KENWOOD TS-2000S

(その4) オートモード機能の活用
By Toru Kato,JG1RVN
 
■はじめに
KENWOOD オールモードマルチバンダー
TS-2000S  \288,000
TS-2000Sには周波数によってモードが変わるオートモード機能 があります。この機能を生かすためには、モードごとの電波の性質 を知り、コマンドでプログラムすることが必要です。
パケットクラスター を受信したときのモードチェンジにも、このプログラムは使用されます。 VFOを回していくと、モードが設定されたポイントでCWからUSB、 あるいはUSBからFMへと自動的に変わる機能です。
■バンドプラン
日本のバンドプランについては、JARLのWEBページに掲載されて います。こちらをごらんください。 しかしTS-2000Sのように広いバンドをカバーするリグですと 暗記するのも大変です。そこでバンド内で自動的にモードチェンジする機能を活用してみましょう。
■注意したいバンド逸脱
最近、HF帯でバンドプラン逸脱の例を何度か聞きました。トラブルが生じやすい のは7MHzと3.5MHzのSSBです。 これらのバンドではLSBが慣例上、使用されています。LSBとは Lower Side Bandの略ですので、抑圧されたキャリア周波数 から実際に発射される電波は下へ広がります。 仮にLSBモードで7030kHzにダイヤルを合わせて電波を出したら、 どうなるでしょうか? 周波数表示はキャリアポイントですので、実際に出る 電波は、そこから「下方(Lower)」へ広がります。音声帯域を仮に3kHz とすると、LSBでダイヤルを7030kHzに合わせると、電波は 7027-7030kHzに広がってしまい、同周波数で行われているCWや RTTYの通信に混信を与えてしまうのです。

したがって、3.5MHz帯ではSSBは3525kHzから上ですから、 LSBのダイヤル表示では3528kHzから上でないとフォーンのバンドを 逸脱します。また同様にLSBを使う7MHz帯では7033kHzから上 で運用する必要があります。 これはUSBでも同じことで、USBはUpper Side Bandですから、キャリア周波数(周波数表示)から、「上方(Upper)」へ 占有周波数帯が広がります。 特にWARCバンドでは、USBで運用できるのは USBではバンドエッジ(上端)から3kHz下までです。目安としては 運用できるエッジは18MHz帯では18165kHz、24MHz帯では 24987kHzまでです。ただし細かいところまで29ch分のメモリではカバーできませんので、モード毎の占有帯域幅を念頭に置いて、 操作してください。本機はVFOの動作範囲を制限するメモリもありますが ここではオートモードの活用を考えてみます。
■TS-2000Sのオートモード機能
TS-2000SのオートモードはHF〜50MHzでは29ポイント、 144MHz帯では9ポイント、430MHz帯では9ポイント、それぞれ 分けて記憶できます。実際にはHF帯は放送局(AM)、航空無線(USB) など、様々な周波数で異なるモードが使われているので各モードを自動的に チェンジするには複雑でありメモリも限りがありますので、アマチュアバンド で運用するのに不便を感じない程度の区分メモリ例を考えてみました。 放送局やエアバンドはVFO上のオートモードチェンジよりメモリ呼出で モード管理した方が便利ということもあります。実際の運用では USB、LSBなどの、それぞれの周波数占有幅やキャリア周波数から 実際の電波が広がる方向を考えて、運用してください。 プログラムのルールは、その周波数より下に入力したモードが適用されます。 放送局をVFOで追うときは手動でAM(またはAM/N)を選択すればOKです。

