FCC試験、VE申請、ボランティア通訳
 
Hiromichi Fukuda, JA1IFB/KA1Z
[ビギナーへのプレゼント 第1編〜第7編]
 
     
 

英会話
アマチュア無線に英会話が不可欠と考えていた時、幸にも同じ寮の神戸外国語大の学生と意気投合し、彼は通訳、私はハムに、退寮した後も研究社発行の「科学的英会話独習法」と「童話12編」を教材に4年間英会話を練習しました。

発音、アクセントとリエゾン、良く使われる慣用句を覚え、文字が頭から消えるまで発声して耳から聞き、二人で会話を再現しながら独習した。東京でJA1IFB開局後は14MHzのKR6YL主催「タイフーン・ネット」に出て耳を慣らす傍ら、「すぐ役に立つ7カ国語QSO」の著者JA1FNX、故矢追秀典さんに毎日曜日、電話で英会話を4年間教えて頂きました。

アメリカそして記念局W1AW

1972年 1月、初めてコネチカット州ハートフォードの某化学研究所へ出張した。ニューイングランド地方特有の聞き取りにくい英語で社長にまくしたてられ、女性秘書も教育を考えて容赦なく話しかけてきた。「こちらの気持ちを察してよ」と思いつつ、英語の自信はどこへやら、「今まで何を勉強してたんだ」とガックリしたものでした。

ハートフォードからニューヨークへの帰途に立ち寄ったARRLの記念局では素晴らしい出来事がありました。W1ICP、Macさんに別棟のW1AW局へ案内され、そこで初めてコリンズS-ラインを目の当たりにし、カリ・カリとスノーノイズの傍で入感するヨーロッパの局を聞きつけ大感激の一瞬がそれでした。
「また何時の日かアメリカに戻り、アマチュア局を運用したい」と強く想ったことを今でも忘れていません。この道草が今でいうアマチュア・エクストラ・クラス挑戦への原点になったのでしょう。

W1AW コリンズS-ラインを目の当たりにして感激
 
     
 
FCC、ARRL/VEC試験
2006年の誕生日で英会話練習が50周年と「古稀」を迎えた。これを記念に一念発起して、FCCアマチュア・ライセンスの試験に挑戦しようと決意し、2007年1月 Amateur Extra Class を獲得しました。

試験案内では受付が午後1時、試験が 2時頃から開始され、すべての日程を 5時までに終了する運びのようでした。半日でエクストラ・クラスを獲得するには、採点時間を含め約150分で、CW受信、テクニシャン、ジェネラル各35問およびエクストラ・クラス50問に解答する必要がある。これはCWによる1分1局の速度でナンバー交換をするコンテストなみの忙しさに匹敵すると考えられ、70歳には大変な試練でありました。

第一級アマチュア無線技士の誇りと日本男児の意地もあって失敗はできない。公表クエスチョンから、テクニシャン、ジェネラルに各15時間、エクストラ群は長くて 3日、45時間をあて即答できる問題を消し込んだ。1572題のクエスチョンから試験制度、宇宙および災害通信、インピーダンス計算に関する482題を掘り起こしました。

消し込んだ問題は約70%だから少しがんばれば合格圏。掘り起こした難題を145時間かけて重点的に補習しました。正月 2日からはお酒を止め、試験当日を想定して午後 2時から「CWを始め130問をいかに速くさばくか」を念頭に、「CW受信→テクニシャン→ジェネラル→エクストラ級」と、実戦さながらの模擬試験を24日間AA9PWのWeb上で24回実地訓練をしました。勉強をあきらめた問題数を含め結果を次表に示します。 (編注:2007年2月23日からCWの試験がなくなりました) 
 
AA9PWの模擬試験結果
-
正解数(個)
所要時間(分)
あきらめた問題数
-
最低
最高
最短
最長
-
テクニシャン
33
35
12
16
7
ジェネラル
31
35
15
23
9
エクストラ
42
50
17
30
71
 
訓練で得た自信を胸に2007年 1月27日、ARRL/VEC東京チ−ム主催の本試験に臨み、「One Day Extra」を幸にも達成することができました。
因みにARRL、Ham/Webとコールブック等の情報を基に推定した一次集計では、ご同輩エキストラ・クラスの人数はいささか少ないようですが、次のようになります。
 
エキストラ・クラスの内訳
 2007年 6月人数(名)
日本のエキストラ・クラス総計
545
 国内在住エキストラ・クラス
438*
 アメリカ駐在エクストラ・クラス
107
* JARL会員局名録では大半が外国無線従事者免許となっています。
 
ボランテイア・エクザミナー
自発的且つ無報酬でFCCライセンス試験を経営する民間のボランティア試験官」をボランティア・エクザミナーVEと呼びます。約3万6千人がFCCライセンス試験を統括する団体VECの認定を受け世界各地で試験を行っています。アメリカではエクストラ・クラス3人に一人がVEに、一方日本では約 200人のVEが認定され、それぞれの拠点でFCCライセンス試験を主催しています。現在のVE統計を次の表に示します。
 
アメリカ
2007年 6月ARRL、FCC統計
エキストラ・クラス
114,000名
VE
35,000
 VE比率
30%
 
日本 2007年6月1次推定
2007年10月ARRL、FCC統計
エキストラ・クラス
545名
未公表  
日本のVE
198名
116名
ARRL VE
165
116

