 |
HF/50/144/430/1200MHz帯オールモードマルチバンダー
|
|
KENWOOD TS-2000S
テストレポート その1
|
| BY Toru Kato,JG1RVN |
| |
 |
|
写真1 シャックにセットしたTS-2000S
(鏡餅はオプションです)
|
KENWOOD TS-2000S(1.2G OP)、TS-2000SXは、HF〜1200MHzのハムバンドが1台でカバーされ、
HF〜144MHzまで100W、430MHzでは50Wの高出力化すると共に、 IFレベルのDSPが採用され、TNCも内蔵されました。
(写真1)
おもな特徴
|
| 1.IFレベルのDSP機能搭載 |
| IF通過帯域もパネル面から可変できるので、いままでのようにCWやSSBのナロー
フィルタを追加する必要はありません。サブ受信部もAFレベルのDSP機能が 使えます。ノイズリダクションはAUTOのほかマニュアル可変可能。
さらに ノイズリダクションの種類も2種類から選べます。 TS-570SGに搭載されて 好評だった複数のビートを同時にキャンセルする機能がカバーされ、さらに
CW運用時にマニュアルでビートを除去する新機能などが搭載されています。 |
|
2.HFから1200MHzをカバー
|
 |
|
写真2 背面にはアンテナ端子のほかACC、RS-232C(D-Sub9pin)など
|
単なるマルチバンダーではなく、HF〜1200MHzを運用時に、144/430MHz をサブ受信部で同時受信できます。TNCを内蔵しパケットクラスターに
レポートされたDX局を表示する機能があります。 ただしパケットクラスター のデータはギブアンドテイクが望ましいと思われますので、受信機能に慣れたら
RS-232Cポートでパソコンをつなぎ、あなたの探したDXをレポートして皆さんと共有するよう心がけてください。
例えば、430MHzでUSBで送信し、144MHzでLSBで受信することが同時にできるため、衛星にアップリンクした信号の周波数をダウンリンク周波数を同時にワッチして微調整するという「ループテスト」が1台で
行えるのです。 ドップラーシフトを考慮した周波数微調整もノーマルと リバースモードの両方が衛星により選択できるので便利です。アンテナはHF〜6mが2つのM型端子をバンド毎にメモリできます。
144MHz はM型、430MHzはN型、そして1200MHzはピッグテールタイプのN型です。 ダイヤモンドX4000などの144/430/1200MHz3バンド共用アンテナを使用する
場合には、それぞれのバンドのアンテナを1本にまとめるトリプレクサーが 別途必要です。(写真2)
|
| 3.余裕ある出力 |
| 電源は13.8Vで20.5A。市販のほとんどのDC電源が利用できます。 1.8〜50MHzは100W。144〜430MHzは50W。Xモデルの
1200MHzは10W。144MHzは100Wの実力がありEME等に 利用するときは100Wへ変更することが可能です。 |
|
ハードウェアについて
|
| 充実したハードウェア |
TS-2000SのモービルブラケットはMB430です。TS-430→440→690→570
とマルチバンド高機能化は進んでいますが大きさは変わらないのです。 この筐体にHF〜6mのアンテナオートチューナー、1200MHzユニットが
内蔵されています。パネルはTS-440の色に近いシルバーが基調で明るい感じが します。
光沢のあるダイヤルと立体的造形のフロントパネルが印象的です。 スイッチ類は透過照明(Offも可能)になっており、夕暮れ時や、移動運用のときに
便利です。イメージよりもLCDディスプレイは明るい感じで視認性は優れて います。(輝度可変型です) 筐体はアルミダイキャストと多層基板で構成されており、1200MHzのユニットは
T字型に横に搭載されます。(写真3、4) |
 |
 |
|
写真3 底面部にはRX-BPF、RF-IF受信
基板などがあります
|
写真4 上面部には送信RF基板、LPF、
ATUなどがあります
|
|
ファイナル素子はHF〜50MHzが2SC5125プシュップル(100W)、144MHzは
2SC2694パラレル(50WですがEME対応で100W可能)、430MHzは 2SC3102シングル(50W)、1200MHzはM57752パワーモジュール(10W)です。
(写真5)
アンテナチューナーはTS-570SGでおなじみの高速動作するリレーチューンです。 HFのバンドが広いところ等はCW/SSBで整合状態がメモリされます。
動作の最初はリレーがパタパタと動いて整合しますが、メモリ後は、バンドに追従 して自動的に整合状態が呼び出されます。またメニューにより受信中もチューナー
を挿入できる設定です。(写真6) |
 |
 |
|
写真5 HF〜50MHzのファイナルは2SC5125プシュップル
|
写真6 ATUは固定コンデンサをリレー
切替する高速整合タイプ
|
|
 |
 |
|
写真7 TS-2000Sの高性能を支える
DSPユニット群
