HF/50/144/430/1200MHz帯オールモードマルチバンダー

KENWOOD TS-2000S テストレポート その2
By Toru Kato,JG1RVN
 
TS-2000Sは様々なメニューが用意されユーザーが、それぞれ の使用条件に合わせてカスタマイズして楽しむことができます。 早速いくつかの例を考えてみましょう。
■CWで従来機の感覚でオペレートしたい
20〜30WPMの通信速度に適したCWのコマンド変更例としては・・・
メニューNo.
機 能
初期設定
変更値
31
CW受信ピッチ/送信サイドトーン周波数の設定
800Hz
650Hz
32
CWライズタイム(立ち上がり時間)設定
6mS
4mS
33
CWウェイティング比率
AUTO
3.6
の変更を行いました。CWのオペレーション上で重要な点は、TS-2000Sは左下の2つのツマミの うち右側がSHIFTになっているのですが、800HzからCWトーンを変更 したときはに「信号はパスバンドの中央には来ない」ということです。 これは手動で変更したCWトーンに合わせる必要があります。 ここでは650Hzを選択したため、右側のHI/SHIFTツマミで650Hzに 設定を合わせてください。この設定を忘れると、Bw=200Hz以下の狭帯域 設定にしたときに信号がパスバンド外になって見失ったり、送受がズレることが あります。TS-2000SでCW運用する時は「トーン周波数=HI/SHIFTの周波数」 になるようにツマミを調整してから運用してください。
■50MHzでCW/SSBで運用したい
50MHzはSSBとCWのモードが同じ周波数に混在しているバンドです。 例えばJCC/JCGサービスのとき、SSBで一通りQSOが終わると同じ 周波数でCWでCQを出すことがあります。またDX-QSOにおいても、 SSBで交信中にコンディションが変わって信号が弱くなると、CWに 切り替えることは多々あります。
その時に、たとえば50,110.0kHzでUSBで送信中にCWにモードを 周波数を変えずに送信すると、50,110.0kHzピッタリのキャリアがでて しまい、USBモードで受信している局にとっては、CWの信号が BFOのゼロビートになり「ツートツート」というトーンは聞こえません。 これは不都合です。 TS-2000SではSSB運用中にキーのパドルをたたけば、すぐにCWモード に移行し、かつ適切なトーン分だけVFO周波数が修正されるように なりました。この設定は次のコマンドです。
メニューNo. 
機 能
初期設定
変更値
36
SSBモードでのCW自動送信
OFF
ON
37
SSBからCWへ変更時の周波数補正
OFF
ON
これによって、SSB運用中にCWへのQSYがアナウンスされたときは パドルをたたくだけで、CWモードに自動的に変わり、トーン周波数分だけ 周波数がシフトします。SSBに戻るときは、USBのモードキーを押します。6mファン待望の機能です。 (写真1、2)参照
写真1 50110kHzをUSBモードで受信しています 写真2 CWのパドルをたたくと50110.65kHzにシフトしてCWモードに切り替わります
■送受信の音づくりを楽しみたい
使用環境によってはTS-2000Sのノーマルの音ですと微弱な信号 を受信するときに物足りなく思うことがあるかもしれません。 あるいはSSBで交信するときに特色ある音を出したいと 思うことがあるかもしれません。そんなときは次のコマンドを お試しください。まずSSBモードで左下の2つのツマミで受信帯域を選びます。
モード
ローカット周波数(Hz)
ハイカット周波数(Hz)
SSB/FM
200Hz
2800Hz
AM
200Hz 
3000Hz
※6mAMで交信するときのワンポイント このとき6mのAMでQSOするときは、FUNC+AMを押して AMのナローモードに設定してください。ワイドAMモードですと 相手局へのゼロインが難しく感じるかもしれません。周波数を合わせて 交信を開始したら、ワイドAMモードへ移行して、ハイカット周波数を 5000Hzまで伸ばしても良いでしょう。続いてイコライザーの設定です。
メニューNo.
機 能
初期設定
変更値
20
DSP受信イコライザーの切替
OFF
CONVEN
21
DSP送信イコライザーの切替
OFF
FPASS
20の受信メニューは色々試したのですがCW/SSBで、まんべんなくQSOするときは コンベンショナルモード(中〜高音域が6dBアップ)が最適でした。 FPモードにすると、受信音は、ややキンキンした音になります。 (写真3) 21の送信メニューでFPを選ぶと、ちょっと位相が回っているような音 になるかもしれませんが、周囲が騒がしい状態(リニアアンプのファンや エアコンが近い場合)にはFBです。ラグチューのときは B BOOST で スタンドマイクを使えば低音の魅力を堪能することができます。 (写真4)
写真3 RXのイコライザーはCモードを選んでみました 写真4 TXのイコライザーはFPモードを選んでみました
■DXに挑戦したい
TS-2000Sはマルチパーパス機という位置づけから、受信の総合ゲインは 比較的高く設定されているように思います。従来機でもTS-690Sは、その 傾向がありました。また中波放送局に近接したところで過大入力にならない ように中波放送帯の信号にATTが入っています。 そこでリグの蓋を開けて次の設定変更を試してみました。 このジャンパー変更はメーカーサポートはしておりませんので、自己責任 で実施してください。
ポイントは底面側の受信BPFユニットの近くです。 中波放送の感度UPは、CN3にささっている2穴ジャンパーをCN4に 差し替えます。(写真5) ATTを12dBから20dBに変更するときは、CN2のジャンパーを引き抜きます。 抜いたジャンパーソケットは袋を用意して取扱説明書と共に保管して おいてください。ATT変更ポイントのCN2は配線の裏に隠れていますので 丁寧に探してみてください。(画像6)
写真5 中波帯の感度UPは受信BPF基板のジャンパーをCN4をCN3に差し替えます 写真6 ATTの減衰量を12dBから20dBに変えるときはCN2を抜きます
ATTを20dB設定にした後、夕刻の7MHzの微弱なCW信号をワッチしてみました。 アンテナは25mHのロータリーダイポールです。7004kHzに弱いDXが 出ておりパイルアップになっています。まずはノーマル状態では、 ・・・T??K?・・・という感じで「ホニャララ」状態で相手局の コールサインが良く分かりません。信号はSメーターを振らないくらいで 弱いです。このとき7100kHzから上にはメーターで+60dBを振り切る放送局 があります。 そこで20dBのATTをONしたところ、信号をカバーしていた霧が消えた 感じで、トーンが浮かび上がってきました。

