ICOMHF/50MHz ALL MODE TRANSCEIVER 
[IC-703新製品情報]
ICOM WEBサイト
 
     
 

ハムフェア2002の会場で参考出品して話題をさらったICOMのIC-703(99,800円)でHFオールバンド+50MHz 10Wトランシーバーが発売になりましたので、ニューモデルに触る機会を得て率直な印象記をお届けしたいと思います。なお、送信テストはアンテナ端子にダミーロードを接続して室内実験にとどまりました。

シャックで50.240MHzSSBを受信中のIC-703(マイクは接続していません)

IC-703の外観  あのベストセラーのIC-706シリーズにそっくりで親しみやすいデザインですから型名を見るまでは見分けが難しいかもしれません。
実際のところIC-703を目の前にしてみるとIC-706のカラーに比べて精悍なブラックが印象的でさらに洗練された印象を受けます。

IC-706シリーズを愛用される皆さんにはおなじみの[MENU][F1]〜[F3]、そして[MODE] [TS][RX][TX][DISPLAY][LOCK]
[BAND]が薄いグリーンのバックライトで周りが暗い中でもボタンの位置確認がしっかりでき、暗くもなく明るくもない適切な照度が妙に好ましく印象に残りました。

大容量ニカドバッテリーパック。
9.6V/2800mAh

IC-703のポイント  1.9〜28MHzのアマチュアバンドと50MHzをカバーするオールモード(SSB/CW/RTTY/AM/FM)10Wトランシーバーです。リアパネルはヒートシンクの突起もなくスッキリと167(W)×58(H)×200(D)mmのサイズにまとめ、内部にアンテナチューナーを収容した贅沢さが大きなウリとなっています。送信電力を10ワットに押さえたがコンパクトなアンテナチューナーにつながったと想像をたくましくしています。

マルチバッグ(LC-156)

50〜100Wになれきった目にIC-703の10Wの送信電力に新鮮な印象を受けました。開局は10Wの手作り送信機で国内交信を楽しんでいましたから、当時を思い出して少ない電力で遊んでみたい気分になりました。技術の粋を集めたIC-703は昔の手作り無線機と違い、受信DSPユニットを標準装備するなど始めからただモノではないのです。

陽気がよくなったら重量2kgのIC-703と充電式バッテリーパック(9.6V/2800mAh)*をマルチバッグLC-156)*に詰めて近くの山に出かけて10Wで交信したくなりました。アンテナは個人の趣味でHFバンドはツェップ系、50MHzバンドなら4エレメントの八木アンテナを使ってみたいと思います。いずれにしても久しぶりにやる気を起させてくれました。(*いずれもオプション

 
     
 
IC-703をクルマに搭載してみました。フロントパネルを外してセパレートケーブル(OPC-581)で本体に接続。同ケーブルはIC-706MKUGMと同じでした。クルマはセフィーロ
受信してみて
IC-703のアンテナコネクターに地上18メートルの高さに上げたトライバンドHB9CVにつないで[POWER]キーをオン、オレンジ色のディスプレイが[全点灯]→[RF POWER]→[DC SUPPLY]→ [周波数表示] と切り替わります。 AF(音量)ツマミを回すと内部雑音が全く気にならない状態で受信音が大きくなります。

バンドを14MHzにして[DIAL]ツマミを回して信号を捉えSSBを復調してみました。信号だけをしっかり捉えて明瞭に聞こえてきます。
DSPユニットの標準装備による効果がはっきり分かります。受信信号をデジタルに変換後、ノイズ成分と信号成分を分離して、目的信号を浮かび上がらせるデジタルノイズリダクション機能はさすがと言うほかはありません。

[受信感度と受信音]:すっきりしていて厚みのある耳になじむ音で長い時間聞いていても疲れを知りません。IC-706MKUGで蓄えた技術を余すところなく受け継いだ受信部により実現したと容易に想像がつきます。受信感度はHF帯−16dBu(10dB S/N)、50MHz帯−18dBu(10dB S/N)、高級固定機と同等のスペックという贅沢さ。

