アンテナシステムのノウハウ
by JG1RVN,Kato Toru
 
1.ICOM AH-4の活用
アンテナの建設に向かう7L3QEZ石井聡美さん。後方はJG1RVN(筆者)。

オートマチックアンテナチューナーは移動用のアイテムとして広く活用 されています。その中でも一押しは、やはりICOMのAH-4でしょう。 小型軽量で、3,5〜50MHzを1台でカバーし、整合も迅速です。 移動先のロッジなどで屋内にケーブルを引き込んで使用する場合は オプションの延長ケーブルを実装します。

これは、やや高いのですが、 しっかりしたシールドケーブルで確実な動作をしますので純正延長ケーブル の投資価値は十分にあると見ました。線は1cm強ほど線を剥いてハンダ上げ して内部のカラー表示に合わせて差し込みます。シールド線は端子を各自つけて トランシーバーのGNDに落とします。

AH-4側のシールド線はGNDへは 落としません。整合状態によってはRF信号が乗るからです。 接続線4本を剥いてからビニールテープで巻いておき、シールド線が AH-4周囲にショートしないように注意します。 延長用の同軸ケーブルは5D-2Vを新たに調達して、延長ケーブルに合わせた 長さに合わせてカットして新たに作ります。 AH-4オリジナルのケーブルは他の用途に転用しました。

同軸はAH-4の内部に通してからプラグにハンダ付けします。そうしないとプラグがAH-4の穴を通らなくなります。 室内で取りあえず1,5mのビニール線をアンテナエレメントへ、同じく1,5mの ビニール線簡易カウンターポイズをつけて50MHz10Wで整合実験をして動作すれば完了です。
動作中のエレメントは危険ですから決して触らないよう十分注意して作業してください。移動先でも本体は柵の外に設置して子供が触れない安全な場所を選ぶなどの注意が必要です。

2.カウンターポイズの製作
移動時のアースシステムは、なかなか大変です。しかし、アース棒を打っても とりわけ関東ローム層などの火山灰系の地層では良好な高周波アースとしての 動作は期待できません。 そこで、おすすめなのは、複数のバンドのエレメントを放射状に地面に這わせる カウンターポイズ方式です。今回は7/10/14/18/21MHzの1/4波長のエレメントを 作りました。

移動地で、すぐに活用するために、ギボシ端子をつけておき、 脱着が簡単に出来るよう工夫しました。7MHz用は10.5mくらいになるので 移動先でからまると面倒ですので、5mずつに分割し、ギボシ端子で中間に 接続プラグをつけておきました。 こうすると、5mずつで撤収できるので 絡みません。ギボシ端子はマジックで色分けしておくと良いでしょう。

このカウンターポイズは各バンドの1/4波長になっているとともに、大地との間に大きな面積コンデンサを形成して結合して、高周波アースとして 動作します。地面には適当に這わせておけば良いです。ただし子供が 入る場所は避けてください。電線は、秋葉原のオヤイデ電線で100m巻きで 2000円のものを買い活用しました。ギボシ端子はDIYショップの車用品コーナー で良く売られています。
3.アンテナエレメント
移動先は森の中が多いため水平系アンテナは、なかなか張ることが出来ません。 ところが天の一隅が木々の間から見通せる隙間くらいは見つかるものです。 そこで、釣り竿エレメントが活躍します。本格的に自宅で使用する場合は アルミ線を3方向からかませてバインドして、さらにアルミテープで巻いて 使うのですが、移動用としてはビニール線をトップから垂らすだけで良い のです。

注意する点は、グラスファイバーロッドはテープで止めると剥離 してしまうことです。 そこで、エレメントの固定は書き損じたQSLカードを2つ折りして袋状にして、 釣り竿のトップエレメントに上から被るような帽子をつくります。アンテナ エレメントを沿わせてビニールテープで巻いて完成です。 中はQSLカードの紙なのですがビニールテープで補強すれば雨がふっても大丈夫です。 釣り竿のトップはQSLカードでひっかけて、その後は数カ所を止めます。 ここもビニールテープを使うと撤収時にグラスファイバーエレメントが 剥離して破損してしまいますので、紐で縛ります。

