個人通信とハム
 

『携帯電話にアマチュア無線は侵略されてしまった』

特にここ数年、ハム雑誌編集長という立場もありまして、ハム関連業界の皆さん・JARL幹部の方々・一般アマチュア各局を問わずに多くの人たちから上記のようなご意見を<アマチュア無線衰退の主原因>として度々拝聴してまいりました。果たして本当にそうなのでしょうか?、 このようなお言葉を耳にするたびに『本来のアマチュア無線家を見下したような発言は止めて欲しい』と、常々疑問に思い続けてきた私です。

確かに『手軽に通信できる』ということだけを中心に考えれば、通話相手や通信目的を選ばない携帯電話は便利です。インターネットでの文字通信はRTTYやパケット通信よりも手軽で迅速・確実な場合が多いです、SSTVやATVよりも美しい画像も送れます。特に、ISDNやCATV回線の普及で転送速度が上がった最近では、海外や国内遠距離でさえ、ちょっとした中級インターネット活用ワザを習得することによって市内通話料金同然での音声同時通話が可能になってしまいました。
しかし、私は声を大にして叫びたいのです。アマチュア無線の<真の基本>は『手軽に通信する』ということとは全く別物であることを・・・。

少年時代からアマチュア無線を長く続けている私は、人生そのものに通じる多くのことを学びました。

  • 10kΩの抵抗が必要なのに手元に無ければ、6KΩと4KΩを直列につないだり20KΩが2本あっても代用できる・・・無数の組み合わせを考えて、すぐにはあきらめない。

  • どんなにカタログデータが素晴らしいメーカー製のアンテナを手に入れたところで、適した同軸ケーブルを選び、最後の調整まできちんとしなければ見栄えの悪い自作アンテナにすら負けてしまう場合も往々・・・。

  • 時と場合によっては、切れのいいビームアンテナよりGPの方が有利・・・。

  • QRPカテゴリーは別にして・・・パワーを増やせば確かに良く飛ぶ。しかし自宅や隣近所への電波混入やローカル局に与える混変調などにも気を遣う必要性が増加する場合も多い・・・。

等々・・・、定年を迎え、21世紀間近の現在ですら、人生そのものや社会人としての基本に通じる数え上げたら切りがない程の多くのことをアマチュア無線での体験を通じて<たとえ>として学びました。アマチュア無線教などという宗教が存在していたら、敬虔な教徒になっていたかもしれません。

マルコーニの時代から、常に無線通信技術をリードする開拓者として我々の大先輩達が活躍してきたのは今でも語り継がれている紛れもない事実です。その時代にはその時代のバックグラウンドが・・・、現在の我々が直面している技術革新の大きな波を<アマチュア無線の敵>と決め付けるのはあまりにも安易なインスタント商業主義に傾いた愚かな考え方だと私個人には思えてなりません。

先駆者達が、その時代に手に入るすべてを活かして今までのアマチュア無線を築き上げてきたように、我々も現在手に入る新技術のすべてを活かしてこれからのアマチュア無線をクリエートできる筈です。インターネットも、PCそのものや関連マルチメディアツールも、携帯電話も・・・、<これからのアマチュア無線>をより幅広く興味深い趣味に変貌させ、より発展させるための便利な道具として使いこなしていきましょう。そのために必要とあらば、アマチュア無線制度や法律も時代に合致したものに変えていただきましょう。

マルコーニの時代にPCが存在していたら・・・彼は必ずPCを活用していたことでしょう。あの頃、インターネットがあれば彼や彼の仲間(ライバル)達は間違いなくインターネットと無線との融合を考えたはずです。 そんな伝統的アマチュア無線家本来のパイオニア精神に裏付けされたパワーさえ蘇れば、郵政省も、メーカーも、一般社会も、そして将来を担う若者達も・・・、決して21世紀のアマチュア無線を見捨てたりはしないと私は固く信じています。

『アマチュアは進歩的であること』
現在ほど、このアマチュアコードの真価が問われている時はありません。日本のアマチュア無線界の命運を握っているとも言えるJARLがアマチュアの基本を踏み外し、掲げている<アマチュアコード>を自ら踏みにじるような事態に陥ることだけは避けねばなりません。

 
 
 
 

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