| RTTYコンテストの実際 | RTCLとMMTTYの勘所 | EXT FSKの設定で問題解決 | 指一本の操作で楽しむ |

     
  待ちに待ったお空のコンディションがようやく上向きになり、午前中に北米方面、夕方からヨーロッパが聞こえるようになりました。しばらくオンエアから遠ざかっていましたが、このチャンスにもう一度RTTYコンテストにカムバックしようと、設備のリニューアルを行い、2月13日〜15日に開催された CQ WW WPX RTTYに参戦しました。  de JF1GUQ/KA8J 

DB-9コネクタカバーに内蔵した自作インターフェース

今回私が用意したハードウエアは
1.ICOM IC-756Pro  2.Windows XP搭載のノートパソコン  3.自作のインターフェース 

サイクル23ではトランシーバーとコンピューター(PC)の間に、データの橋渡し役としてマルチモードTNC(ターミナル・ノード・コントローラ)のPK-232MBXや、HALのP38、DX-38を接続し、DOSで動作するコンテストログ[WF1B] でデュープチェックを行いながら快適に運用していました。ところが、いざカムバックするとなればすでに当時のPCは手元になく、OSもWindowsに代わっています。  

自作インターフェースの外観とRCAプラグ(白CW Key、黄FSK、赤PTT)

気がつけば技術革新はすさまじいスピードで私たちのシャックにも押し寄せていました。画像通信・データ通信を行うために高価だったスキャンコンバータやTNCを用意しなくてはいけなかったのは前サイクルピーク前のこと。

今ではほとんどの人がJE3HHT 森さんが開発されたパソコンのサウンド機能を活用したMMSSTVMMTTYと、回り込み対策を施した簡単なインターフェースで手軽に画像通信・データ通信を楽しんでいます。自作のインターフェースは、ちょっと工作に自信があれば数時間の作業、部品代1,000円くらいで作れるものです。  

この設備に地上高18mのCushcraft R6000と14〜28MHzのHB9CVを使用してCQ WPX RTTYコンテスト2日目の午前2時間、夕方3時間の運用を試み、80 QSOをカウントしました。

WF1Bの思い出
:1998年にex JA1AYC松本正雄さん(故人)
とご一緒したデイトンハムベンションでHALのブースの隣にWF1Bが出展していました。松本さんに勧められ、私とJA1FUY 川合さんも直接WF1B 本人からソフトを購入しました。その後一時期WF1Bソフト(RTTY4またはRTTY5と改名)は無料で配布されましたが、現在そのウエブサイトも見つかりません。

インターフェースについてはSSTV/RTTYに超シンプル「新しいインターフェース」を参照ください。

 
     
 
私の設備では、CQを出して呼ばれるのを待つより、メインダイヤルを回して強い局を探して呼びに回ったほうが楽しいので、たいていのコンテストではそのようにしています。ここではRTTYコンテストのQSO例を紹介します。
 
 KA8JがCQを出しています。だいたいこんな感じです。  CQ CQ DE KA8J KA8J CQ
 私はこれに対して呼びかけます。  KA8J DE JF1GUQ JF1GUQ K
 うまくピックアップされるとこのようにコンテストナンバ
  ーが送られてきます。
 JF1GUQ UR 599−012 599−012 K
 私からは”599007”を返します。  KA8J UR 599007 599007 007 K
 たまこのようにコンテスナンバーを聞き返されることも
  ありますが、
 NR? NR?
 もう一度送り直して、それで受け取ってくれると  KA8J UR 599007 599007 007 K
 1 QSO終了となります。  JF1GUQ TU QRZ DE KA8J
 
先の交信例で私がタイプした文字は“0”“0”“7”の数字3文字だけでした。呼びかけ時に使った相手のコールサインやそれ以外の通信文はすべてRTCLというコンテストログソフトが作り出して、送出してくれます。RTCLはJK1IQK 鈴木功さんが作成されたRTTY・CW・SSBに対応したコンテストログソフトで、無料で公開されています。http://www.ne.jp/asahi/radio/jk1iqk/ RTCL:Radio Teletype Contest Log
 