この紐資材には実は「パンツのゴム」が最適です。パンツのゴムにはハードと ソフトの2タイプがありますが、ハードタイプを選び、10cm程度に切って 引き伸ばしながら巻いて釣り竿とエレメントを縛ります。 釣り竿エレメントの下部は適切な支柱を探して固定します。支柱へ釣り竿を 固定するためには「自転車の荷台のゴム紐」が最適です。1本を固定するのに 2本の荷台ゴム紐があれば大体大丈夫です。
4.アンテナエレメント用の釣り竿
AH-4と組み合わせてFBな移動運用のできる移動用のグラスファイバー釣り竿 は、次の方法で入手できます。製造販売元は洪進産業です。 このうちPG-ANT-100は多くの使用実績があるPG-90-ANTの改良版で 移動用に大人気。FAXで予約して納期を確かめると良いでしょう。 アンテナに適した釣り竿は次の3種類があります。
水 香
6m30cm
\1,750
風 月
7m20cm
\2,150
PG-ANT-100
10m
\4,800
送 料  -
\1,000
注文時は、商品名、数量、送付先の住所、氏名、電話番号、 銀行振込日と振込名義を洪進産業(FAX:0465-36-3527)倉田様へ送ります。
価格は[本体+送料]×1.05(消費税)で少数点以下は切り捨て。 PG-100-ANTは [\4,800+\1,000]×1.05=6,090 円

振込先は、静岡銀行小田原支店 / 当0303787 サオヨシ(竿好)
お勧めはPG-ANT-100を購入してトップエレメントから2段をスタンバイ 用として外してしまい、強度のあるところを使うことです。 釣り竿のトップから斜めにエレメントを張ると長さを稼ぐことができます。
5.ワイヤーアンテナの調整方法
(画像4) 今回は水平方向の道があったので逆Vを張ることができました。 移動用のワイヤーアンテナとしてダイヤモンド社のW728をロケットの アマチュア無線本店で購入しました。 これはバラン内蔵のアンテナで、 28MHz用と21MHz用の片側2個のトラップコイルが入り、全体では 7MHzに同調します。つまり、7/21/28MHzに1本で出られます。

固定局運用では説明書の通りバインド線でエレメントを固定して、調整用 のヒゲエレメントを切りつめて使うとよいのですが、移動先では設置条件が 毎回変わるのが難点です。 そこで、おすすめはエレメントを折り返して巻いてしまい、長さを調整する 方法です。端からの折り返し部分が長いほど、エレメント全長は短くなり、 同調周波数は上がります。

逆に折り返し部分を短くすれば、エレメント全長 は長くなり、同調周波数は下がります。そのことを利用すると、工具を 使うことなく、移動先でエレメント長を任意に変えることができるのです。 サガ電子のZeppタイプのアンテナの調整方法には、この折り返し方法が 使われています。 エレメントは折り返して巻いた部分は高周波的には 結合して、ひとかたまりになっているので、余った線を切る必要は ないのです。

折り返したエレメントは、ビニタイと呼ばれる、コード類を 束ねてねじる素材で固定しておけば少々の引っ張りにも耐えます。 ただし逆Vは、そんなにがんばって引っ張る必要はなくエレメントが多少 たるんでいても、性能的には、ほとんど差がありません。 逆Vの支柱には、やはり釣り竿を活用し、釣り竿のトップから1段を縮めて 強いところにアンテナのバランを「パンツの紐」で固定しました。
6.同軸ケーブルのノウハウ
運用中の筆者(JG1RVN)
逆V用の釣り竿にかかる重量を減らすために釣り竿に沿わせる給電用の同軸 ケーブルは、3.5D-QEFVを利用しました。これは5D-FBの3.5D版 といえば分かりやすいでしょう。とても軽いので釣り竿で逆Vをつくるのに 適したケーブルです。ただし内部導体がショートしやすくハンダ付けが 難しいのが難点です。

