September 30〜October 6, 2001                             写真5:9N7SCのアンテナ

Text & Photo ・JA0SC Hirotada Yoshiike

■運用のきっかけ
写真1 世界遺産を観光する我が一行
今回のDXペディションはThe DX Magazine "Five Nine"に「9Nにレンタルシャック開設!!」の記事が掲載されたのがきっかけです。すでに開設が予告され心待ちにしていたところ、2001年7月号に発表されたのでただちに開設者のJA8MWU/9N7WU阿部さんに照会しました。さっそく阿部さんから返事があってネパールは9月一杯まで雨期なので10月以降に行くのが良いとのことでいろいろ資料などを頂き心づもりをしていたところ、すでに9月中に先約があるとのことで急遽10月の初旬に行くことにしました。   

DXぺディションを行う場合、ある場所が複数のグループで計画されることがあり、その場合後発組は後塵を拝することになり中止されることがしばしばです。今回も先発組みがSSTVを運用するとなると実施の意味が薄れるので、先発のJA0BYS佐藤さんにお尋ねしたところ、運用は「SSBとCW」に限られるとのことでしたので一安心です。そこで観光案内書を買ったり、観光会社のツアーを調べたりしました。 いつもそうですが、ツアーで行きアマチュア無線を運用するには、その場所のホテルなどに照会して許可を得る必要があります。今回はたまたま阿部さんの「L.K.GEUST HOUSE」が宿泊兼用で、しかも現地ガイドの「FOUR SEASON」が現地案内を兼ね観光案内も行うので、私のように家族を伴い無線を運用するのにもってこいです。      
■ネパールとは
ネパールはインドと中国の間のヒマラヤ山脈の真っ只中にあります。ほとんどのヒマラヤ登山はこの国から入るのです。私は若いときから登山が好きで、日本アルプスが近くにあることからほとんどの山は登り尽くしていました。多くの登山者のあこがれはスイスアルプスとヒマラヤ山系に登ることです。しかし、私はそれを果たすことがもはや不可能でせめても両者に接することにして、すでにスイスアルプスはマッタホルンをはじめスイスの3大峰には行って簡単なトレッキングをやっています。今回は観光フライトでヒマラヤ特に世界の最高峰エベレスト山を身近に見ることでした。 写真2 ネパールの地図  

9Nは私がDXハンティングを行っている当時9N1MMファーザーモーランが唯一人の運用で貴重なカントリーの一つでした。最近は「CQhamradioのDXCCエンティティ難易度」(2001年3月号218ページ参照)では5段階の第3「A」に位置しています。1998年の「RADIO AMATEUR CALL BOOK」では数局のコールサインが掲載されているに過ぎません。ネパールへは現在上海経由のネパール航空のほか香港、バンコック経由などいくつかのフライトルートがあります。私は最短ルートで、しかも乗り継ぎのない直行便のネパール航空を選びました。この国はVISA(US30ドルを支払う)が必要であらかじめ取得ができますが、入国の際にカトマンドゥ空港で少し時間がかかりますが取れます。
■アマチュア無線の運用

1.免許の取得  
まず免許の取得は英文とネパール語の申請書が必要です。申請用紙は阿部さんがあらかじめ用意してくれます。必要書類は日本の無線免許の従免と局免の本体と英文証明の写し、それにVISAの写しを添付します。今回ゲストハウスのオーナーのLAVA さんが手続きを取ってくれましたのでお任せですが、なにやら取引がなされ、私の申請したバンド(14,21MHz)に1周波数(18MHz)が勝手に加えられ申請手数料が基本の1.8倍近く請求されました。基本手数料は2バンド(申請者が申請書に記載)で日本円で約14,000円です。到着しての申請で異議の申し出は控えざるを得ませんでした。詳細は分かりませんが、参考までに私を含め今回までに運用した5局の明細を表にしました。

免許手数料
運用者
A
B
C
D
E
使用バンドMHz
14  21
7  10
14  21  28  50
1.8  3.5  7  10  14  18
14  18  21
手数料
180$ (\22,000)
\20,000
\30,000
\50,000
\25,000

