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失敗をカバーした、いい話し(1):ラオス編
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十何年かぶりにラオスからXW8KPLの電波が出たときのエピソードです。
このときは大パイルアップになりましたので、当然、DXサービスの常識スプリット運用をはじめました。コールする周波数の幅はなんと100キロへルツにも広がってうなり続け、この時ほどオペレーションが恐ろしく感じたことはありませんでした。
日本のDXサービスの一行は、タイの首都バンコクで一泊しました。いつものアンバサダ・ホテルではなくて今回はちょっと怪しげなホテル!
いつも予約をお願いしている観光客相手の"宝石店"の親父さんが手配してくれました。宿泊料金はべらぼうに安いのですが、なにやら連れ込み風な感じもしました。
それはともかく、ラオスに持ち込むトランシーバやDC電源、アンテナと同軸ケーブルなどを各自の部屋に分けて持ち込みました。 さあ、明日はいよいよバンコクからラオス入り、はやる気持ちを抑えながら早めに床に着きました。
翌朝、空港まではタクシーで向かいますが、なかなかつかまりにくいと宝石店の店主に情報をもらいました。気の利いたメンバーの手配でタクシー3台が、ホテルの前で早く私たちを待っています。数人のメンバーは機材を持ってチェックアウトもそこそこにタクシーに突進しました。タクシーに乗った安堵感と、「さあいよいよラオス入りだ」という気持ちで興奮しながら空港へ向かいました。
ソ連製の双発機は内壁をガタガタと音を立てながらラオスの首都、ビエンチャンに無事到着。
空港には受け入れ側のKPL(ラオス国営通信社)の責任者が出迎えてくれました。機材の通関も無事済ませてホテルへ向かいました。フランス統治時代のしゃれたホテルに落ち着いて昼食。午後から無線機材の梱包を解く作業に入りました。
はじめにトランシーバ、マイク、そしてアンテナ、ケーブル・・・・電源? 「あれっDC電源がないよ、どこかな?」 「・・・・・」 一同、顔を見合すばかり。ビエンチャンの空港に置き忘れ? いやそんなはずはないと考えをめぐらせました。しかし、いくら探してもありません。
DC電源がなければ私達が持ち込んだ小型HFトランシーバは動作しません。つまり電波が出せないのです。世界の愛好家が待っていると考えるだけで、皆の顔は真っ青です。
一人が落ち着いた声で、 「自動車のバッテリーを買いに行こう。充電器と組み合わせてフローティング充電で、とりあえず電波を出そう」と提案しました。
「充電器ならビデオカメラに使っているニカド電池の充電器がある、これでしばらくは使えるからバッテリーをすぐ見つけてくれ」ともう一人が提案しました。
KPLの係員がこの話しを聞きつけて、車両セクションから中古のバッテリーを調達してくれました。ビデオカメラのチャージャーと組み合わせてこれで電波が出せます。DC電源の所在を詮索しないで、運用の開始を優先しました。
YAESUのFT-757を50Wに抑えて自動車用バッテリーを電源に運用を開始しました。送信時に少しは電圧が下がりますが問題は生じません。
DXサービスをはじめると同時に、他の隊員は新品の自動車用バッテリーと充電器を街の自動車用品店でそろえてきて、これで100Wの運用ができます。ビデオカメラの充電器も本来の用途に戻り記録用の映像が撮れるようになりました。
突然、バンコクの日本大使館からホテルに電話が入りました。ホテルの部屋に置き忘れたDC電源を見つけて日本大使館に届けられたという内容でした。よく無事に届けられたとものだと信じられない気持ちで奇跡を喜びながら、早朝、タクシーに乗り込んだ時の光景を思い出していました。誰の部屋にDC電源があったのかも同時に気づいたのです。
・・・・・でも、誰一人置き忘れた人を責めませんでした。
「帰りに受け取ろう」 誰かがさわやかに言いました。
一同はうなずくとそれぞれ持ち場に戻りました。 |
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