RTTYモードではMMTTYの機能を使って信号の復調と符号の送出を行います。CWモードでは受信は自分の耳が頼り(注1)ですが、送信する符号の送出を行ってくれますので、Key さえも不要になります。このソフトの取り扱い説明はJA1XUY馬場さんのWebサイト(RTCLでRTTYコンテストを始めてみよう(入門編))で詳しく紹介されていますので、難なくインストール、環境設定を済ますことができました(注1 MFJ-461 CW解読器や解読ソフトを使えば、まったくCWがわからなくてもそこそこCWコンテストでも実用になりますが、ライセンスは第3級アマチュア無線技士以上の資格が必要です)。

 
RTCLの機能を紹介する前に、トランシーバーや自作インターフェースの動作確認のために、RTTYのエンジン部分であるオリジナルのMMTTYをRTTY 通信ソフト MMTTYからダウンロードして、インストールしてみてください。
 
動作環境はWindowsXPまでとなっていますので、適応しているPCを用意します。MMTTYについては、JA1WSK 勝見さんのサイトMMTTYでRTTYを始めてみよう(入門編)が親切に解説してくれていますから、参考になります。勝見さんのサイトで特に役立った記述は「EXT FSKの設定方法」のところでした。一通りインストールと設定が済んで、受信画面にDXからの信号が復調され始めたころ、試しにRY RY RY と送信テストを開始したとたん、聞きなれないモニター音が聞こえてきました。  “ピロピロ”と表現される RTTYの信号ですが”ピ”の部分の高音と、”ロ”の部分の低音が交互に組み合わされてRTTYの信号となっています。
 
ところが、低音・高音の行ったり来たりではなくて、“ビッビッビ”のようにそれとは似つかない不快な音が断続的にモニタされてきました。  トランシーバーはFSKモードにセットし、350Hzの受信フィルタを設定してあります。IC-756Pro にはRTTY信号の復調器が内蔵されていますから、その機能もオンにしておきました。勝見さんの解説では「MMTTYの設定と操作部の説明」に送信タブのところでPTTはCom1に、その他タブ/送信ポートのところでサウンド+COM-TxDに設定するとありましたので、そのようにしました。
 
試しに“サウンド”に設定するとパソコンのスピーカーから受信しているRTTYと同じような音が聞こえてきます。さあ困りました。受信している音と送信モニターの音が同じでないと交信できません。 
 
実はこのトラブルを解決するためにたくさん時間がかかり、WPXコンテストの第一日目の運用ができなかったという情けない話でもあります。コンテストの始まる前に準備しておけばよいものを、開始1時間前にちょこちょこっといじって「さぁ始めよう」という安易な気持ちが災いしました。
 
EXTFSK設定画面
 
米国で購入した東芝のノートパソコンSatellite_A135-S7404(WindowsXPにダウングレード済み)に玄人志向製のシリアルインターフェースボード・2S-CBを装着してCom1=自作インターフェースに接続、Com2=IC−756Pro+CT−17から周波数情報等の取り込みに設定しています。USB型ではない2S-CBに接続した自作インターフェースに対して、このトラブルが発生しましたので、まさかUSB-RS-232C変換ケーブル用のEXTFSKの設定が効くとは思ってもみませんでしたので、結果として解決が遅くなってしまいました。
 
2S-CBシリアルインターフェースカード
 
実際にトラブルが解決できた方法は、MMTTYの設定画面のその他タブ/PTTのPort を “EXTFSK”に設定し、画面下のタスクバーにEXTFSKが立ちあがったらそこをクリックしてもう一度設定画面でPortは“Com1”、FSK oututは“TXD”、PTT portは“RTS”を設定します。その状態で送信してみると聞き慣れた“ピロピロ音”になっています。ずいぶん回り道しましたが、明日はいよいよRTTYコンテストに参戦です。
 
ワンポイントヒント】 コンピューターのComポートの設定はマイコンピューターのシステム、デバイスマネジャーの画面で変更することが可能です。秋月のUSB・シリアル変換ケーブル(950円)でも試してみましたが正しく動作しました。これを2本用意してRTTY運用と、周波数取り込みをすることもできました。2S−CBは5千円程度しますから、USBポートに空きがあるならこの方が安くできます。アイコム機、ヤエス機の周波数取り込みはJA2HYD/1 山越さん発表の記事「超簡易USB to CI-Xインターフェース」でも使用できると思います。
 
ようやく設備が整いましたのでRTCLを立ち上げました。先ほど試したMMTTYとRTCLが内蔵しているMMTTYは異なる場所にインストールされていますから、もう一度PTTのComポートやEXT FSKなどの設定を行います。  RTCLを始めるにあたり、JA1XUY 馬場さんの「デジタルモードの基本的な運用方法」がとても参考になりました。指一本でRTTYコンテストが楽しめる仕組みは、RTCLが持つ「キャッチコールサイン」ボタンの機能が優れているからで、先に述べたとおり送出するコンテストナンバーを入力するだけで、どんどんQSOカウントを上げることができます。
 