同軸ケーブルを固定する先がアルミポールの場合は「靴紐」が便利です。 ヘンテナの同軸ケーブルには3.5D-2Vを使い、靴紐で固定しました。 針金は同軸ケーブルの構造を変形させてしまうので使ってはいけません。 シャックまでの同軸ケーブルは144/430MHzは5D-FB、その他は5D-2Vとし、10〜15mごとにMPコネクタをつけて、MJ-MJ中継コネクタを多数持参し、 ロッジまでの延長を計りました。アンテナ設置場所が限られた森の中では シャックまでの同軸が40mを超すことも珍しくないので、短めに切り分けた 同軸と中継コネクタを複数持参するのがコツです。

巻き取りは円を描くように 自転車の車輪のように回しながら巻き取ればねじれることはありません。 中継コネクタはHF帯ではかませても大きな減衰はありません。むしろ長すぎる 同軸は、設営と撤収の際にからまってしまい手間暇がかかるので、適当に 切り分けた同軸を中継コネクタで必要最小限で使った方が毎回条件の変わる移動運用先では得策です。同軸はスーパーで売っていた布製買い物袋に収納 しました。

実は今回の正丸峠移動運用でつかった同軸は、のべ100mを超えました。 多めに持っていったつもりだったのですがアンテナ設営のベストポイントから ロッジ室内までの距離が結構あり、4バンド分の設営で全て使い切りました。 同軸ケーブルは切り分けて持参したため、設営・撤収ともに、からまることなく、 とても作業が楽でした。各エレメント共に、子供の手のふれない場所に設置して ください。
7.山で最適なGPはローゲイン型
山岳移動ではGPは高ゲイン型よりもゲインの少な目のものを選びます。 高ゲイン型ほど、水平方向への打ち上げ角度が「狭く」なり、高い山の上では 水平線から下になる局は弱くなります。

移動先の設置条件で大地から垂直にアンテナが立たないと、動作がシビアになり、高ゲイン型ほど、ゲインのピーク 方向が空を向いたり、反対方向では地面を向いたりして、Sが落ちてしまいます。 144/430MHzにはダイヤモンドのX-30を使いました。特に2mSSBで良好に動作しました。
8.笑顔のご挨拶
左からJA1FUY JA1AYC JI1FOL JF1GUQ 7L3QEZ JG1RVN's2nd JH1VVW 正丸峠移動運用の皆さん。撮影はJG1RVN(筆者
最後に重要なノウハウとして、笑顔のご挨拶作戦を挙げておきます。 漆黒暗闇の森の中で無言で電線をいじっていれば誰が見ても怪しいです。 不審者と疑われて警察に通報されるかもしれません。ホテルのフロントに 苦情が行けば、電波が出る前に、あなたの移動運用は「終了」してしまいます。

移動先でアンテナ設置中に、もし一般の宿泊客とすれ違ったときには、 「こんにちは!いまアマチュア無線のアンテナを作っています」 と一言挨拶して簡単に説明しておくことをおすすめします。 すると「えー?どこと交信できるの?」などと、そこから会話が広がります。

「一言のご挨拶」は楽しい移運用を実現するための大切なノウハウです。 移動運用先のロッジにも小さな社会があります。笑顔のご挨拶と移動先での小さなご近所付き合いは、移動運用を成功させる最大のポイントです。
 
写真&レポート:JG1RVN 加藤 徹 (2000.11.13)

(c) All Rights Reserved WWW.QTC-JAPAN.COM 2000
▼関連ページ
■ICOM

▼バックナンバー
■SSTVアダプタ
■AH4の活用
■Bird43グレードUp
ダミーロード
■Wetダミーロード
■鉱石ラジオ
■ループアンテナ
■バリコンの自作
■マイクロループ
■リグのCleaning
■タバコの匂い除去
■ヒートシンクの汚れ
■RF1 Reflex Radio
■朱肉でアンテナ磨き
■SSTV/PSK31 I/F
■タワー昇降快適化
■万能ジョイント
 
 
 
 
ージ印刷⇒
 
.