海外の話題》 世界最小の1キロワット・リニアアンプ  
 Hiromichi Fukuda, JA1IFB/KA1Z
 
     
  [はじめに]

この度、ドイツ・ミュンヘンの「JAIG」 *1 世話役のDF2CW、壱岐さんが、来日されるにあたり、イタリア「ソシエテ・ペル・エレットロニカ社製」(以後SPEと略す)*2、世界で最も小型の1キロワット・オートマチック・リニアーアンプ」の情報を qtc-japan.com へ寄せられました。ヨーロッパで急速に愛用者が増えているという、日本では目新しいリニアアンプの説明書を翻訳して、さっそく読者のみなさんへお届けします。

*1 JAIGはJapanese amateur In Germanyの略称、日独友好の目的で1985年に設立され、現在、約500名の日独アマチュア無線家が会員登録しています。今年のハムフェアでも独自コーナを設けて、アマチュア無線を通じ活発に国際親善を推し進めていました。

[SPE EXPERT 1K-FA ] *3

イタリア・ローマに本社を置くSPE社(社長、博士G.スカスシアフラッチ)は革新的な技術と信頼性を基に、通信業界へ業務用測定器、通信機器とシステムを供給する無線機器専門企業である。日本ではNTTに相当する「イタリア・テレコム・会社」の無線機器とシステムの支援を30年間行ってきた実績が高く評価されています。SPE社のプロが写真のような、世界最小リニアアンプ、SPE EXPERT 1K-FA」を世界のアマチュア無線家へ送り出しました。

リニアアンプはデイスプレイを中心に、スイッチとパイロット・ランプ類が左右対称に配置された、トランシーバーかと想わせる、イタリアのお国柄を示す華麗なデザインを誇っています。HF帯、WARCと50MHz帯で、CW,SSBとデジタル・モード信号をスイッチ投入後、瞬時に1キロワットへ増幅して送信可能な優れたリニアアンプです。

SPE社製、EXPERT 1K-FAリニアアンプの正面パネル写真

SPE社のロゴ・マーク

*2 資料の出典 Societeta Per  l'Elettronica Via Di Monteverde, 33 00152 Roma Italy Dr.G.Scasciafratti President

http://www.radio-ham.eu/Expert1K-FA.htm

*3 英語のEXPERTは技能分野で専門家や熟練者という意味をもち、リニアーアンプの性能を強調するために命名されたものと推測されます。

 
     
 
 
SPE EXPERT 1K-FAの外観 (幅28×高さ14×奥行32(cm)
電源、オートマチック・アンテナ・チューナー内蔵 
幅28cm、高さ14cm、奥行32cm(コネクター部込み)、重量約20kgの「世界最小1キロワット・リニアアンプ」である。

世界の最新技術を結集 
CPU 2系列搭載、1系列はトランシーバ-との(CAT)インターフェース専用、出力回路にはPi−L同調方式を採用し、その上、他に類を見ない多種類のコンピュータ・ソフトウエアが接続可能。

対応機種 
Icom,Yaesu,Kenwood,TEN-TEC、FlexRadio
*4 およびELECRAFT社製のトランシーバーが接続でき、オペレーターは単にトランシーバーのダイアルを操作するのみで簡単、容易に運用可能。

*4  FlexRadioについては qtc-japan.com 「デイトン発18時50分」を併せてご覧ください。
 
リニアアンプ斜め上部から見た外観
運用周波数の範囲 
WARC帯を含む、1.8MHzから50MHzをカバー。

半永久に使用可能な半導体MOSFET採用 
標準出力: HF帯CW=900W PEP、SSB=1kW PEP、50MHz帯 700W PEP。 
オペレーターの選択によりフル・パワーまたは50%出力の電波を、電源スイッチの投入後、瞬時にして送信可能。

オートマチック・アンテナ・チュナー内蔵 
HF帯は3:1および50MHz 2.5:1以内のSWRを示すアンテナに整合。

入力インピーダンス 
50オーム、 SWRは常に1.2:1 に整合されます。

高増幅率(16dB) 
リニアアンプ運用時はALC回路により制御され最適な励振電力が自動的にリニアアンプ入力へ、 スタンバイ時はトランシーバーの出力機能が設計値へ自動的に復元される。安定して16dBの高増幅を実現。
 
