↑「アマチュア無線相談コーナーで木賀忠雄氏(JA1AR)
 
JARL Bureau of Technology
The dark grey cloud accompanied with heavy thunder was falling down into Tokyo area on one Saturday afternoon of July 1967. In this circumstance, JA1IFB, Kodo, was facing to the qualification interview for nominating a technically oriented supervisor of JARL by Mr. Kenichi Kajii, JA1FG, the President of JARL.
 
Questions were put on various matters including three technical themes in four hours interview. An interviewer Mr. Kenichi Kajii, ex JAZZ, is an old man holding Japanese record of the first contact on 1000 kHz band with Mr. Koichi Kasahara, ex JFMT, in 1925. Kodo has sincerely come into contact with a warm-hearted pioneer of amateur radio in Japan through this interview.
 
Fortunately Kodo was appointed to be a technical oriented supervisor of JARL. What is more, the thunder storm has gone and Sun also rises. Therefore, Kodo would like to report you situation above mentioned for your information in this tiny article.
 
     
 

◇ JARL技術相談室

ex JA1FG、梶井謙一さんが初代JARL会長に就任され、電信、電話級アマチュア無線技士(現三級と四級)の資格制度が発足した数年後、時代は、日本アマチュア無線人口が約15,000から45,000名へと増加する右肩上がりの第一成長期にさしかかっていました。さらに歩みを確実にするため、梶井会長の経営方針にしたがい、「JARL技術相談室」がCQ出版社ショールームに開設される計画が具体化することになりました。今回は技術相談室の担当員に応募し、梶井会長の面接試験を受けた時のお話を紹介しましょう。


JARL NEWSが408×273ミリのタブロイド版、縦書きだった昭和42年6月号に10行ほどの「JARL技術相談室担当者募集」の囲み記事を見つけ、志願の所信を添えJARLへ葉書にて応募しました。多くの方々が応募されたのでしょうか、思い起こせば、筆者が面接試験を受けた日は、昭和42年7月末か8月初旬の土曜日の午後でした。途中から激しい雷雨に見舞われ、落ち着かない中、13時39分から約3時間、雑談を挟みながら梶井会長の面接試験を受けました。

 
exJA1FG、在りし日のJARL会長の梶井謙一さん  
 

その日、自己紹介、アマチュア無線を始めた動機を皮切りに、3題の技術設問を織り交ぜながら、登山地図の見方、東京都内を走る都電の乗り方、また無線機の配線図の見方、実験記録ノートの書き方、さらに英会話の練習法など、梶井会長による面接試験が緊張の内にも続けられました。

終了間際「あなたはなぜ2通の応募葉書を送付したのですか?」と意表を突く質問にたじろぎました。

「最初の応募葉書は乱雑に書きました、しかし、投函後一晩経ちあの葉書では応募の心が伝わらないのではと猛反省し、罫線を引き丁寧に2通目の葉書を仕上げ改めて応募しました」と正直にお答えしました。

初めて梶井会長は「エッチアイ、エッチアイ」とニッコリとされ、「合格した」という直感が脳裏に走り、筆者がほっとした瞬間でした。(CWによる交信では笑うことを表現する時 HI と打ちます)

 
     
 
◇ 面接試験など
 
かれこれ44年前のことでもあり、記憶違いがあるかも知れませんが、梶井会長の面接試験を受けた折の様子を、対談形式で紹介したいと思います。場所は前述したCQ出版社ショールームで、梶井会長は少し高めの椅子に腰掛けておられ、畏まって前に座りました。
 
福田 JA1IFB、福田と申します、よろしくお願いします。
梶井 お楽に、色々話を聞かせてください。面接の要として次の技術問題を時間がかかっても 構いませんから解いてください。
 

 問1: 100pFのコンデンサーを用い3MHzに共振するコイルのインダクタンスは?

 問2: 真空管の内部が真空である証明はできますか?

 問3: ポリバリコンを回すとシャリシャリと雑音が出ますが、除去方法は?

 

梶井: あなたはどのような動機でアマチュア無線を始めたのですか?
福田: 中学在学中、英語を教えて頂いた吉田先生の影響が根っ子にあり、卒業後、工業高等学校の文化祭でアマチュア無線の公開実験に出会ったことが縁で「アメリカ ン・フレンドシップ経由の文通」からアマチュア無線へ志すことになりました。
梶井: どんな影響でしたか? 
福田: 吉田先生は英語だけで授業される不思議な先生でした。「将来、諸君が必ず英語を 必要とする時が来る、今は私の真似をして英語を覚えなさい」と生徒達を諭され ました。そんな折に、「生涯2万人の外国人と英語で話をしたい」*1と申し上げた ものですから、級友からどっと笑われました。しかし、これが本当の動機です。
 
