国内QSOでカードをダイレクト交換するのは大変めずらしくなったと言ってよいでしょう。それだけ世界に誇るJARLのQSLビューローが機能していることに他なりません。転送が遅いといっておなげきの方も多々あることでしょうが、かのアメリカでさえ国内のカード交換は今もってダイレクト交換なのです。
それでも、やっと射止めた待望の市郡とか町村の場合には一刻も早くカードと言う証明が欲しくて、ついついダイレクトでおねだりするケースもあるでしょう。
しかしひとたびDXのQSLを得ようとすると、これが結構大変なのです。もちろんビューロー経由で交換できる 相手も多いわけですが、なにしろJAは局数も多いだけに、相手にとればそれほど執拗に欲しいところでもありませんから、こちらのカードが相手に届いて後に発行されることもしばしばです。(発行してくれるだけでも幸運と思わなければいけませんが)
一口にDXと言ってもアメリカとかドイツとかアマチュアの数の多い国ばかりとは限りません。中には一つの国、あるいは一つの島にアクティブなハムが一人しかいないようなケースも多々あって、実はこのような局との交信こそ貴重なものであるわけです。
不幸にしてこれらの場合にはまずその国のビューローはありませんし、当然ダイレクトでカードを請求することになるのです。多くの場合ご当人が沢山のQSLの需要に応えるには大変だと言うこともあって、いわゆるQSLマネジャーが活躍することになるのです。つまりQSLマネジャーはこの珍局氏からログを預かって、ご当人に代わってQSLを印刷したり、発行してくれるのです。
これはこれで大変ありがたいわけですが、やはり交信したご本人が自ら発行したカードが送られてくるのはありがたみが違います。かくしてSAEによるカード請求となるわけです。
SAEと言うのはSelf Addressed Envelopの略で、自分の住所氏名(つまり返信のあて先を明記した封筒を返送料を添えて送るのです。上の写真はこの例の一つで東チモールの4W6MMから返信のあったものです。
お気づきかもしれませんが、私はこの返信用の封筒に数年来ピンクのエアーメール封筒を使っています。薄くて、当然軽くて、しかも安いと言うのがその理由ですが、同時にこのピンクに意味があります。毎日首をながくして返信を待っている時にポストの中にピンク色が見えた時は思わずにやりとします。
まさにピンク色の使者に他なりませんから。 右の例はエチオピアのET3BNからの返信封筒とQSLカードです。エチオピアとは以前にもQSOできていたのですが、このカードは数すくない24MHzでの交信のものだけにピンク色の使者に思わず手を合わせたものです。
実はピンク色の使者にはまた別のおみやげがあったのです。ご覧になってわかるように、いずれの封筒にもその国のカラフルな切手が貼られています。DXとのQSO、そしてそのQSLカード、加えてその国からの珍しい、美しい切手。QSLの請求にはそこそこのお金もかかりますが、
このようなおまけもあるのです。
もし貴方が切手のコレクターだとしたら、これ以上のよろこびはあるでしょうか?お金を出して買ったものでもありません。友人から譲り受けたものでもありません。正に自分が自分の力で集めた本当のコレクションです。
左は一番上から、ナミビアのV51ASからの返信、左斜めはスペインのマネジャーから戻ったモロッコのCN8KDのカードが入っていた返信封筒、続いて、マン島のGD0TEPからのもの、オマーンのA45XRからのもの、
一番下はザンビアの5H3RKからのものです。
いかがですか、このようにして交信するだけでなく、その国の所在を地図帳で確かめ、カードを入手して交信の確証を得、さらにはそれぞれの国からの香りを切手によって確かめると言う二重三重の楽しみが約束されます。
今日もまだ見ぬカードと切手に夢をはせながら、次のダイレクト請求に夢がひろがります。今度のピンク色の使者は果たしていずれの国から届くでしょうか?
(2001/1/26)
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