|
写真8 ファンは多羽式で静かに回り
放熱効果は抜群
|
|
 |
|
写真9 ファンにはプラスチックダクトがあり
スムーズに風が流れます
|
DSPユニットは前面パネル裏にあり、IFレベルおよびAFレベルで TS-2000の動作の心臓部となっております。(画像7) マルチバンド機では筐体にぎっしりと基板が入るため放熱が心配ですが、
TS-2000はコンピューターに実績のある多羽ファンが装着されており、 しかも透明なダクトがあり、特にファイナル部分は基板の裏表の両面から
風が流れるように配慮されています。
リグの下に手をかざしてみると十分な 風量が感じられます。100WのFSKモードで連続送信しても、やや暖かい程度。 430MHz帯は2SC3102をシングルで設計したため熱の発生が少なく、また
ダクトによりうまく風を通していますのでFMモードで50W連続送信しても 余裕の放熱特性があります。 ファン速度はLoとHiの2速が温度検知で
切替ります。静寂性も申し分なく良くできています。
(写真8)(写真9)
別売のRC-2000モービルコントローラーは、5mの延長コード(マイク、パネル、 スピーカー用)があり、外部スピーカーや7mのDCコードやブラケット類も
入っていますので、TS-2000本体をトランクの中に入れて最短距離でび、アンテナとコントローラーを 運転席にセットすればHF〜1200MHzをフルカバーするFBなモービルシャックができ上がります。1200MHzのケーブル減衰やHF〜6m
のATU動作を考えると本体をトランク内にセットできるのは好都合です。 |
|
機動性のあるマルチバンド運用
|
| (1)HF帯と430MHzFMの同時受信
|
| HF帯でCWのDXを追いかけながら、サブ受信部で430MHzのFMをワッチしていました。すると433.20MHzで8J2000が出ています。
8J2000の音量をやや絞りながら受信していると、ほどなくJA1AN原会長が 運用するというアナウンスが聞こえました。PTTモードをSUBに換えて、
原会長オペレートの8J2000をWKDすることができました。 |
| (2)50MHzと430MHzの同時受信 |
| 433MHzでCQを出した局と交信しながら50MHzをワッチ。するとなんと、 50MHzでバス音が聞こえて、ほぼ同時にVR2(香港)がCQを出すのが
聞こえました。430MHzでQSOを続けながら、50MHzのVR2をクイックメモリー に記憶させます。430MHzのQSOが終了後、すかさずCHつまみで50MHzの
VR2の出ている周波数をチェック。QRZ?やCQの出ている局を次々と探し出して 多くのVR2局と交信できました。 |
| (3)衛星通信の144/430MHzのSSB/CWの同時送受信に対応 |
TS-2000は144送信/430受信または144受信/430送信の同時送受信に
オールモードで対応しています。したがって衛星にアップリンクしながら ダウンリンク信号を受信する「ループテスト」が容易に行えます。 衛星通信周波数メモリは10chあります。1200MHzユニットが実装されている
場合には144/430/1200MHzの何れかで送信、送信周波数帯以外の何れかで受信 できます。
このほか、TS-570SGで課題になっていたSメーターの1ドット表示、FSK モードのモニター回路、CW送信スピードの1WPMステップの可変などは
TS-2000Sで解決されています。そのほかTS-870Sで好評だったIF-DSPが 採用されています。 IF-DSPの採用でCWやSSBの帯域設定が自由になったので、クリスタルフィルタ
の追加購入は必要ありません。さらに0.5ppmのTCXO(高安定度温度補償基準水晶 発振ユニット)も標準装備です。DSP-IFのHF機と考えても、あるいはHF〜430MHz
のマルチバンダーと考えても、
144/430MHzのサテライト通信対応トランシーバーと 考えても、TS-2000Sの¥288,000という価格は魅力的です。1200MHzについては
衛星通信やCW/SSBモードの必要性によって、オールインワンのTS-2000SX タイプにするか、あるいはTS-2000SとTM-833Vを同時に購入するかは、
ユーザーの好みによって選択が分かれるところでしょう。
オプションで欲しいものは「CQコンテスト」などをメモリ発声できる音声メモリ ユニットDRU-3AとスタンドマイクのMC-60でしょうか?CWのキーヤーや
メモリユニット(3cH分)は実装されています。 実戦的なコマンド設定例、ハードウエアーの設定変更例については引き続き
「テストレポート」(その2)で解説します。 |
| |
ケンウッドお客様相談室 (東京) TEL:03(3477)5335
ケンウッドお客様相談室 (大阪) TEL:06(6394)8085 |
| |
|
写真&レポート:JG1RVN 加藤 徹 (2001.01.04)
|
|
|
(c)
All Rights Reserved WWW.QTC-JAPAN.COM 2001
|
|
|