K2のパワーコントロール改善対策

 
K2は160m〜10mをカバーするQRP機キットとして、多くの方に 親しまれています。しかし、QRPp時のパワーコントロールが不安定 というウイークポイントがありました。 そこでQRPp時のパワーコントロールを改善する対策を行いました。 この対策により1.9MHz帯および28MHz帯の最大出力は約5Wに 制限されます。24MHz帯は10Wをやや切るようになります。 その他の3.5〜21MHzの各バンドは対策後でも、ほぼ10W出力を 確保することができました。 この対策を実施するにあたってEDCエレクトロデザイン木下さんに アドバイスをいただきました。(TNX)

■パワー不安定の原因
R98は底面のフロントパネル寄りにあります。


K2はダイオード検波で電力を検出し8ビットのD/Aコンバータで電力を コントロールしています。低電力の場合、ダイオードの立ち上がりの特性に よって電力測定値が非直線となり1Bit当たりの感度が悪くなってきます。

デジタル制御では常に±1Bitの誤差を伴うので、低電力での電力の安定度が 悪化して、ふらついてしまうのです。ファイナルトランジスタが暖まって くると、やはり出力がある程度ドリフトします。たしかに5.0Wと 4.5Wでは0.5dBも違わないためワッチしている相手局は判らない と思います。
■なんとかしたい!
R98の足にハンダ吸取線を当てて除去します。


しかし問題なのはアワードやコンテストです。 JARLアワードでQRPp特記を得るためには0.5W以下をキープしなければ なりません。またWPXコンテストではQRP/p部門に参加するためには 常に5W以下に出力をコントロールする必要があります。

オリジナルのK2では、7MHz帯で0.5Wにプリセットしても、 0.1〜0.6Wの間をふらつくことがありました。 そこでALC-Vを制限しているRF基板内裏側のR98の値を大きくして、 最大出力を制限して低電力時のパワードリフトを改善してみましょう。
■作業手順

R98に 3kΩ(302)の半固定VRを挿入します。 ※このとき周囲の基板に接触しないように工夫します。 周波数を28500kHzに合わせ、RF-POWERつまみを最大にセットし、R98を可変して5.5W程度 の出力が安定して出るポイントを探します。
@K2の底面側を開いて、R98を探します。パネル側に近い裏面基板に R98はついています。ハンダ吸い取り線を使いR98の根元のハンダを吸い取り 足を暖めながら精密マイナスドライバなどで、こじりながらR98を外します。

AR98に3kΩ(302)程度の半固定VRを仮止めします。VRは中央付近にセット します。このときVRの足が周囲の部品に当たってショートしないように十分 注意します。

BK2の周波数を28500kHzにします。POWERコントロールは最大にセット。 ダミーロードとパワーメーターをつないでTUNEで送信します。 このとき、K2の底面の蓋を開けたまま、R98に仮につないだVRを回して 最大出力を5.5W程度にセットします。


CR98につないだトリマVRを外します。そして抵抗値をデジタルメーター で測定します。測定の結果は約1.66kΩでした。これは個体差があると 思います。

D近似値として1.5kΩ抵抗と100Ω抵抗を直列につないで、1.6kΩ 抵抗を作ることにしました。端子の片方を短く切ってハンダで接続し、 他の端子はプリント基板を見ながら、他のパターンに接触しないように、 片方を大きく曲げるようにして、パターンの足間隔に合うようにカットします。

E出来上がった1.6kΩ抵抗をR98にセットします。まずはダミーロードを つないで28500kHzの出力が5W程度になっていることを確認します。

F次に160mユニットが入っている場合には1910kHzに合わせて、80mバンドの2つのLのコアを交互に回して出力を再調整します。160mバンドでは1815kHzと1910kHzを同時に5Wでカバー することはできないので、1.8MHzか1.9MHzのどちらかを選択して ください。QRPで国内交信がメインならば1.9MHzで良いでしょう。
G7003kHzに合わせてTUNEをワンタッチして0.4W出力になる ようにセットし試してみます。バンドをQSYした最初の一回だけは ちょっと不安定になるかもしれません。二度目以降にTUNEを押したとき ほぼ出力が安定することを確認できたら対策は完了です。
R98に挿していた半固定VRを外し抵抗値を測定します.。 このときの測定値は1.662kΩでした 。 手持ちの抵抗から1.5kと100Ωを選び直列に合成します。
左側が合成した1.6kΩ抵抗。右は調整用に使った半固定VRです。
基板上のパターンに接触しないように抵抗の足を合わせてR98へセットします。通電前にショートがないか確認してください。 次に1910kHzに合わせてRF-POWERを最大にして 80mバンドのコアを交互に回して出力最大にセットします。  
■まとめ

7003kHzに合わせてTUNEを押して、0.4Wの出力が安定して出ることを確認して完成です。



この対策でパワーコントロールのプリセット出力表示は参考程度になりますが、 バンドをQSYしたら、TUNEスイッチをワンプッシュすれば出力を表示しながら パワーコントロールが出来るので不便は感じないと思います。


テスト機では0.4W設定で、0.4〜0.5Wに出力が収まり満足できる 出力精度を保つことができるようになりました。 K2を使ってJARLのQRPp特記アワードを狙えますし、WPXや CQ-WWコンテストなど海外有名コンテストのQRPp部門も胸を張って参加 できるようになります。 測定器が無い場合は、とりあえずR98を 1〜1.5kΩ前後の抵抗に変えるだけでも、低出力時のパワーコントロール 特性は改善されると思います。
■おやくそく 調整時はダミーロードを使用してください。 通電前には必ずパターンがショートしていないことを確認してください。 この改修により1.9/24/28MHz帯のパワーは低めに制限されます 。 また改修はユーザー各位の責任のもとに実施してください。
 
写真と文:JG1RVN 加藤 徹

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