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| アマチュアですから・・・・ |
ちょっといいハナシ(11):ZL3ZZZを訪ねて
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ひょんなことから二組の夫婦がニュージーランドの南島をレンタカーでドライブの旅に出ることになりました。真夏の強い日差しの中、クライストチャーチから144/430MHzFM機を搭載したモービルステーション2台が南島一周を目指してスタートしました。日本とニュージーランドの間には相互運用協定などは結ばれていないのですが、日本人でも4週間以内の運用ならば144MHz以上のアマチュアバンドで事前申請ナシで運用させて頂けるのですから短期の海外ビジターハムにとっては嬉しい制度です。
ご一緒するMさんはRTTY、CW、SSBなんでもこなすオールマオティーなDXerとして知られ、アマチュア無線入門書の著作やアマチュア団体の役員としても活躍され、海外勤務で磨きをかけた英会話を駆使してDX交信から国際会議までなんでもこなす異才のタレントです。これ以上に優れた同行者はいないという願ってもいないパートナーです。
初めにクライストチャーチ郊外のZL3ZZZ、マクドナルドさんを訪ねました。
Mさんが日本を発つ前にRTTYで交信して、訪問の打ち合わせを済ませていましたので、クライストチャーチでは電話で道案内をいただきました。144MHzFMの周波数を打ち合わせて2台は走り始めました。郊外の農場付近に近づく頃、彼が私たちをコールしてきました。もちろんMさんが流暢な英語で応えて、しばらくラグチューしながら誘導していただきました。
あたり一面に色とりどりの花が咲き乱れ、さわやかな風が吹いていました。ゲートをくぐると農場の一角にアンテナタワーがそびえていて一目でZL3ZZZのお宅と分かります。到着と同時にマクドナルドさんと夫人がにこやかな笑みと共に私たちを出迎えてくれました。白い建物の周りには丹精こめた色鮮やかな花が匂うように咲き誇っています。
初対面にもかかわらず十年の知己のように迎えてくれました。趣味を同じくする仲間の特権でしょうか。挨拶もそこそこに裏庭に案内されました。広い農園ですが何も栽培されていないだけでなく幅50メートル、道路のような空き地がずうっと続いています。私たちの疑問に応えるよう「これは飛行機の滑走路です。以前は羊を飼っていましたけどね」とニコニコ笑みを絶やさないマクドナルドさんです。なんでも空軍パイロットとしてニュージーランドの空を飛び回っていたということですが、いまは退役して悠悠自適の毎日と伺いました。
倉庫に案内されて扉を開けると、そこには軽飛行機が2機格納されています。そのうちの1機は買い手がついて整備中の様子でしたが、いずれもキットから作り上げた飛行機だそうです。他の1機はいつでも飛べるように良く整備されていました。「不時着したら怖いな」と思いながら見ていましたら、「北島までよく出かけますよ」とこともなげです。
驚くのはこれだけにとどまりません。隣接する大きな小屋に案内されましたら、そこには製作中の大型のモーターボートが横たわっているのです。パーツを買って一人で作っているといいますから肝をつぶしてしまいました。作りかけのボートに梯子をかけて中に入りましたら、広いキャビンにまたまた感嘆するばかりです。リビングと広いベッドルーム、キッチンなど豪華な作りに目を奪われてしまいました。このボートで世界一周の旅に出ると語っていました。またまた「海原でエンジンが止まったらどうするのだろう」「船体は真二つに壊れたら?」と余計な心配していると、「大丈夫!私が作るボートは絶対に安全だ」と強調していました。
マクドナルドさんは読心術を心得ているらしく的確にこちらの心理を読むのがうまいようです。テーブルの上のクロスを取るとFT-101が出てきました。片目をつぶって「XYLに見つかるとうるさいからね」とニヤリ。アマチュアの恐妻家ぶりはどこの国も同じと実感しました。ニュージーランドは飛行機もボートも手作り派が大勢いらっしゃるとのこと。「検査とか、車検みたいなものはないのかな」と考えていると、「納得行くまで作り上げたものが一番信頼がおける」とまたもや問わず語りが続きました。
驚きつづけていましたが、やっとシャックに案内してくれました。
リビングの一隅に狭いシャックがありました。広い土地、広い住まいに似合わない小さなシャックです。「XYLが料理をしながら見渡せる場所がココです。いつも何をしているか分かっていいのです」と首をすくめて見せました。日本製の無線機とRTTYマシン、TNCなどが並んでいました。それにしても「ZZZは面白いコールサインですね」「たまたま空いていたので・・・・」控えめでしたが、一度交信したら忘れられない印象に残るコールサインが空いてさえいれば自由に取得できるニュージーランドのハムをうらやましく感じました。
空と海で活躍するマクドナルドさん、アマチュア無線を通じた交友がキッカケとなって、単なる観光パッケージツアーでは決して味わえないニュージーランドの素敵な家庭とライフスタイルを垣間見ることができました。奥様手作りの美味しいクッキーと紅茶をいただきながら、向かい合って座っていたMさんご夫妻のまなざしも「アマチュア無線やってて良かったね・・・」と私達夫婦に語りかけていました。
アマチュア無線の電波に載ってはるばる赤道を越えて行き交う、無言の英語アルファベット文字列で元敵国軍人のマクドナルドさんと結ばれた友情でした。
お顔を拝見し、お声を直に聞き、さらに親しみが増したマクドナルドさんの『楽しいニュージーランド旅行でありますように、車の運転に気をつけられて・・・』真心が込められた暖かい電波に送られて、とても幸せな気分で次の宿泊地・マウントクックへのハンドルを握っていた私達です。
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