2.運用場所

運用場所は 、ネパールの首都カトマンズ市内にある「L.K.GUEST HOUSE」です。ここはJA8MWU/9N7WU阿部さんの事務所兼用のシャックで今年の5月に新築されたものです。まだ温水シャワーが未完成(冷水)です。ゲストハウスは自炊で、私達は米,味噌、醤油などを持参(野菜などは近くの店で買える)、スパゲティ(インスタントラーメンなども)は有用です。ラバさんの奥さんの手料理も食べられます。まだ新設なので、タクシーに乗ってもゲストハウスの場所が運転手には知られていないで場所を指定して空港,観光地からはハウスに到達しないそうです。  

3.シャックの無線設備   
リグはICOMのIC-740、IC-746とKENWOOD TS-50にYAESUのFL-2100Bのリニアアンプ。ただし、私が運用したときはリニアアンプは空冷ファンが故障で使えませんでした。572Bの真空管は私の前に運用した佐藤さんが新品に取り替えましたが、ファンが動かずオーバーヒートとなり、私が持っていった真空管に変えてあります。免許されたパワーは100WですからSSB、CWモードを運用するには良いようです。アンテナは17米高のTA-351、ナガラの4エレメントとトライバンダー(14〜28MHz)に7MHzのワイヤーアンテナが設置されています。電源は20アンペア用一台、他に100V変換の1kWのスライダックが一台あります。シャックのある部屋は広いのですが、リグにバンドパスフィルターを用いないと2セット運用は無理だと思います。リグはあらかじめ持参して許可をとれば自分で持ち込めるようです。

写真3 ゲストハウスの建物
4.滞在6日間の運用の概要   
免許は到着翌日(フライトにも拠る)にラバさんが申請してくれるので、その間市内観光を行い帰ってきた時点で口頭によるコール(ほぼ申請どおりのコールサイン、私の場合9N7SCで運用ができます。観光から帰ったのが10月1日の13時(UTC、現地時間18時)過ぎでしたが、早速運用して14MHzで13:38UTCにJA6GXP浅井OMが今回ファーストとなりました。3局ほどで終わり、続いてEUに移り21MHzでSP4KMVald OMが最初でした。その日は11局でフェードアウトして、翌日2日は02:011UTC(07:16LOCAL)に運用開始、JA 4局ほかEU 25局でコンディションが悪く不調なすべりだしでした。フェードアウトは16:34UTCでした。   

SSTVが不調なのでRTTYに移ったのですが、受信画面に相手コールサインがが出てきません。受信音がコトコトといってRTTYのあの澄んだ受信音になりません。またもやトラブルに合うのかと悔やんでも始まりません。ソフトをチェックしたり、インターフェースを見た(SSTVで運用できているので見ようがない)のですが分かりません。切羽つまってJA局に実情を訴えるのですが、うまく解決できないままに過ごしているときJA1FQI谷本さんがアドバイスをくださりいろいろMMTTYソフトをチェックしたのですが、その日は解決にならず頭を冷やすため一端中断しました。翌日も谷本さんにJA1WSK勝見さんに加わっていただきチェックするのですがだめでした。

写真4 9N7SCのシャック
4日目になってソフトではなくリグ(IC-746)に原因があるのではないかとして,特にフィルター部分のつまみのセッティング状況をチェックすると4つのつまみがオン(フィルターが稼動)になっているのを外して正常になりました。時に10月4日の11:42UTC(現地時間16時)でした。この間お2人には3日近くに及ぶ大変お世話になり感謝申し上げます。  

3日目のSSTVの運用はやはりEU方面は思わしくなくトータルで28局、うちJAは21局でした。14:35UTCにフェードアウトしました。 翌4日はどうしようもなく、たった12局(うちJA5局)というありさまでした。そこでRTTYに力をそそぎ、この日1日54局とコンタクトできました。開始が現地時間16:42ですからわずか2時間たらずのうちのこれだけコンタクトしたことになります。始めはコールサインの入力をキーボードから入れていましたが、受信音が止まるとCALLの入力窓からCALLが入っていずてこずりりました。6日にJE3HHT森さんとSSTVでコンタクトした時お聞きすると受信した相手のコールにマウスを当てクリックすればよいと教えてもらい、その後はスムースに入力ができました。   