W5YI VE

33
6*
 VE比率
36%
 
さらに、ARRL統計によればアメリカ居住者以外のVEは345名。日本人VEの推定人数とARRL統計の差異49名はVE申請書記載のメーリング・アドレスから自動的にアメリカ勘定へ計上されたことが理由と分析しています。
 
ARRL/VEC VE
FCCライセンス試験はエクストラ・クラスの担うべき素晴らしい仕事と判断して、代表格のARRL/VEC VEの認定を得るため申請準備を始めました。申請資料は「Become an ARRL VE」を参考にAB1FM、Somma さんから入手したが、80頁の「Volunteer Examiner Manual」でした。

VE資料の中に「Open−Book Review」なるマニュアルの精読を確認する設問が46問ありまして、これには模範解答がなく丹念に勉強するしかありません。 ARRL/VECの意図を「VEの作業に精通」、「アメリカ式事務処理」と「VEとして適任か?」とおよその見当をつけ、次の点に注意し申請書を作成しました。
 
1
申請書には送り状を添付し、美しく見映え良く記載事項をタイプする
2
マニュアルを精読した証の正答は42個以上とする
3
設問用紙のアンダーラインの空欄に回答を簡潔明瞭に記載し、数行の英文になる回答のみ別紙に追記することで、ARRL/VEC判定者の作業軽減に配慮する
4

単語の切り方、不可算名詞の複数化、F、HとR、Sの発音母音単語の不定冠詞an等に気を配り、侮られないようQST投稿要領に沿った簡潔文を書く

5
ボランティア精神を発揮して通常は無料のマニュアル代と郵送料を負担する
6
アメリカの書類はレター・サイズが原則である。A4版のVE申請書はFax受信のトラブルを避けARRL/VECへ郵送する
 
暑い 7月の92時間を清書も含め悪戦苦戦の末、内容はともかく格好を付けて作成した7頁のVE申請書をARRLへ郵送しました。AB1FM、Somma さんの素早い対応により投函後16日でVE認定証を手にすることができました。
 
Dayton Hamvention 2007
KA1Z身分証

時期は前後するが、これからは「デイトン・ハムベンション」へ物見遊山のお話です。 奥方にはKA1Zが決まり、「あちらで通訳の仕事をする」といい残し5月16日UA838便で出発しました。外国の建設現場では養生柵に中が覗けるよう背格好に応じ小さな窓が開けてあります。最上段のエクストラ窓からアメリカのハム界を眺めれば、どんな世界が展望できるのか大いに興味がありました。  

初の「デイトン・ハムベンション」です。何か記念にと、外人には無理かと思いながら、ボランティア担当のKC8RMT、Krodel さんに「日本人参加者対象のボランティア通訳」として、志願伺いを立てました。予期に反してメール後、直ぐ彼女から「OK」と承認書が届き、起用された嬉しさが一杯になりました。初日は朝早く会場へ行き、会長のWX8F、Niesさんと朝の挨拶を交わしている間に、Krodelさんが身分証を印刷して手続きは終了しました。訝(いぶか)しげな顔を見て、彼は挨拶を通じて貴方の人となりを判定した「Good Luck」ということでした。

デイトン市伝統の「シティー・マネージャー制」に立脚して、WX8F、Nies さんを中心にDayton Amateur Radio CLub の主力メンバー20人が423名のボランティアを活かしながら、2万人のお客様へ3日間楽しく遊べる交流の場を提供した企画力および権限委譲を行い総力結集してのアマチュアによるイベント事業を見ることができ、最上段の覗き窓からの大きな収穫になりました。

今回は残念ながら、日本の方々のお役に立つ機会に恵まれませんでした。写真のようなKA1Zボランティア証を首に掛け、奉仕の合間に「ジャンク漁り」とコリンズ・センターW3ST、Daveさんとの再会も楽しく、広い会場を見物した。その夕刻は「Crown Plaza」でK8CX主催のDXパーティーN0LWの懇親パーティーをウイスキーの「水割り」を片手にDXer に挨拶するため往来をしました。珍しくUA3とUT5局を見つけ「1st Eyeball QSO」を達成。外国では 9時以降にお酒を呑まないという禁を破り、午前2時までウイスキーを呑み、ラグチューを通じ、来年の再会を約束する数人の友を得ることができました。

 
Fleaマーケットでジャンク漁りの筆者

あとがき
 
永い間アマチュア無線技術を求め 「読み…FCC試験、書き…VE申請、話す…ボランティア通訳」とアマチュア・レベルであるが、英語の修了証書をも手にした一技士にまつわるお話を、FCCライセンス試験のVEとしてご一緒し、発表の機会を与えて下さった、QTC-Japan.com編集長の川合信三郎さんJA1FUY/NV1Jにお礼申し上げながら終わりたいと思います。

筆者紹介:福田 廣道(ふくだ・ひろみち) 
JA1IFB/KA1Z
1936年生、大阪府出身。化学会社に在職中は合成樹脂の事業に従事。       
第一級アマチュア無線技士、JARL監視員及び中央選挙管理委員、技術相談室担当。

 
de JA1IFB/KA1Z

QTC-JAPAN.COM 2007.11.20
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