包括的免許制度の実現に向けての『責任と義務』
 

本当に『法律の壁』は存在するのでしょうか?!

日本のアマチュア無線家達が永い期間にわたって、実現を希望しながらまったく見通しの立っていないテーマの一つがいわゆる「包括的免許制度」ではないでしょうか?。 ほぼ日本の全アマチュアが強く望みながらいつまで経っても実現しないと申しましても、組織的に「包括的免許を要望して郵政省側から断られた」という具体的な裏づけのある話を未だかって聞いたことがありません。JARL総会では「包括免許の推進」が毎年のように掲げられておりながら、何の進展はおろか具体的な交渉体制すら見えてこないのは不思議なことと受けております。ここらで「包括免許」に関して郵政省との交渉過程が全く見えてこない理由・経緯を検証しておかなければなりません。

日本の多くのアマチュアが「包括的免許」を待望するのは、ずいぶん昔から実施されている米国・豪州などの「包括免許制度」の詳細を知ったからにほかなりません。日本人が相互主義に基づく運用で米国を訪問する場合、手続きが全く不要になったことに加えて、試験に合格さえすれば、名前・住所・所持資格等を記入するだけで資格に基づいた局免許(コールサインの発給)が受けられる米国、豪州のような免許制度が日本にも導入できないかという待望論の根強い根拠がここにあります。

『簡易な免許申請をアマチュア局だけに認められないのは、プロ局との横並びが成り立たない』という理由を挙げて実現が不可能と説明されています。つまり『アマチュア局もプロ局も、電波法の上では同じ扱いだからアマチュア局だけを特別扱いはできない』ということらしいのです。まるで、『アマチュア関連国内電波法やその解釈に限っては、いかに納税者たるアマチュア側がそれを望み、時代のバックグラウンドが変遷しようとも永久不変でなければならない』かのようなおかしな感じがします。

<絶対に変えられない法律>なんてそうザラにあるものではありません。まともな包括的制度をアマチュアの総意として押し捲れば100%可能ではないかと私個人は考えています。21世紀に向けてより多くの国民の意見に耳を傾け、より多くの国民の意に適ったよりよい電波行政を目指そうとする郵政側は、アマチュア制度を簡素化することについて基本的には前向姿勢であると聞いております。

その反面、優先される国益とはだんだん無縁になるどころか、特に近年になってから需要急増のマイクロ波帯争奪戦においては相反する存在になりつつあるアマチュア業務なんぞに関わっている人材も時間も不足気味という避けようのない現実も横たわっていそうです。
「バンド逸脱と一般社会に電波障害(混入)を与えさえしなければ、現状で好きなようにやってておくれ・・・ただし、アマチュア関連内部トラブルの持ち込みはゴメン!」というような投げ遣り的な極論さえ、声なき声として時には聞こえてきます。



では、どうしましょうか?!/自由と責任の関係・・・


日本での現状と、これからにふさわしい包括的新アマチュア免許制度を考える<公的な委員会>を作って様々な角度(視点)から論議、会員・非会員の区別のない署名嘆願書を作成するなどして、実施後に郵政側だけに非難などが向かないように立体的に繕ったきちんとしたアマチュア側の要望と内容、裏付け資料などをJARLが牽引役となってまとめ、行政側に問いかけることによってこそ包括的新アマチュア制度の実現に向かっての第一歩を踏み出せると私には思われてなりません。

そのためには、電波障害(混入)対策が包括制度導入とコンビで欠かせないと考えます。
アマチュアとは比較にならない位に低出力の一部の携帯電話が、テレビやパソコンなどに与える障害申告に頭を痛めているとも聞いています。携帯電話ならば、業界に対する指導で監督官庁としての表向きの責任は一応果たせます。

・・・が、アマチュア局を開設できる有資格者数だけでも裕に100万を超え、建前はともかく現実には開局目的も技術レベルもさまざま、それぞれの個々が全国各地にバラバラのアマチュア無線界です。プロ業界と同じように、行政側が頭を悩ませている一般社会向け電波障害(混入)対策に<全体としてきちんと取り組めるかどうか>も、アマチュア包括免許制度導入への一つの大きな分岐点になるような気がします。

郵政側の一層の理解と協力を得るためには、包括的免許制度の実現を一方的にアピールするばかりでなく、JARLこそがしっかりと合法アマチュア局全部の一次業務バンド/二次業務バンドでの基本波電波障害(混入)対策を研究、マチュア側を代表する組織として可能な範囲で個々の良識派アマチュア無線家達と協力し合って社会的責任を分担することを包括的制度提案の表裏一体として盛り込む必要がありそうです。

いくら個人レベルで楽しむアマチュア無線といえども、社会全体における立場は大口電波資源使用者(アマチュア無線全体を指せば)となります。すべてをアマチュア個々の責任に転嫁して、代表組織としての積極的な電波障害(混入)対策に目をつぶっているとでも万が一にでも<誤解>されれば、包括的免許制度の導入は遠のくかもしれません。


地域クラブや各地域支部単位はもとより、JARL NEWSやJARLウエブを介するなどして、本部が率先して各バンドの基本波による障害(混入)発生状況をレポートし、それらに対する有効な防止手段を今まで以上に広く啓蒙する必要があるように思えます。同時に
被障害側デバイス製造者にも責任の一端(アマチュア無線の存在を知らぬが故の周波数選択ミスやコスト削減によるあきらかな手抜き設計など・・・)があれば、それを証明・明確にすることによってアマチュア側に対する濡れ衣を払うことも手遅れにならないうちに考慮されてしかるべきです。

日本のアマチュア無線のより一層の発展を願えばこそ、包括的アマチュア制度への夢だけを一人歩きさせず、「アマチュアの自由・権利」に対する「アマチュアの責任・義務」の遂行についてもJARLは大きな役割を担っていると申せましょう。同じアマチュア無線家でありながら、高いところに構えて同じアマチュア無線仲間達を『指導』『監視』するだけではなく、まともな一般アマチュア無線家達と肩を並べて日本のアマチュア無線のさらなる進歩と発展のために行動を共にできるJARLが理想です。

一般社会→郵政→JARL→個々のアマチュア、そんなバランスを考慮しますと、JARLに期待されるべき役割は今後ますます大きくなりそうです。 QSLビューローの下請け手配だけでなく、ボランティア志望のアマチュア達の意思尊重をも含めて、個々のアマチュアと一般社会双方のために有意義と思われることを様々なシーンで具体的に実行・アピールすることによって、アマチュア無線家の社会的地位も向上し、様々な活動を通じてJARLの顕かな存在価値が評価された結果において、会員減を防げるどころか増加も期待できるのはないでしょうか?

 
 
 
 

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