新年早々にコンピュータが駄々をこねまして、写真、イラストの取り込みがしばしできません。そこでこのコラムも文字だけのお話になりますが、お許しください。  

いつでしたか、モービルハム誌のこのコラムで夢物語を書いたことがあります。実際はアメリカのハムの随筆を抄訳したものでした。  
その話と言うのは、自分が仕事に出かけている間にトランシーバーとコンピュータの組み合わせが、自動的にQSOの有無を検索し、もしまだ未交信の相手であれば、これもまた自動的にQSOして主人公の帰りを待ち受けると言うしかけで、あとは「良くやった!」とばかりにQSLを打ち出すだけと言う、もしそうでもなったらアマチュアの存在すら否定するような内容でした。  

でも実際に21世紀にはコンピュータの登場がハムのスタイルを一新したと言ってもよいでしょう。最近の会話といえば「何時どこそこの周波数と電波形式でコンタクトしていますね。今日は2度目のQSOです!」と言うようなイントロが不思議でもなんでもなくなりました。

これは正しく電子ログの登場の結果といえます。  別のコンテストプログラムではコールサインを入力するだけで、相手局のオペレータのハンドルネームが自動的に送出されます。まことに忙しいコンテストの最中に「Hi Masao!」と打たれたらびっくりするところですが、近頃は不思議でもなんでもなくなりました。  

そして電子QSL(e-QSL)の登場です。QSLのフォーマットを作っておきさせすれば、あとはログの中味をインプットするだけで、QSLバンク(銀行?)にすべてのデータが収められていますから、後はそれを必要とする人がコードをインプットしてアクセスするだけで、必要なカードをとりだせる仕掛けです。  

いまでこそまだ実験段階ですが、あと数年もせずにカードの交換はすべてコンピュータを介して行われるかもしれません。QSOをしながらログの入力を行えば、ほとんどリアルタイムでカードが発行され、しかも相手局が即時にとりだせるのですから、こうなるとQSOの仕方も中味も変わってきてとうぜんでしょう。  

DXペディションはいつの時代もエキサイティングなものですが、困ったことにはいたずら局が出没することです。電話の場合はいざ知らず、電信とかデジタルモードでは確実に本人かどうか見極めることがむずかしく、それを利用したUC(Under Cover)局がここぞとばかりに偽電波をだして混乱させるのです。  

つまり自分がQSOしたDXペディション局が本物かどうか見極めがつかず、さりとて同じ局を同じバンド、モードで何度も呼ぶ(保険QSOと言う)のも気がひけて、気が付いてみると全部偽者相手のコンタクトだったなどと言う笑えない事実もあるくらいです。  

ところがどうでしょう。最近のDXペディションでは、その日の内にインターネット上でQSOの中味の検索が可能になってきています。つまり決められたサイトにアクセスして自分のコールサインを打ち込めば、即時にどのバンド、モードのQSOが有効かがわかるのです。  

多分数年後には写真入のものもでてくることでしょう。いまBSのデジタル化が始まりました。つまり音声がデジタルで送られるようになれば、かならずその空きチャンネルで画像の転送等も行えますから、QSOをしながら自分の写真を送出して、相手はその画像をみながら話をすると言う、いまではまだSSBプラスSSTVでしか出来ないような芸当が普通のことになるのです。  

21世紀と言ってもまだはじまったばかりで100年後の予想はまったくできませんが、以上のようなことならば、ごくごく近い将来のこととして頭に描くことすら不可能ではありません。  

こんな時代が到来すれば入力機器のトラブルで云々と言った言い訳はもはや効かない時代になっていることも事実でしょう。  まずは皆様のすばらしい21世紀の滑り出しをお祈り申し上げて、ひとまずコラムを閉じることにします。 (2001/1/3)
 
     

 
 
 

相変わらず入力機器がトラブル中で、画像を含んだコラムが作れません。引き続き文字のみのコラムをお目にかけます。コンピュータ補修の都合上、次回のアップデートは1月20日前後になる予定です。  

さて前回は初夢ものがたりでしたが、今回は21世紀の予言といきましょうか。でもこれだけ科学技術の進歩が激しいと本当に予測が出来そうにもありません。と言うことで今回はかなり前にご紹介した新聞記事を採録します。題して「100年前の新聞にみる20世紀の予言」。

これは明治34年(1901年)1月2日から3日にかけて当時の報知新聞(確か読売新聞の前身?)に掲載されたもので、今みるとあっと驚くような予言がされています。かなりの長文ですからところどころ省略していますし、古い表現は今風に若干あらためております。  新聞の記事はつぎのような紹介文から始まっています。  
19世紀はすでに去り人も世も20世紀の舞台をふむこととなりました。19世紀の世界の進歩はおどろくべきもので、物理的な部分では「蒸気力時代」「電気力時代」と言われ、形のないものでは「人道時代」「婦人時代」と称されていますが、更に20世紀はどのような現象が現れるでしょうか。  

すでにフランスの小説家ジュール・ベハス(筆者注:海底2万マイルのジュールベルヌのこと?)が20世紀を予言した小説を書いて喝采を博しているけれども、まだまだおおくの進歩が現れるであろう。今はまだ不思議という範疇のものであっても、それがそうでなくなることもきっとあるだろう。  

1 「無線電信及び電話」=マルコニー氏の無線電信は世界諸国につながって、東京にいるものが、ロンドン、ニューヨークにいる友人と自由に会話できるようになるであろう。  

2 「遠距離の写真」=数十年後ヨーロッパは戦雲暗澹たる可能性もあるが、東京にいる新聞記者は編集局にいながら、電気の力で、その状況を即刻写真として、しかも天然色で入手できるだろう。  

3 「野獣の滅亡」=アフリカの原野にいるライオン、虎、鰐などの野獣をみることがなくなるかもしれない。大都会の博物館でのみ見れるようになるだろう。  

4 「サハラ砂漠は次第に沃野となり、東半球の文明は中国、日本及びアフリカで発達するだろう。  

5 「7日間世界一周」=19世紀の末には少なくも世界一周は80日間かかったが、20世紀には1週間もあれば足りるだろう。また人々は男女を問わず必ず1回以上は世界旅行を経験するだろう。  

6 「空中軍艦、空中砲台」=ツェッペリン式の飛行船はさらに発展して、空中に軍艦や砲台が出現するだろう。  

7 「蚊やのみの滅亡」=衛生事業が進歩し、蚊やのみの類は次第にいなくなるだろう。  

8 「寒暑知らず」=新しい機械が発明されて、暑寒を調節する為の空気が送り出され、アフリカの進歩もこれによるところが大きいだろう。  

9 「植物と電気」=電気の力で野菜を成長させることができるようになるだろう。えんどう豆はだいだいほどの大きさにもなり、菊、牡丹、バラなども緑や黒の花をつけることもあるだろう。グリーンランドに熱帯の植物が生長することも可能だろう。  

いかがですか?特に中味の解説も必要ないくらいです。予言が実際にはどうなっているかは皆さんなりに現実とみくらべてください。  

まあ、このように項目は全部で23に渡っているのですが、あまりにも分量が多いので、また続編をおとどけします。ご期待ください。この予言の内容については過去にローカルクラブ等々の講演でも使ったことがありますので、重複してご覧になる方もありますが、その場合はお許しください。
どの予言がどのくらい実現のものとなっているかを見るだけでも楽しいものがあります。 (2001/1/10)

     
このページに掲げた写真は本文に関連がありませんが、松本さんの撮影によります。
Copyright © 2004 QTC-Japan.com All rights reserved.