続いて古い話で申し訳けありません。メーカー製の送受信機のなかった頃のお話です。ようやく配線図が読めるようになったものの、実際の部品をどの位置にどのように取り付けたらよいものかさっぱりわかりません。昨今であればさしずめプリントパターンに当たるのがこの実体配線図です。  

プリントパターンの特徴はすべて平面状にいかに干渉を少なくするようなパターンを描くかが勝負ですが、その点、この時代のものは比較的大きな部品がありますから、どうしても立体的な配線になります。

あるいは部品と部品をつなぐ支柱としてのラグ板の活用が特徴でしょう。真空管ソケットの足からスイッチ類の接点にいたるまで、あますところなく描かれているのが特徴で、まったくの初心者でもそっくりに組み上げさえすれば完成すると言うまことにありがたいお手本でした。  

当然真空管式のリグですから、真空管ソケットを中心に種々のスイッチ類、コイル、抵抗,コンデンサなどが実際の姿で描かれているものです。ご覧にいれているものは、昭和36年2月に電波実験社から発売された「アマチュア無線用送信機」と言う本に掲載されたJA1TV増永さんの電信・電話5W送信機の記事に付帯しているもので、同送信機のシャーシの裏側の配線が写真のように描かれて、さらに各部品の値が示されているものです。  

これは初心者にとってはまったくの福音で、手探りで機械つくりをする者にとってはありがたい限りです。別にこのままそっくりにくみ上げる必要はなく、自分自身で設計すれば良いわけですが、やはり配線の長さとか位置とかでお互いに干渉したりするものですから、先人の知恵と言いますか、これらの実例はさまざまな実験の成果だけにきわめて再現性の高いものです。  

最近は自作の機会も少なくなっておりますが、アンテナの短縮コイル一つにしても、例えば50φの40ターンと言った説明にしても本当の初心者にしてみれば、どんなボビンに巻いたものか、あるいは中空構造なのか、そして巻き方の密度はいかがかなど、悩むことしきりです。そんな折にほんの簡単なものでも図示してもらえれば容易に理解できると言うものです。  

たぶん最近のキット類には同じような実体図がついているものがあろうかと思います。そんな図をながめながら半田づけをするのも楽しいものです。しかし実体図のみを頼りにせず,実際の配線図とダブルチェックしながら一つ一つ確かめながら行うのが成功のコツです。 (2000/9/28)
 
     

 
 
 
移動運用をする目的にはいくつか上げられます。一つは日頃シャックの条件が悪く(集合住宅でアンテナが思うように張れない。谷間に位置しているので電波の飛びがいま一つ悪い。どうも電波障害が出ているようで心配。受験勉強中の子供がいるので家では十分に無線を楽しむことができない。等々)移動に頼らざるを得ない場合。もう一つには電波のより良く飛ぶロケーションで運用したい(特にV/UHFでは顕著で、50MHzのDXのために沖縄まで移動された方も多いように聞いています)とか、自分もとれないようなハムの活動の比較的低い所に移動して仲間にサービスしたい。と言った理由でしょうか。  

特に後者の目的はアワードハンティングの対象となるような地点への移動が顕著です。グリッドロケータではごく一部しか陸部にかかっていないような場所、極端な都市部でローバンドのアクティビティの低いところ、そして市町村アワードの対象ともなる珍しい市部、郡部、そして町村。IOTA(島嶼を対象としたインターナショナルなアワード)であれば、新しい島の開発(新IOTAナンバーの獲得)などさまざまです。  

町村を追いかけるには普通の全国地図あるいは分県地図でもよいのですが、境界が見づらい欠点があります。その時に役立つのが白地図です。新しく改定されたJARLの「アマチュア無線用日本/世界地図は良くできていて、行政区分図(ここで言う白地図)も付いていますので大変便利です。

もっとも筆者は、昔から福島県のクラブが発行している「市村地図付全国市町村リスト」と言うのを愛用しておりますが、長い年月に渡ってQSO済みの市町村をその都度適当に色づけしてきましたので、いまではカラフルと言いますか、少々ゴテゴテした感じになってしまいました。  

それでもこの地図は大変貴重で、一見してQSO、未QSOがわかります。そして、さらに言うならば、移動にでかけるのはまだQSOできていない、つまり地図に色が塗られていない場所が優先するのです。つまり自分がQSOできていないのだから、他の人もおそらく必要としているであろうと言う勝手な理屈付けによるものです。  

かくして齢○○才にしていまだに塗り絵から卒業できないでいる始末です。 (2000/10/3)
     
 
Copyright © 2004 QTC-Japan.com All rights reserved.