福田: 3MHzに共振するコイルのインダクタンスは28マイクロヘンリーです。
梶井: その値で結構。アマチュア無線は「ヘッドワークですよ」、無線実験する時は判断のよりどころになる概算数値を素早く計算して「100−3−30」などと数字を覚えてください。そうすれば大きな勘違いは起こりません。ところで、最初はいかなる参考書を使いましたか?
福田: 昭和34年、卒業式の帰り道、京都の四条河原町で買った「ラジオ設計工学」誠文堂新光社と「ARRLハンドブック1959年度版」*2を参考にしました。
 
JARL展示室開設記念祝賀会。昭和55年(1980)4月5日撮影。
前列左から4人目がJA1FG、JA1AN、JA1AC、茨木悟氏 ex J2IX、JA1CAと続く。(ほか省略)
 
梶井: 開局時の無線機は既成品でしたか?
福田: いいえ、自作の高1中2受信機、水晶発振式6AR5−UY807の電信専用機と水部40メートル長のウインドム・アンテナの構成です。無線機を製作する際、大 阪大学、工学部里村研究室の方に手ほどきを受けました。7.010MHz、CW の初QSOは「枚方パーク菊人形」で有名な枚方クラブのJA3APV局です。
梶井: 印象が深かったのでしょう、良く記憶していますね。ところで、水晶発振周波数を意図的に変化させる回路を発表していましたね、なにが着眼点でしたか?
福田: マーカー発振器の周波数をJJYで校正する時に、水晶表示発振周波数1MHzか ら発振周波数が50Hzずれていても安定に発振することから発想しました。
梶井: 山登りをする際に等高線が密な急斜面を行くがごとく向う見ずですね!アマチュアがよく落ち込む落とし穴のようで、しばしば問題が潜んでいます。新しい実験へ取りかかる前に小手調べが要りますね、あなたの生業はなんですか?興味があります。
 
福田: 東京都板橋区にあるAK技術研究所の試験工場で、合成樹脂の製造研究をしています。経験から推測してポリバリコンから発生する設問のノイズは、プラスチック・ シートに帯電した静電気が原因と思います。実験が必要ですが、吸湿性があり容易 に入手可能なG化合物を手始めに塗布してはと考えます。
梶井: ほほう、電解コンデンサーの構造を考えれば、あなたの答えはなにか改良へのヒン トとなるかも、検討させましょう! 話しが変わりますが、土曜日の午後は仕事を 調整して技術相談室へ通えますか?
福田: 大丈夫です。土曜日は「半どん」ですから、自転車と都電を利用して巣鴨へは1時前に到着できます。既に上司へ相談員応募の話を報告し了解をもらっていますが。
梶井: そうですか、判りました。東京に6年以上お住まいのようですから自由に都電を乗りこなせると思いますが、アマチュア無線の技術相談にのる相談員は1アマでなければいけません。
 
福田: 「・・・?」 現在は2アマですけど、1アマの予備試験に合格していますから、3年以内に1アマ昇格をお約束します。
梶井: 出世払いですか!ならば、1アマ資格のアマチュア無線家から難儀な質問を受けた場合はどう対応しますか?
福田: 自分の能力を超える場合は梶井さんにお伺いを立てますから対応をお願いします。
梶井: 相談室所属の1アマ資格担当者から協力を引きだす?それも一つの方法だね。背伸びしながら足元がおぼつかない状況で、技術相談室の相談員へ応募するには、何か考えるところがあるのかな?
福田: アマチュア無線専門誌に3点ほど製作記事を投稿しましたが、読者との質疑応答に約3ヶ月かかりました。巣鴨の相談室に座ることにより、相談事の時間短縮になる と思いました。また、アマチュア無線入門者へのお手伝いをしながら、ハム人口を 現状の3倍、約5万人にしたい。
梶井: 「ほほう」夢をお持ちですね!その想いは誰かに話したことがありますか?
福田: アマチュア無線専門誌の編集部の方に話しています。
 
梶井: 多くの方が専門誌へ製作記事を投稿していますが、あなたが目指すアマチュア無線家の名前を参考に聞かせてください。
福田: お空でお会いしたこともある先輩で、無線局設備ではJA1VX、香取光世さん、電子回路のJA1AR、木賀忠雄さん、電波伝搬予想が良く的中するJA1CO、菅宮夫さん、4年間毎日曜日に市外電話で英会話を教えて頂いたJA1FNX、矢追秀典さん、三田無線研究所で佐久間象山の話を伺ったex J2IX 茨木悟さん、エジソン研究所にてラジオ受信機を製作した最初の日本人として尊敬しています。
梶井: 的はずれではないようですね。ところで、真空管の内部が真空である証明法はまだ聞いていませんが?