IC-706MKUGでおなじみの[P.AMP/ATT]は、受信プリアンプとアッテネーターのON/OFFです。通常は受信プリアンプをOFFで使うほうが静かで好ましいと思っています。
ノイズすれすれの信号を受信するときは、受信プリアンプをONにするとSメーターで3〜4くらいプラスに振れてはっきりと聞こえるようになります。また、[ATT]アッテネーター(20dB)はローバンドや強い信号を受信したときに使うと聞きやすくなります。


[RTTYやSSTVに朗報]  ±0.5ppm以下のTCXO(高安定度水晶発振器)を標準装備していてRTTYやSSTV愛好家に喜ばれるのは間違いないところ。オプション扱いが普通のTCXOがIC-703には始めから内蔵しているのですからなんとも贅沢なトランシーバーです。

[オートアンテナチューナーを内蔵]  ラッチングタイプのリレーを採用したオートアンテナチューナーを内蔵。操作は[TUNER]キーを押すだけで瞬時にチューニングを終了してくれます。整合範囲はHF帯で16.7Ω〜150Ω、これによりモービルアンテナのような有効周波数帯の狭い短縮型アンテナのチューニングに絶大な威力を発揮してくれます。
オートアンテナチューナー部を見る
[電源電圧9.6Vでも全バンド5Wの出力を確保]  HF〜50MHz帯をひとつのPAでカバー。13.8V接続時に全バンド10W(AMモードは4W)、電圧を下げて9.6Vでも全バンド5Wの出力(AMモードは2W)を確保したのは、移動運用向きと言える。室内でDC電圧を下げてみたが送信・受信ともに9.6Vまできっちり動作していました。因みに9.0Vまで下げると電池マークが[LOW]の表示が出たが受信動作は続いていました。

[簡易バンドスコープ機能]  受信周波数を中心に設定したステップの範囲をスイープし、ディスプレイにグラフィック表示するバンドスコープ機能を搭載してオンエア局や空き周波数を視覚的に見ることができます。ステップ数は0.5k、1k、2k、5k、10k、20k、100k。例えば14.150MHzで受信中にステップ数1kでスイープすると14.136MHz〜16.163MHzをカバーしてくれます。10kなら14.014〜14.286MHzあたりまでをカバーして信号の出ているところで棒グラフの棒が立つように表示されます。

メモリーキーヤー表示例

[その他の特長]

オプションフィルター
種  別
 通過帯域幅
 価 格
 FL-52A  455kHz CW/RTTYナロー
 500Hz
 ¥16,500
 FL-53A  455kHz CWナロー
 250Hz
 ¥16,500
 FL-222  455kHz SSBナロー
 1.8kHz
 ¥18,000
 FL-257  455kHz SSBワイド
 3.3kHz
 ¥16,500
 FL-65(標準装備)  455kHz SSB
 2.4Hz
 -

・ モービル運用にうれしいフロントパネルセパレート(セパレートケーブルOPC-581またはOPC-587が必要)
・ FSK方式のRTTYモード
・ SWRグラフ表示機能
・ メモリーキーヤー 最大50文字まで記憶できる3CHもメモリーキーヤーを搭載。
・ オプションフィルターベイを装備

まとめ 
IC-703をクルマに搭載して無線交信しながら山へ到着、ここで大型の外部アンテナに接続して交信を楽しむ。上級者ならリニアアンプを接続してDX運用も面白い!IC-703がQRP運用を意識した設計と分かっていても充実した多機能を知れば、DXサービスに携行していいじゃないか、そんな気にさせてくれます。基本性能に優れていると幅広い色々な使い方をユーザーが考えてくれると思います。

ICOMさんからお叱りをいただく覚悟で言えば、モービル運用の写真をとるためにIC-703の前面パネルをIC-706MKUGMの本体につないでしまいました。本当はセパレートケーブルが706も703も同じOPC-581を使うと知って(誤って)接続したのに、何事もなく動作していて間違いに気付かなかったというのが真相です。新設計のトランシーバーに既存のトランシーバーと共通性を持たせている、これはすごいことだと感じています。

QRP機と言い切るにはあまりに惜しい気がしてなりません。リニアアンプなどと組み合わせるのは装飾過剰と批判されるのを覚悟で言えばあるときはポータブル機、あるときはモービル機、そしてこれにリニアアンプと組み合わせてDXサービスに活躍して当然の多機能&高安定トランシーバーと高く評価しています。(終わり)

de JA1FUY

QTC-JAPAN.COM 2003.02.25
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