特にWPXコンテストのように、通常使っていないプリフィックスをこのコンテストに合わせて使用してくるような場合は、どのカントリー(エンティティ)に入るのか分からないままQSOしていましたが、RTCLではコールサインを取り込んだところで、エンティティが表示されますので、見ていても楽しく操作することができました。もちろん最新のコンテストログの提出方法に対応した機能やハムログへのデータ・コンバート機能もあります。
 
たった1日のコンテスト参戦でしたが、久しぶりに電離層の動きを感じながらQSOを満喫しました。以前QSOしたおなじみさんもいて、コンテスト中にもかかわらず短い挨拶を交わしたり、“TACK”と私のハンドルを返してくれるDX局もありました。 ICOM IC-756ProにはCT-17を接続していますので、バンドチェンジしてもRTCLは正しく取り込んでくれます。おかげでログの記載ミスがなくなりました。RTCLの設定ではSETINGタブのCOMPORT/RADIOで周波数情報の取り込みがセットできます。私は通信速度1200bpsで快適に動作しています。
 

RTTYを楽しむコツといいますか、あると便利なものとしては、交信用とは別に、受信専用の経路(表示装置)があると、文字化けをカバーしてくれる場面に遭遇します。せっかく帰ってきたコールバックがRTCLの受信画面では“!GUQ”となっている場合でも、IC-756Proのモニター画面では、ちゃんと“JF1GUQ”と表示されていることがありました。  昔話で恐縮ですが、メカニカルマシンからソリッドステートのRTTY機器が登場した辺りから、テレタイプに興味を持ち始めました。最初にRTTYコンテストを始めた時には、TRIO TS−820 にTONO Θ7000とYAESU YR-901の2系統のRTTY装置を接続して使っていました。

 
その後、YR-901がSuperRATT(AppleUコンピューターのソフト)に代わったり、JA1EZM 田淵さんからアメリカの電話機から取り外した88mHのコイルを分けてもらい、ST-6型のデモジュレーターを作ったり、思えばずいぶん永く楽しんできました。  当時はデモジュレータの違いによる2系統を用意することが標準でしたので、トロイダルコアを使用したST-6型と、XR2211などのPLL ICを使用したふたつを用意していました。これはp38、DXP-38、IC-756Proを購入するまで続きました。
 
KH2/JF1GUQを運用中の筆者 Palm Tree DX Club(WH2DX) 2008年10月30日〜11月4日
TS-820がKENWOOD TS-430、TS-850、TS-870に代わり、RTTYを主なオペレーティング・モードとする私はIC−756Proの受信表示機能と切れの良いDSPフィルターの性能が気に入って愛用しています。パソコンもいろいろ使ってみました。

シャープのMZ-80Kと四国のダイエレクトロニクスのインターフェースを使ったこともありましたが、当時のパソコンはただのデータ端末でWF1BRTCLのような機能はありません。すべて手打ちの時代です。冷や汗をかきながら、コールサインやコンテストナンバーを送信していました。そのため数局とのナンバー交換でクタクタになってしまい、もっぱらワッチ専門にならざるをえなかったという苦い思い出もあります。

その後、『もっとRTTYでQSOしたい』という欲求がタイピングの技量を高めてくれ、おかげでブラインドタッチには及びませんが、RTTYでは相手をあまりお待たせしないで交信できるまでには、タイピング速度が向上しました。 今回のWPXコンテストでもSSBではすぐにパイルアップが起こり、交信するのが難しいエンティティともQSOできました。それに気を良くして別のパソコンでDXクラスターを眺めながら珍しいところを狙ってみたり、短い時間でしたが文字通信をエンジョイしました。
 
今秋のWWW RTTYコンテストには山荘シャック(山梨県南都留郡山中湖村)のIC-7600+IC-4KLを駆使してもう少しスコアを上げるように頑張ってみます。お空のコンディションもこれからどんどん上向きになると思います。この機会にRTTYを始めてみませんか、指1本のRTTYコンテストで・・・。

 

JF1GUQ/KA8J/JA1ZNG
 
QTC-JAPAN.COM 2010.02.22
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