福田: ちゃんと覚えていらっしゃる!考え方で真の証明実験ではありませんが、勤務先の研究室にある10−5mmHgの真空設備中で真空管を粉砕し、ガイスラー管一瞬の放電現象から真空管に何か気体が封入されていたかを調べます。その他の実験法は今のところ思いつきません。

 
梶井: よろしい。終わりに一点聞きたいのだが、「あなたはなぜ2通の応募葉書を送付したのですか?」
福田: 最初の応募葉書は乱雑に書きました、しかし、投函後一晩経ちあの葉書では応募の心が伝わらないのではと猛反省し、罫線を引き丁寧に2通目の葉書を仕上げ改めて応募しました。
梶井: 「エッチアイ、エッチアイ」、今日の結果は後ほど連絡します。私はJARL技術相談員に次の心構えを持って相談に臨んで頂きたいと願っています。心して置いてください。

@  色々な相談に対してなるべく丁寧に回答する
A  無線機器の実験、製作については、相談者が立っている質問の位置を明確に し、元に戻れることを説明しな
   がら次の一手となるヒントを授ける
B 具体例を挙げてアマチュア無線に夢を抱かせること
C 業務日誌を書き、記録を保存する

今日は長時間ありがとう。
福田: ありがとうございました。
 
◇ あとがき
 
面接の結果、JA1ZZ、山下巌さんと筆者が技術相談員に採用され、梶井会長と3人交代で「JARL技術相談室」を毎週土曜日13時から17時まで開くことに決まりました。初回の技術相談室は少し涼しくなった9月初旬でした、上に紹介した3名が勢揃いしましたが、その後、山下さんが多忙につき相談員を辞退され、筆者一人が担当することになった次第です。
 
 
   
筆者が技術相談室を2年3ヶ月お手伝いしたご褒美に写真のような感謝状をJARLから戴きながら、担当期間中に480件ほどのご相談に応じた記憶を辿ってみますと、下記のような3件の勘違いをしでかしていたことに気付きました。

丁度44年の月日が流れ、遅まきながら本誌の誌面をお借りして、ご迷惑をかけた方々へ心からお詫び申し上げたいと思います。

* 抵抗値計算: 通信機型受信機の低周波増幅器6V6カソード抵抗値の桁間違い

* 実体配線図: ロータリー・バンド・スイッチの左右端子の読み違い

* 情報伝達 : バランスド・モジュレーター回路の説明書送付を最終確認せず

技術相談室の出陣式を終えた日の夕方、梶井会長にお好きな日本酒をお呑み頂きながら、巣鴨地蔵通りの居酒屋「山」にてアマチュア無線のよもやま話に華を咲かせたことは言うまでもありません。初代JARL会長、exJA1FG,梶井謙一さんから暖かい薫陶を受けた想い出に浸りながら、JA1IFB/KA1Z、筆者経歴に記載しています「JARL技術相談室担当」の一端を読者のみなさんに紹介させて頂きました。

 
*1 Special Edition of DX Bulletin, February 1992, issued by Chod Harris, VP2ML   "Information on how to collect DX QSL cards" by Hiromichi Fukuda, JA1IFB
 
 
Information on how to collect DX QSL cards  
"INFORMATION ON HOW TO COLLECT DX QSL"
By Chod Haris VP2ML

We, the DX Bulletin, wish to introduce and recommend to DX-enthusiasts a brief, 24 pages, note captioned above.

This brief note on collecting DX QSL cards written by Mr. Hiromichi Fukuda JA1IFB discloses the very essence of his effort for collecting confirmed QSL cards.

Several important check-points on collecting DX QSL cards concerning international postage from foreign countries to Japan, numbers of IRCs, green stamps, FT guide to world currencies, s.a.s.e,, QTH of current QSL Managers, N7RO QSL special service, time required for receiving QSL cards with s.a.s.e and the needful for contacting DX station based on "Southern Sudan DXpedition" carried by Mr. Martti Lailne OH2BH, are discussed in this brief note.

Therefore, this brief note written in English presents you many hints and guidance for collecting DX QSL cards.

Actual expense for one copy, air mail postage included, to all counties abroad, is US$8.00

QTH of shipper: Hiromichi Fukuda JA1IFB Kawasaki,
Kanagawa, JAPAN
 
* 2 初めて購入した無線工学参考書の写真
 
現在も時折参照している「ラジオ設計工学」 ボロボロになったARRLハンドブック1959年版
 
 
JA1IFB/KA1Z - Hiromichi Fukuda has been licensed since 1959, first as JA3BVL, then JA1IFB and since 2007 as KA1Z. He is a chemist at 75 years old and member of ARRL and JARL. He is also serving the Amateur Community as an ARRL VEC EXTRA VE.
 
de JA1IFB/KA1Z

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