写真5 9N7SCのアンテナ
5日目はSSTV 24局うち11局がJAでした。この日は朝早く起きて01:04Z(06:04LOCAL)から開始したにもかかわらず相変わらずの低調なコンタクトに終わりました。RTTYはトータル128局とうちJAとは48局できました。沢山の局から呼ばれそのうち「SPRIT SPRIT」と言われましたがスプリット運用がうまく出来ず皆さんに大変迷惑をかけました。運用時こちらのリポートが受信されず何回もコンタクト済み(当局として)なのに執拗に(失礼、こちらがまずいのに)呼んできます。   

最終日、6日はSSTV 21局うちJA 13、RTTY 142局うちJA 33でした。RTTYは日を追うごとに増加したのですが、SSTVは1日20局をオーバーすることはありませんでした。振り返ってみると、先に運用した佐藤さんは夜半の1時(現地時間)から運用を開始しており私は早くとも朝6時でしたからこのへんの違いかなと反省はするのですが所詮は体力の相違とあきらめています。

4.Billとのアイボ−ルQSO   
9N7ZK Bill からネパールへ行く前にHA5DWを通じてデジタル用ソフトを入手したい旨のメールが届いていました。Bill にはネパールのシャックへ誘うと喜んで訪れるとの返事を受けていました。彼は我々が市内観光を行っている初日にシャックヘ来たようで2時間ほど待ったものの、我々がシャックに帰ったときはすでに帰っておりました。翌日夕方再び来てアイボールQSOができました。たまたま佐藤さんの運用最終日で一緒にカメラに収まることとなりました。彼はウガンダ人で国連人道基金に勤務し、かたわらC56,7Q7,V51,5H3,5N0の各地から運用しています。   

写真6 9N7ZK、BillとのアイボールQSOで(左からBILL,筆者、9N7BY佐藤氏、LAVA氏、ゲストハウスのオーナー)

こちらからはCQhamradioのCD-ROMを持参していたので、さっそく彼のIBMノートパソコンにコピーしました。そしてまずPSK31を立ち上げようとしたのですが駄目でした。同じものを筆者のパソコンで立ち上げると起動するのですが、他の「MMSSTV」1.05バージョンも立ちあがりません。困り果て結果的にCQSSTV.COMのWEB SITEからダウンロードをしてもらうことにしてURLを写しました。 日本へ帰ってから再度JE3HHT森さんにその話しをするとソフトが日本語バージョンであるからとのことです。またまた文化の違いに泣きました。   

また彼はインターフェースを持っていないとのことなので、こちらからトランジスタその他の部品を提供したのですが、彼は工作が出来ないとのことこれにはほとほと困り果て場合によっては組み立てたものを送らなければならないかと思いました。彼はこの機会にネパールからデジタルモード特にPSK31に出たいとのことで、そのうちに9N7ZKのコールで現地在住の局がQRVするかもしれません。

5. ゲストハウスでの自炊   
ゲストハウスでは食事を自炊しなければなりません。面倒な反面、宿泊費を節約することができます。そこで日本から米、味噌、醤油の基本食材を持参しました。通常これらのものは持ち込み禁止という概念があるので最初心配で阿部さんに確認したところ問題ないとのこと、それでも一抹の不安は拭い去れませんでした。それで前に運用中の佐藤さん達に聞くとインスタントラーメンを多く持参しているとのコトでした。先にツバルでの大和クラブの皆さんもこれを持っていきましたが、通関で咎められるのを心配とのことでした。   

