。最近のレポートではD6(コモロ諸島)やYK(シリア)なども挙げられます。DXペディションと言うにはちょっとおこがましいのですが、筆者は友人と連れ立って、今年も再度サイパン島からQRVしてきました。曰くDXカージョン、これはDXとエクスカージョン=遠足をあわせた筆者の合成語です。DXヴァケーションと置き換えてもよいでしょう。  

最近はこのサイパン島を含めたレンタルシャックが大流行です。なんと言ってもリグ、アンテナを持って行かなくても即運用できると言うのが魅力です。サイパン島のレンタルシャックにはリグ数台とタワーつきのアンテナ(写真は10mのクランクアップタワーに上がったForce-14で14,21,28プラス7MHzのエレメントがある)それに加えて各種のワイヤーアンテナ、屋根馬から組み立て式のビームと全バンドに対応した準備があります。  

もちろん必要な工具、測定器も備わっていて、本当に身柄一つで乗り込めます。無線だけでなく、ダイビングや、ゴルフ、乗馬、ゴーカートなど家族連れでも楽しめる仕掛けがそろっているのです。  

こんな設備は家族連れやアマチュアの老人クラブには最適ですが、もっと冒険をと言われる方は、まだまだ運用できる珍しいエンティティやIOTA対象の島などがありますから、それこそ小型のリグや簡易アンテナなどを工夫されて出かけるのも面白いと思います。なにしろ太平洋の島であれば、ヨーロッパや北アメリカの東側から見ればまだまだ珍しいところだけに、思いっきり呼ばれることは間違いありません。  


今回の運用はCWを中心に行われたのですが、中でも10,28,24のWARCバンドはかなりの人気を集めましたし、数こそ少なかったのですが、RTTYやPSK31と言ったデジタルメディアでも大もてでした。5人合わせた5泊6日の成果はまだ最終的な数字はカウントしていませんが、およそ8,000 QSOにも及びました。日ごろ呼び続けても応えてもらえない鬱憤をはらす夢の一週間でした。

*さらなる詳しいサイパンレポートはQTC-JAPAN.COM Journalの「サイパン紀行−南の島に音が降る」をご覧く ださい。 (2001/2/8)

 
     

 
 
 

交信することはハムにとって一番の原点ですが、交信の目的は人それぞれです。ただ親しい友人と毎日会話を交わすことで満足する人、記録を求めてコンテストに参加したり、大きなアンテナを山の上に担ぎ上げて遠距離交信記録にチャレンジする人、画像通信で画質のよしあしやレイアウトの出来具合を語りあう人、そしてアワードにチャレンジして、次々と新しい相手との出会いを求める人など多種多様です。  

でもカード集めと言うことに限れば、やはりアワードハントを目的とした人にはかないません。交信記録はまずログと言う形でまとめられますが、これも最近はコンピュータログが花盛りで、ひところの手書きのログでは考えられないような整理が可能です。なんと言ってもこのログの特徴は検索能力でしょうか。  

こんな局と交信しているかどうか?このプリフックスではどのような局と交信しているか?どこそこの国(エンティティ)とはいかなるバンドで交信しているか?21MHzのSSBではどのくらいの市郡と交信できているか、等などがそれこそ秒単位でわかるからです。

それにひきかえ手書きログではそんな芸当はできませんから、必然的に整理簿なるものが登場します。つまりコールサインを引き出し、次にその交信内容をチェックすると言う何段階ものステップが必要になるわけです。  
まあここまでの整理はいろいろ人によってやり方もちがうようですが、はたして本体のQSLカードはいかにして整理しているのでしょうか?かつて筆者が交信した相手の方で、QSOに入るやいなや、即座に過去の交信によるQSLカードを手元に取り出して、説明してくれた方がおりました。多分何千ものコンタクトをしている筈ですが、しっかりエリア別、プリフィックス別、コール順にカードが収められたファイルBOXをお持ちなんでしょうね  

筆者も一時はそのような時代もありましたが、年月を経て、あまりにも多くのカードが手元に集まった結果、とてもそのような丁寧なことが出来なくなりました。と言ってすべてのカードが散乱した状態にしておきたくもありません。よって登場したのがここの写真に見える、QSLカードBOXです。最近はどこででも売っているB6サイズのファイルケースで、これをシャックの棚に積み込んでいます。それぞれのケースごとに、 約1,500枚のカードが収まります。よって、主たるエリア別程度に仕分けをしているのです。(例えばJA5,JA6とか、W1,W2、あるいは国でまとめてDL=ドイツとか、VE=カナダと言った具合です)  

もっともDXCCやWAZなどのアワードを申請する目的では、それぞれに必要なカードを一まとめにしております。だいたいの場合はカードファイルで、例えばJARLで発売されている「QSL−DXFile」などを利用しているのですが、DXCCであればファイルの中にエンティティ別のシールをあらかじめ張り込んでおいて、カードが到着したら、そのエンティティの部分に入れて保存すると言うやり方です。まだ未着のところはいつまでも空白状態ですからすぐわかります。


WAJAなどは47都道府県が対象ですから、年賀状整理用のアルバムでも十分に役に立つことでしょう。交信ができてまだカードが到着していないところはポストイットなどに対象局のコールサインと交信バンド、モードを記入して張っておきますこうすることで、交信済み、ただしカード未着と一目でわかるしかけです。  

最近は一寸となかだるみでお休み状態ですが、アマチュア用の世界地図(これも最近JARLからもFBな壁掛け地図が売り出されていますが)を発泡スチロールの板に張り付けて、そこに交信したエンティティには白いピンを、されらにQSLカードをコンファーム済みのところには赤いピンを刺して、こちらも一目でどことやっている、どこのカードは入手済みであるかが座っていても見えるのです。  

このように整理の楽しみ方も無限ですし、工夫のし甲斐があると言うものです。交信する、仕分けする、そしていつでもカードが取り出せる。そんな環境ができあがればハムライフにも一段とはずみがつくことでしょう。 (2001/2/18)

     
 
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