アマチュアバンド内ではバンドプランに応じて自動的にモードが 変わります。次に示すのは、オートモードの入力例です。 やみくもに入力すると、29ch分のメモリを使い切ってしまうため、 プログラムを入力するときは、この表を参考に各自でモディファイすると きっと使い易いオートモードが実現できると思います。 オートモードの考え方は、「入力周波数未満で、そのモードに変わる」 という形です。つまり433.98.00でFMモードを使いたい 場合には10Hz分を加算して 433.980.01 FMを入力 すると433.980.00kHzまでFMモードが使えます。 この「未満」の考え方がオートモードメモリのコツです。
1) メモリは「USB/LSB/AUTO」keyを押しながら電源ONです。 周波数は「ENT」keyで入力できます 。 2) HF-144-430のバンド切替は「+」keyと「−」keyで 行います。
3) メモリチャンネルの移動は「MULTI」keyで行います。 4) 入力後は「CLR」keyでデータをインプットします。
5) 「FUNC」+「USB/LSB/AUTO」を同時に押してAUTOモードをOnします。 7032.99kHzまでCWモードになります。 6) このように7033.00kHzから上ではLSBモードに自動的に変わります 。
■オートモードの入力コマンド
「USB/LSB/AUTO」を押しながら電源On。
「+」または「−」キーを押してバンド選択(HF-144-430) 「MULTHI/CH」ツマミを回してメモリ番号を選択
「ENT」キーを押して周波数を入力(ダイヤルでも入力できます)
「モードキー」を押して運用モードを選択します。
「CLR」キーを押して入力完了→重要!
入力後、「FUNC」を押しながら「USB/LSB/AUTO」押してオートモード 機能(モード横にAUTOが表示される)をOnします。
モードチェンジ後、モードの境目を往復するとモードが自動的に変わります。 注:メモリ入力の最後に押すCLRキーはダイヤルの左にある小型のCLRボタンで、 右上の大きなCLEARボタンではありません。 CLRを押さないで電源を切ってしまうとメモリされず労作が水の泡ですので このコマンドは忘れないように注意が必要です。
■HF帯のメモリ例
メモリチャンネル
周波数
モード
備考
1.800.00
AM
中波放送
3.528.00
CW
160/80mCW
7.000.00
LSB
80/75mSSB
7.033.00
CW
40mCW
10.100.00
LSB
40mSSB
14.070.01
CW
30/20mCW
14.112.00
FSK
20mFSK
18.068.00
USB
20mSSB
18.110.00
CW
17mCW
21.000.00
USB
17mSSB
10
21.070.01
CW
15mCW(DX)
11
21.125.00
FSK
15mFSK
12
21.150.00
CW
15mCW
13
24.890.00
USB
15mSSB
14
24.930.00
CW
12mCW
15
28.000.00
USB
12mSSB
16
28.070.01
CW
10mCW(DX)
17
28.150.00
FSK
10mFSK
18
28.200.01
CW
10mCW
19
29.000.00
USB
10mSSB
20
29.300.01
FM
10mFM
21
29.519.99
CW
10mCW(衛星)
22
50.000.00
FM
10mFM(レピータ)
23
50.100.01
CW
6mCW
24
50.500.00
USB
6mSSB
25
50.897.01
AM
6mAM
26
51.000.00
FSK
6mFSK
27
51.980.01
FM
6mFM
28
60.000.00
USB
6mSSB(DX)
※3.5/7MHzはバンド逸脱防止を考慮して3kHzの余裕を取りました。 たとえば7032.99kHzまではCWモードとしLSBで運用できないように 規制してあります。
■144MHz帯のメモリ例
メモリチャンネル
周波数
モード
備考
144.000.00
FM
受信用
144.100.01
CW
2mCW
144.720.00
USB
2mSSB
145.780.01
FM
2mFM
146.000.00
LSB
2m衛星通信
151.999.99
FM
受信用
※バンドプラン上、FMで使用できるのはFMの占有周波数帯(20kHz) を考慮すると144.72〜145.78となるため、それに合わせて FMのバンドを組んでみました。パケット通信の周波数は手動切替または メモリチャンネルで対応します。
■430MHz帯のメモリ例
メモリチャンネル
周波数
モード
備考
430.000.00
FM
受信用
430.100.01
CW
70cmCW
431.420.00
USB
70cmSSB
431.880.01
FM
70cmFM
432.120.00
CW
70cmEME
433.980.01
FM
70cmFM
438.020.00
CW
70cm衛星通信他
449.999.99
FM
70cmFM/レピータ/受信用
※バンドプラン上、FMで使用できるのはFMの占有周波数帯(20kHz) を考慮すると431.42〜431.88、432.12〜433.98MHzとなるため、それに合わせてFMのバンドを組んでみました。 パケット通信の周波数は手動切替またはメモリチャンネルで対応します。
■まとめ
いかがでしょう?エッジ部分のプログラムは今後変更されることもあるかも しれませんし、バンド内のモードのエッジで、どちらのモードを優先させるか 微妙なところもありますので、この表を参考にしながら、実機の動きを試して下2桁の周波数の微調整を各位でお願いします。WARCバンドのCW/SSBの境目や、430MHzのFMは、 どこでモードが変わるのか、移動運用先で迷うことがあるのですが、 TS-2000Sのオートモード機能を活用すればバンド逸脱の心配がなくなり安心して運用できます。ダイヤルを回すだけでモードが変わる機能は 実際とても便利です。たしかにメモリ入力は、やや面倒なのですが、 各バンドプランが今後変わってもメモリの書き換えだけで済みますから、 フレキシブルで有効なシステムであると私は思います。
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写真&レポート:JG1RVN 加藤 徹  (2001.02.13)

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