リニアアンプ上部と裏面パネルの構成写真
SO2R シングル・オペレーター・ツー・ラジオ運用者向けに
2系列の入力用SO239コネクターを装備し、出力4系列のアンテナを組み合わせることによ り、コンテスト、DXペデイションで2台のト ランシーバーを効率良く操作できる。SO2R方 式は世界の先進DXerの標準装備になりつつ あります。

カバーを外した本他の写真から、冷却ファン4 基、右側に入力コネクター2個、左側にアンテ ナ・コネクター4個が見えます。

歪のないきれいな電波 
HF帯におけるスプリアス輻射は-50dB以下、50MHz帯における値は-60dB以下。ツートーン・テストによる第3次ヂストーション(歪)は36dB

安心な保護回路 
過電圧、過電流、SWR、反射電力、最高高周波電圧、過励振を継続的に監視し、回路機構とソフト・ウエアの両面から、また、送受信切り替えのリレーの接点はゼロ電流駆動とあいまって、確実なリニアアンプの正常動作を実現しています。したがい、通常の交信、コンテスト時の運用においても最高の性能が発揮できます
 
フルブレーク・イン機構搭載

低騒音 
7基の低騒音、3速度変速のファンを用い150CFMの送風により強制空冷。通常の交信状態では、機器温度65℃と75℃、コンテスト時は60℃と70℃で送風量が変わりその状態に応じて冷却し機器を保護します。ファンから発生するノイズは最大39dBaです。

供給電源電圧 
リニアアンプへの供給電源は送信出力を変化させずに、230、215、および200、215、100Vが自由に使用可能。
 
 シャーシー中央部に大型トロイダル・コアーが見える
 
コアーの表面に凸凹のシボを立てた、テープ巻きの、高性能のトロイダル・トランスがリニアアンプ周辺の磁界を狭くしています。この設計が本機の特徴と思われます。

連続送信 
設計出力でのSSB送信は制限なし、キーダウンは2分以内、また出力50%運用でのSSB送信も制限なく、キーダウンは5分以内

大型LCDデイスプレイ 
出力W PEP,終段の電圧および電流、反射電力W PEP、出力利得、機器内温度、SWR、入力およびCAT接続環境、その他、安全に対する警報を含めた種々の運用状況に関する情報が大型デイスプレーに一覧表示されます。

許認可 
SPE EXPERT 1K-FAはCE *5 およびFCC *6 の認定を受けています。

*5  CE: Communaute Europeenneの略号、欧州連合内における、欧 州地区の法的規制に合った、適合性表示マークをCEマーキングと呼びます。この承認を受けないとアマチュア無線機器といえども、欧州連合地域内では販売ができません。

*6  FCC: Federal Communications Commissionの略号。 FCCの「無線周波数機器」の認定を受けなければ、アメリカ国内で機器の販売が認められない。
 
SPE EXPERT 1K-FA専用バッグ
機器の搬送 
QSY、フィールド・デーまたはDXペディションへ運び易いように、堅牢でオシャレなデザインのリニアアンプ専用バッグが用意されています。

このあたりの気配りはさすがで、移動時にも無線機器類の整理に機種名が明記されているため大変便利ですね、ついでのことにコールサインも書いてもらえるとさらにご機嫌になります。

この専用バッグに詰めたSPE EXPERT 1K-FA 1台の値段は、イタリアでの通関費用、日本での通関費用が掛かりますが、付加価値税込み、ローマ渡し条件で2,700ユーロです。
 
[おわりに]
世界最小のSPE EXPERT 1K-FA リニアアンプの特長を翻訳して紹介しましたが、筆者が現用しているトランシーバーより一回り小さく、手狭な日本家屋には適しているように思いました。しかしながら、現在、日本国内にはSPE社の契約販売代理店が指名されていないため、リニアアンプに興味があっても、情報の収集にはある種の苦労が伴うと思われます。

このリニアアンプの取扱説明書は、イタリア語、スペイン語および英語で作成されており、興味をもたれた方は前述したSPE社ホーム・ページの英語版を先ず研究されるようお勧めします。

ドイツ・フリードリスハフェンにて開催された「HAM RADIO」でも、このリニアアンプ が好評を博したと聞いております。来年「HAM RADIO」に参加したい気持ちがますます 膨らみました。今後も、筆者はヨーロッパ地区の新規商品のニュースを収集して、読者のみなさんへ紹介したいと考えております。               (おわり)
 
ビギナーへのプレゼント (1)〜(7) 
■One Day Extraへの道のり by JA1IFB/KA1Z も併せてご覧ください。
de JA1IFB/KA1Z
 

QTC-JAPAN.COM 2008.09.17
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