巷でIT革命が叫ばれているのと反比例するかのようにアマチュア無線の化石化が話題となって久しいですが、決してアマチュア無線が取り残されているわけではないのです。 ちょっと視点を変えてその気になりさえすれば、最近のインターネットはアマチュア無線を楽しむ上で限りなく便利なツールとして活用が可能かもしれません。
日本でも遅れ馳せながら一般的となってきた定額常時接続インターネットとアマチュア無線を合体、インターネット経費のコストパフォーマンスを高め、新世代フォーンパッチとしてハムならではの新しい楽しみ方を開拓したほんの一例として最新IT技術対応のTS-2000を使った超遠距離オンラインコントロールのレポートをお送りします。
【公開実験運用レポートはこちら】
 

日本と比較して法規制が緩やかなオーストラリア国内で、V/UHFのFM機を使用した小規模なオンラインコントロールの実験を昨年から繰り返していましたが、オールインワントランシーバ・TS-2000とPCコントロール関連ソフトウエアーが QTC-Japan.comのクラブ局/JA1ZNGに届いたと聞いて黙って見過ごす訳にはいかなくなりました。 幸い、QTC-Japan.comのインターネットは定額常時接続、複数のPCがLAN接続されていますから一つの端末をオンラインリモコン用として無線機につなぎっ放しにしておいても編集作業やEメール送受などに影響は与えない雰囲気です。 赤道を隔てて数千Kmも離れたオーストラリアから、日本国内に設置されたクラブ局の無線設備をスイッチオンしてオールバンドで運用できるという環境を体験してみて・・・『素晴らしい』の一言です。

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1200MHzにバンドを変更してFMのお馴染みさんを探してみることにしました。 いつものスポットで技術談義に花を咲かせているJA1CVF/岡田さんとJA1CXB/大泉さんを発見してブレーク。近況報告を兼ねて、6月末〜7月初旬の日本行きスケジュール詳細などを話しました。

キャンベラのシャックから、東京や埼玉でQRVしているのとまったく同じ感覚でレピータ/シンプレックス両方でV/UHFのFM運用が楽しめるのですからたまりません。近所のコンビニまで、ハンディー機片手に散歩がてらのお買い物に出かけられたJA1FUY/川合さんもラグチューに加わって1時間半ほど楽しく過ごした後、次は430MHz/FMを覗きにいくことに・・・。
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日本国内ではかなりの長期間にわたって悪評紛々の430MHz帯のFMですが、週末は合法アマチュア局(?!)移動運用が花盛り・・・VK1ARAを名乗るオペレータが、関東周辺の430MHzでマイクを握って『こちらの今朝の気温は5度、いよいよ冬に突入して寒くて参っちゃいます』などと乱入交信していると無用の誤解を招きそうなので送信は遠慮、あちこちのチャンネルを楽しくタヌキワッチさせていただきました。
 
再び21メガに戻ってCQを出すと千葉県のJA1QGT/加藤さんから応答あり。加藤さんのQTHから所沢とキャンベラはフロント/サイドの関係です。加藤さん自作の高性能デルタループアンテナをキャンベラ方向に向けていただくと、コントロールインターフェースを表示しているLCD上のTS-2000のSレベルバーがググーッと下がってJA1ZNG側では受信不能に・・・逆にキャンベラ側のTA-351に接続してあるFT-1021のSメーター針がグイーンと息を吹き返して今度はJA1ZNGからVK1ARAにコールサインを変えて従来の方法(?!)で直接交信できるようになりました。
 
システムは、TS-2000のPCコントロールインターフェース以外は、すべて無料で頒布されているごく一般的なオンライン通信定番ソフトを使用していますからセットアップや運用に関する難しいことはほとんどありません。インターネットやPCを使いこなしている普通のハイテクハムでしたら、特別の技術や知識など必要ない位の簡便さです。

IC-746やFT-847を始めとして、他のトランシーバーでも同様の超遠距離リモコンが可能な機種は多いのですが、なんと言っても1台でゼネカバ受信+HF〜1200MHzまでオールモードのフルファンクションで運用可能なTS-2000ファミリーが、ARAのような庶民ハムにとって高嶺の花的価格以外は一番魅力的です。周波数の微調整やバンドチェンジはもとより、フィルターの切り替えから、パワーの増減、内臓アンテナチューナーの操作まで、TS-2000オンラインコントロールの楽しさと価値を満喫できた日曜日の午前中でした。
IC-746のPCコントロール画面です、クリックして詳細をご覧ください▲
 
今回使用した簡易システムの概略は⇒【こちら】
 
 
技術的には簡単なことですが、楽屋裏では・・・さまざまな下準備に手間がかかりました。
 
■TS-2000の50W機を増設登録するための申請に意外と手間+時間を食いました。
偶然、1アマと2アマ資格者だけが構成員となっているJA1ZNGの固定局免許は1KWと200W/移動局は50Wなのですが、手軽にあちこちから運用実験をするためには、移動局にもこのTS-2000/50W増設手続きをきちんとしておかなければ『違法運用』とされてしまいますから要注意です。免許人(オペレータ)が操作に必要とされる資格を満たしている日の丸ブランド最新型一流メーカー製無線機であってすら、手元に届いた時点ですぐにアンテナをつないで送信することが許されない日本の現アマチュア制度はちょっと寂しいような気がします。
 
■リモコン運用回数が特に多くなりそうなVK1ARAをJA1ZNGの正規登録メンバーにしてもらいました。
メンバーでもないのにクラブ局の無線機をフォーンパッチ的遠隔運用するのは少々慮られます。いつでも、条件が整った折にリモコン運用することが可能なようにJA1ZNG/1をフル操作できる日本の無線従事者資格(+JAコールサイン)を所持している正規メンバーとして登録していただきました。
 
■無人局全自動遠隔制御も夢ではないのですが、現在のところは遠距離リモコン運用中に万が一なんらかの問題が発生した折には直ちに手動送信停止処置がとれるように、クラブ局近辺に常時モニターが可能な有資格管理者がいる時に限ってJA1ZNG/50W局のリモコン運用が正規メンバー限定で許可、50W以上のハイパワー運用は自粛しています。 TS-2000の電源スイッチON/OFFがリモコンで可能なのはもちろんですが、携帯/有線電話を通じて管理担当者とリモコンオペレータが手軽に連絡を取り合えるように無料/ローコストのインターネット国際電話もセットアップしてあります。よって、無人クラブ局/個人局における遠隔操作実験は予定していません。
 
■TS-2000/50Wの超遠距離リモコン運用開始にあたって、ご近所をすべて回って送信時に電波混入などのトラブルが発生しないかどうかのチェックを完了、クラブ局管理者の24時間連絡先電話番号をあらかじめ伝えておくなどの点に特に気を配ったのは言うまでもありません。
 
 
 
※レポート:VK1ARA (Last updated 26/June/2001)