日本人ハムは内外で肩身が狭いのです
 

相互主義に基づくアマチュア局の運用を認めている国は徐々に増えてきましたが、いわゆる<相互運用協定>を結んだ国はいまだ9カ国に過ぎません。世界の国の数からすればまだまだ緒についたばかりと言ってもよろしいでしょう。

相互運用を結んだアメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、韓国、フィンランド、アイルランド、ペルーの友人が来日してあなたのシャックを訪れた場合に、自国の免許状・証を所持すればゲスト運用が可能です。事前に申請すれば自前のアマチュア局も開設できるのはご承知のとおりです。最近になって外国人ハムに割り当てられるコールサインが、日本人と同じになったのは大きな前進です。

日本人ハムが相互運用協定を結んだ国を訪問したときはどうでしょうか。相互主義ですから事前の申請で開設と運用ができますが、国によって日本とは少し事情が変わります。

たとえばアメリカ合衆国は、免許申請が全く不要になりました。自国の免許状・従事者免許証・同英文証明を携帯することを義務付けているだけで、運用地域のプリフィックス/自国のコールサインで自分が設置した固定局からも、他人のシャックからでも、モービル局でも運用できるのですからアメリカ政府の理解と懐の深さを感じます。アメリカ人と同じコールサインが欲しければ、アメリカ入国前に日本国内でFCCのVE試験を受けて資格/コールサインを取得することさえ可能です。

オーストラリアでは免許申請を行いますがコールサインはオーストラリア人に割り当てられるのと同じコールサイン(例・VK2△X□)が発給されますので、日本人ハムには人気があります。非常に簡素化されたA4紙表裏1枚の申請書に日本の局免許状・従事者免許証・同英文証明、申請料金、パスポートを添えてACAの窓口に持ち込めば、その場で申請を受理、申請者が希望するコールサインが空いているかどうかまでその場でチェックしてもらえます。コンピュータシステムダウンなどの特殊な場合を除いて、カウンター越しにライセンスをすぐに発行していただけるのは言うまでもありません。

日本の3級資格/50W移動局の局免許状を提示してさえ、落成検査もなく400W/pepで21メガのSSB運用が可能な移動/固定局の種別を指定されないライセンスを手にして驚かれた方も多いと聞いています。驚くべきことにオーストラリアでは、相互運用/認証の有無に関わらず、外国籍の訪問者がどこの国のどんな下級アマチュア資格を基に申請しても、VK国内ローカル局との国際親善/VK資格取得情報収集がはかれるようにとの目的で最低でも2m/10Wの個人局ライセンス発給が保証されています。

いわゆる相互運用協定を結んだ9ヶ国以外の数えあげたらキリが無い位に多くの国でも、決められた手続きを踏むことによって日本人ハムにも無線局の開設や運用が認められています。逆に日本では9カ国以外の外国人ハムの運用は認められていません。唯一の例外として日本語でしか実施されない国家試験を受けるなどの方法で日本の無線従事者免許証を取得した場合に限り、日本人と同じようなアマチュア無線局開局への道が開けています。

たとえば中国では、所定の申請書(JARL国際課で入手可能)に自国の免許状・従事者免許証、写真・パスポート、申請料金US5ドルを添付して北京のCRSAに送ると10日ほどで運用許可証が送られてきます。これを持参して同国のクラブ局(BY、BT)を訪問してJA1××× /BY1PKのようなコールサインで運用が認められます。ただし、BA、BD、BGの個人局での運用はできません。 中国人ハムが日本を訪問した時は、無線運用は認められていません。日本人が中国を訪問して運用させていただきながら、中国人ビジターハム達はクラブ局においてすら日本で運用ができない状況にあります。

日本人ハムがニュージーランドを訪問した場合、2mから上の周波数に限っては免許申請が不要です。自国の免許状・従事者免許証・同英文証明を携帯して4週間未満の運用が許されます。2mFMハンディー機を使うのも、またレンタカーに2mFMトランシーバーをつけて交信するのもおかまいなしというおおらかです。コールサインは運用地域のZLプリフィックス/自国のコールサインです。
一方、ニュージーランド国籍のハム達が日本を訪問した場合、例え1日/2mハンディー機1台ですら日本でのアマチュア局運用を許されておりません。

日本人多数の運用実績のある東南アジアのシンガポール、あるいはタイランド、マレーシア、フィリピン などのハムが来日しても事情はほぼ同じで日本での運用は認められていません。ロシア、モンゴル、中央アジアの国々も同じです。 シンガポールの友人、9V1XO/ピーター・イーさんが来日したときも、北京のBA1CY/周海嬰さん、上海のBA4AD/デヴィさん、BD4AC/チェンさんが来日した場合も事情は同じです。シンガポールや中国を訪問したときに運用させていただいているにも関わらず、そのお返しが日本ではできません。 これを「片手落ち」と言わなくてなんと言うのでしょうか?

数え切れない数の日本人ハムが100を軽く超える外国諸国で恩恵を受けていながら日本国内では、外国人ハムの運用をごく一部しか認めない日本の制度に肩身の狭い思いをしています。
ライセンスのレベル合わせや制度の違いが問題にされていますが、まずは世界の一員として国際親善を優先する観点から、局長権限・責任による外国人ハム・ゲスト運用を認めるところから始めてはいかがでしょうか。

現行のアマチュア無線制度を頑なに守り続けるだけでは進歩がありません。
思い出しても見てください。昭和27年のアマチュア無線の再開は1級と2級の2つの資格だけでした。その後2級はCWの試験に受かった者のみが新2級に移行し、CWを受けなかった者は旧2級=電話級に変更されました。そして電信級が追加されて後に3級に、そして電力は10Wから50Wに変更されました。さらに9カ国と相互運用協定が結ばれました。 再開から40年の間には上級にだけ許されていたRTTY、SSTV、FAXなどの特殊モードが次第に電信・電話級(後に3級,4級)にも開放された歴史的な背景もあります。

日本人にとって、様々な意味で外国が身近になり、諸外国に友を求め、民間レベルでの国際親善・相互理解に寄与するつもりならば、新しい時代に合わせて法律は変更されてしかるべきです。
<趣味・アマチュア無線>の海外/国内事情調査などに深く関わっていられない位にご多忙の上に、国自体/一般国民にとって、もっと重要で急を要する様々な難題を抱えて職員の皆さん方が手一杯の郵政省や外務省などに一方的な期待を抱いてじっと待つばかりではあまりにも芸がありません。

私たちアマチュア自身が主役となって積極的に信頼できる情報収集・情報提供・アッピールすることによって当局の手間を省き、ご理解をいただきながら、日本の風土に合ったより良いアマチュア無線制度の実現を目指して後世に伝えていかなくてはなりません。
特に最近の日本のお役所は、郵政省も外務省も決して捨てたもんではありません。公務員の皆さん方の素晴らしい意識変遷を追い風にして、JARLが掲げるアマチュアコード『アマチュアは国際的であること』を、日本のアマチュア無線界を代表する組織・JARLが主体となった上で<要>の部分だけに限って諸官庁の助けをお借りして真に実現できる日がもはや手の届くところまでやってきています。

 
 
 

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