DSPのIFで200Hzに帯域を 絞ってHI/SHIFTはサイドトーンと同じ650Hzに合わせます。さらに NR2のSPACを14mSで動作させると、T20CKのコールサインが浮かび 上がって来ました。ATTをかけたときはAFボリウムをやや上げ気味に して受信するのがコツです。 もしタワーの上にHFアンテナがあり7MHz以下のCW運用を行うという 条件でしたら、このATT20dB対応をおすすめします。 ATTの変更が面倒だ、というときには、AGCを切ってしまい、RF-Gain を絞ってマニュアルゲインコントロールとして、Sメーターレベルで S5〜7までRFゲインを落とすと、強力な放送局の影響を軽減することが できます。
■TS-2000Sで移動運用を楽しみたい
写真7 50W(移動運用)に対応するときはチップ群のうち左下のチップを除去します
TS-2000Sって100W機だから移動運用は出来ないのかなぁ?とお悩みの 方、心配ありません。フロントパネルの裏に50W化ポイントがあり、 送信機系統図を添えてJARD認定で移動局免許を得られます。 ポイントは 「画像7」 の下のチップ列の一番左を除去です。 詳しくは取扱説明書をごらんください。(写真7)

なお、これらのコマンド設定はユーザー各位の使用環境や好みによって 異なってくると思いますので、参考例として、ごらんください。
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写真&レポート:JG1RVN 加藤 徹  (2001.01.05)

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