写真7 ゲストハウスのキッチン

ゲストハウスのある近辺は同じような建物があるところで、日本のような食堂らしきものは見当たりません。また、行く前に阿部さんからシャワーの温水器が未完成で温水が使えないと聞いていたのですが、もちろん銭湯などあろうはずがありません。それでも少し離れたところに日本人が経営する野天風呂(ロイヤル・ハナ・ガーデン)があって有料で使えるとのことでしたので,最悪の場合そこへ行くつもりでした。事実2日目に一家そろって食事を兼ねて入ってみました。野天風呂ですから女性はどうするのかと心配でしたが、案の定風呂は2箇所あっても一箇所しか湯がありません。でもショールを着ての入浴ですからなんとかなりました。   

ハウスのオーナーLAVA さんは、彼の奥さんのネパール料理はうまいからと勧めてくれ、サンプルが2度届けられましたけれど私達の口には少々無理がありました。多分前の人達は単身のようでしたから(佐藤さんはご夫妻で別のホテルに滞在)利用したのかもしれません。私のXYLと使用人のチャンドラ君が大失敗をして電気釜をパーにしてしまいました。電圧が100V用であるのを気がつかず240Vに差し込んだのです。始めご飯が炊きあがらないので原因を探るうちにこのことが分かったしだいです。ちなみにチャンドラ君はゲストハウスに寝泊りしていて、我々の面倒をみてくれました。彼が出してくれるネパール茶(紅茶)はミルクティーで最高の味でした。ゲストハウスの使用料は1人、1泊US30ドルです。                                  

■サイトシーイング(観光)
写真8 観光フライトの飛行機

ネパールの観光は阿部さんの友人でRAJUA、ラジャさんが案内してくれました。もちろん料金はそれ相当に掛かりますが、当人いわく割安にやってくれるとのことでした。彼は結構上手い日本語を話します。私達はまず市内観光と遊覧飛行それに近くの峠まで行きヒマラヤをを見る計画でいました。初日に市内観光を無線の免許取得の関係で行う必要があります。カトマンズ市内には旧王宮を始めとして世界遺産に指定されている建物が幾つかあるので1日観光の格好の対象です。   

写真9 フライト機から見たエベレストの勇姿

予約が必要なことから私達は、2日目にヒマラヤ遊覧飛行をセットしたのですが、あいにく天候が悪く飛行機が飛ばずキャンセルとなり、翌3日目にお天気がやや曇っていたのですが山は雲の上に突き出ているので念願の世界最高峰のエベレスト山を見ることができました。

翌4日目に郊外のナゴルコットの丘へヒマラヤの雄大な眺めを見に行ったのですが、あいにくの天候で見ることができませんでした。XYLと娘は峠のホテルに1泊して翌朝に期待したのですが、やはり駄目でした。しかし、そこからの下りのミニトレッキングは好評でした。温水シャワーはここでも太陽光利用であいにく冷水となりがっかりさせられたようです。

■エピローグ
今回のDXぺデイションはなんとなく満足できませんでした。SSTVのコンタクト数が伸びなかったこと、リニアアンプが早々にオーバーヒートして使えなかったこと、天候に恵まれず峠からのヒマラヤ展望ができなかったことなどなどです。それに加えて電気釜が使えず、持って行った米のご飯が食べられなかったことです。免許取得ではいやな思いをさせられ、せっかくのネパール運用の楽しみを半減させられたのです。 帰りは途中、上海で人数確認のため40分ぐらい出発が延ばされました。関西空港では異例の検問で、いつもなら大したこともない荷物の検査をみっちりされました。でも沢山の皆さんからコールを受けニューワンを提供できたのが最大の喜びでした。ありがとうございました。
コンタクト数
モード別/日付別
10月1日
2日
3日
4日
5日
6日
TOTAL
SSTV
11
29
28
12
24
21
125
RTTY
-
-
-
52
128
142
332
モード別/日付別
ASIA(内JA)  
EUROPE
N,S、AMERICA 
 OTHERS 
 TOTAL
SSTV
68(57)
49
4
(AF)4
125
RTTY
120(102)
195
5
(VK)2
332

JA0SC 吉池 弘忠 2001.10.18

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