海外の話題》 HAM RADIO 2011
 
 
 

 by Hiromichi Fukuda  JA1I FB/KA1Z

 
     
  Ham Radio 2011では、ひときわ参加者の耳目を集めていた展示ブースをやじ馬よろしく、人だかりの後方から覗いてみました。どのようなブースが好評を博していたのかがHam Radio 2011参加の焦点でした。参考までにご紹介しましょう。

◇ ANjo Antennen

ドイツのアンテナ専業メーカー、Joachims社が21種類のVHF、UHF用アンテナ、高電力のバランおよびアンテナ・カップラーを展示していました。各アンテナの性能は実用してみないと判断できませんが、製品の出来映えは美しいのひと言につきます。

Joachims HF&EBVBeratungs社の企業情報
 
商品群
周波数帯
(MHz)
許容電力
(kW)
エレメント数
(本)
利 得
(dBd)
型 式
アンテナ
50
0.3
9
11.2
Yagi
144
0.15
8
7.5
Yagi
432
0.15
10
14.3
Yagi
     展示されていたVHF、UHFビームアンテナの一例

展示アンテナ商品群
 
     
 
◇ 25 Meter Teleskop Antennenmast
 
一目見てパイプの化け物?様子が分らない。しかし、遠目に見ると移動局用の自立式クランク・アップ・タワーでした。このアンテナ・タワーを牽引してフィールド・デーに参戦するドイツのアマチュア無線家がいるとは、いささか驚きを隠せません。
 
最長25メートルのクランク・アップ・タワーの自重は4トン、クランク・アップには電源として24V/90A/2kWのディーゼル発電機が必要です。メーカーからの実用実績と性能公表が待たれます。
 
DRLD社の広告宣伝写真
 
◇ Symmetric Antenna Matching System
 

スイス・サンガレンに所在するHeinz Bolli社が2010年の5kWアンテナ・カップラーに続き、ローンビックまたはVビーム・アンテナに使用する平行2線フィーダーの特性インピーダンス400−600オームを同軸フィーダーの50オームに変換する戸外設置型のカップラー「SAMS plus」を実演、出品しました。

 
SASMの仕様は、◆3本のアンテナに対応、◆手動または自動制御、◆1.8〜30MHz、◆10〜2500オームを50オームへ変換、◆リアクタンス調整範囲は+/―1000オーム、◆サイズ630 X 430 X 220mm、15kg














SAMSコントローラー・パネルの写真 戸外設置型のカップラーの写真
 
次に紹介する写真は、トランシーバー、SAMSコントローラーおよびATKアンテナ・カップラー、戸外設置型SAMSカップラーの組み合わせで機能を実演、公開している風景。
 






SASM plusの公開実験の風景 アングロ・コミュニケーション社のバラン・カタログ
 
□ 会社情報   
Angro Comunicaciones S.L.www.eantenna.es   

◇ Multiband TX BPF


コンテスト局用のバンド・パス・フイルターはアメリカのアマチュア無線家の試作品らしい。技術資料はなく、係りの女性が、160−10メーターをLEDで確認しながらバンドを切り替え、通過電力100−200W、簡単なインターフェースを介して直接送信機と接続可能で、バイパス時でもSWRの変化はないとのみ説明してくれました。

通称、山中湖キロワット・クラブでは2局の無線局が同時運用を行いますから、同時2波送信時お互いの干渉を少なくするため、日頃、バンド・パス・フイルターの必要性に気がついていましたので、大きさが400 X 150 X 500mm位、販売価格は598ユーロのセットに目が留まりました。
 
バラン商品群の写真 マルチバンド TX バンド・パス・フイルター
 
◇ Antenna Terminal(仮称)
2010年秋、ドイツ・ミュンヘン在住のDF2CW、壱岐さんご夫妻が富士山の観光を兼ねて、山中湖湖畔にある通称キロワット・クラブへドイツ製のマルチバンド・トラップ・ダイポール・アンテナをお土産に立ち寄られたことは既に本誌「QTC-Japan.com」 およびIcom 「週刊Beacon」に報告されているところである。*1、*2
 
このダイポール・アンテナ給電点のバランにワイヤ・エレメントを接続するため、日本では見かけない金物が使用されております。仮称アンテナ・ターミナルと呼びますが、ステンレス・スチール製で、写真に示すようにワイヤの受け皿に壁を設け、ワイアーエレメントを締め付けてもワイヤが逃げないように工夫された優れものです。Ham Radioに 出展している数軒の電子部品店の一軒でようやく入手することができました。2ボルト金具の値段は2ユーロ、1ボルト品は1.7ユーロ。
 
マルチ・バンド・トラップ・ダイポールの給電部*

バランのフックとアンテナ・ワイヤ・エレメントをワンターン して張力の分散を計った接合部*
*[トラップダイポール DP-201510のSWR] by JA1KJW  QTC-Japan.comより転載
 

 

 

Ham Radio 2011に出店している電子部品店 Antenna Terminal分解写真
 
◇ Aramid/Kevlar
展示Kevlar製ロープ
参加者は何方も注目せずに通り過ぎますが、ガラス製のショー・ウインドウ中にひっそりと6巻のロープが陳列されていました。このロープは100メートルが58ユーロと高価であることが敬遠されている理由でしょう。

実は、筆者も初めて見るロープであり、アメリカの大手化学会社が開発した芳香族ポリアミド樹脂の「鉄よりも強い」というKevlar〈商品名〉ロープでした。高剛性かつ高耐熱性を有し、化学薬品にも耐薬品性があり、屋外用途には格好と思われます。しかしながら、価格面からとてもアマチュア無線家が使用できる代物ではありません。参考に供しましょう。

◇ あとがき   

この2ヶ年、1.8MHzから50MHzまでのアンテナ建設を見聞きしているためか、Ham Radio 2011はついついドイツのアマチュア無線家達と同様にアンテナ周辺機器へ関心が結果的に集中しました。アンテナを自作する方々への参考になるかと、紹介した次第です。
 
* 1 JA1KJW/AK0J、中山 寿 Kelemen Multiband Trap Dipoles 
     QTC-Japan.com  2010年11月19日
* 2 JA1FUY/NV1J、川合信三郎 ドイツ製トラップ・ダイポールから手作りのヒント
    Beacon No.125     http://www.icom.co.jp/
 
 
 
 
QTC-JAPAN.COM 2011.07.20
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