電波混入に悩める方への徹底解説・・・・すぐに役立つ!
 
 



 

 
 
 
| 電話機用対策フィルターシャックの整理から障害を受ける側と出す側コモンフィルターの周波数特性
 
     
 
コンテストやラグチューをやっている時に、電話のベルが鳴ると反射的にドキッとする方は、テレビやオーディオ、電話に自局の電波が混入して苦情をもらった経験があるからでしょう。 「テレビの画面が乱れたら電話ください」と愛想よく言ったら最後、電波を出すたびに電話が鳴ったことを思い出しました。20年も前のできごとですが、今考えるとテレビは混入電波に無防備でした。  

ハイパスフィルターやトラップを挿入する程度では、混入が軽減しても完璧な対策とはなりませんでした。 もちろん無線機側ではRFラインにローパスフィルターを挿入するなど考えられる技術を投入しましたが、電波混入を阻止することはできなかった思い出があります。今のようにフェライトコアや分割コアが手に入りません。ただ一つ今に通じるのは、ポータブルラジオ用のフェライトバーでしょうか。パソコンの普及に伴い、電磁障害を出さないために分割コアが大量に使われるようになり、ジャンクショップに出回りました。

これがアマチュア無線の回り込み対策や自らの不要輻射の防止に役立つところとなったのはご存知の通りです。 コモンモードフィルターの中身はフェライトコアに心線を巻き付けて高周波を阻止(熱に変える)する仕組みです。フェライトコアには10MHzを境にしてローバンド用とハイバンド用とありますが、コアを選びさえすれば、不要な電波混入は避けられるいい時代になりました。テレビはCATVなど共同視聴に移り、電波障害に強くなったのはご同慶の至りです。オーディオ装置も分割コアの多用であっさりと押さえ込むことができるようになりました。  

分割コアはジャンクショップで200円前後、プラスチックのケース抜きなら50円〜とにかく安い。30個、50個のまとめ買いをしてここぞと思う箇所にパッチン、パッチン!この安直な方法でも障害に立ち向かうことができます。もっとも高周波の通り道に精通していないと無駄な挿入が多くなるかもしれません。電波障害を押さえ込んだら、後で不要なコアは外しておきます。


 
電話機に与える電波障害は、無線機側と電話機側のそれぞれに対策を施します。無線機側では電波が電源ラインに漏れないようにキャンセル巻きしたACラインフィルターを挿入し、高周波の通り道ではコモンモードフィルターにより、外被に流れる不要輻射の根絶に気を配りました。  電話機側では信号ラインがアンテナとなって障害が出るのを防ぐため、各所に対策部品を配置すると同時に、高周波ケーブルなどから電話機器と配線を遠ざけるように工夫しました。

漏らさない作戦


最後まで残った「電話障害」は、しばらくの間対策の甲斐なくしぶとく残りましたが、ついに押さえ込むことに成功しました。 常に使う無線機と同軸ケーブル、アンテナは正常に動作していることが基礎的条件です。SWRは低くアンテナにきっちり電波を送り込んでいる状態がスタートの条件です。無線機のACラインから高周波を漏らさない。無線機とリニアアンプの間にラインフィルターを挿入して高周波を漏らさない。リニアアンプとSWRメーターの間にも、SWRメーターから同軸ケーブルの間にラインフィルターを挿入して高周波を漏らさない作戦が功を奏しました。

キャンベラの荒さん(VK1ARA)のシャックを訪ねたときに、パソコンI とエアコンIに取り組んだ経緯があります。 送信電波がマウスに混入して画面が乱れるのを見かねて、分割コアをパソコンにつながるケーブル類に挟みました。オーナーの視線を背中に感じながら、高価そうなパソコンやリニアアンプをいじり回しました。多少改善したものの完封にはほど遠いものがありました。その後、荒さんがお書きになっていますが、リニアアンプは室内に引き込んだすぐのところに置き換え、パソコンはリニアアンプから遠い端に移して障害はなくなったと語っておられます。電波の通り道を考え、電波の混入を押さえ込む情熱が高周波の封じ込めに成功したのだと思います。  

パソコンや他の(同じシャック内の)無線機に回り込む電波障害、電話/FAXマシンなどに混入する電波障害を、封じ込めるのはどれも同じと考えて差し支えありません。快適なオペレートを実現するためには、1, 2ヶ月は通常の無線運用をあきらめて対策に取り組む心構えが必要です。ACラインフィルターに使う大型のフェライトコアの価格も安くありません。多少の出費を覚悟して取り組むと良い結果が得られるでしょう。

ここでは各種ラインフィルターの製作と高周波の漏れを実測しフェライトコアの遮断周波数特性も調べました。難しい数式に頼らない反面、基礎技術に裏打ちされた障害克服のハウツーを図解でお目にかけます。

 
     
 

電話機用の電波障害対策フィルタは小型のトロイダルコアに細いテフロン線をキャンセル巻きで製作します。秋葉原では対策用のコアが市販されていますし、NTTの窓口でも少し大型の部品ですが実費で頒布を受けることもできます。  電話のラインと受話器のカールコードの中間に挿入して使いますが、ラインと受話器ではモジュラージャックの大きさが異なりますから、サイズ変換アダプタも同時に入手しておきます。
 
QSTの広告でK‐Com社の電話障害対策品を見つけて作った部品。
 
受話器の小型モジュラージャックを取付け、カールコードの間に挿入する。内部の配線は送話用/受話用で4芯。 大きなサイズのモジュラージャックに障害対策用コアを送話側に1個、受話側に3個挿入した。右のプラスチックは小型ジャック用のアダプター。
 
受話器側に取り付けるにはこのタイプは向かない。本体とカールコードの根元に取り付けて使う。

モジュラージャックの大きさの比較。左が電話ライン用、右が受話器用。

 
モジュラージャックを自作するときはジャックの向きを反対に取り付けないと信号線がクロスしてしまう。

大小のジャックを組み合わせると小型タイプと写真のような普通タイプの両方に使用できるアダプタが完成した。

 
障害対策用のコアは昨年のハムフェアで購入したジャンクなので正確な品番は不明ですが,秋葉原の斉藤電気商会(電話03‐3251‐5803)FT23‐43またはFT23‐61など同等の部品は購入できる。価格は1個100円です。
 
ここで紹介する<障害対策の実験例>は独立したシャックを持ち、TVラインは2例とも有線テレビを使用して、TVIの対策はほとんど必要がない恵まれた環境にあります。  Eメールの交換やホームページの閲覧に便利な電話ラインにISDNのデジタル回線を使用しています。テレビジョン受像機(以下、テレビ)への障害については、そのため実験することができませんが、高周波部分の障害対策はテレビ、電話にとらわれずに電波を出す趣味を持つ者として、いつでも気をつけておきたい技術です。  まずは障害を出す側の対策として、各種ケーブルの整理、コモンモードフィルターの挿入、アースラインの適正な取り回しなどについて考えてみました。
 

電話の障害対策は、最初にシャックの整理から始めます。障害排除に優れたフィルターを要所に挿入しても電話線、電源ライン、同軸ケーブルが絡まって信号が結合している状態では十分に機能が発揮できません。高周波ケーブルは基本通り直線的に最短距離で配線します。理想的な配置を実現するために園芸用品の格子(トリノス)を購入して壁面にRadioWorks社のラインアイソレータ(コモンモードフィルター)を固定。立体的に各配線と離しました。こうすることで重量のある同軸ケーブルをできる限り机上のトランシーバやリニアアンプの近くに固定することができました。もちろんトリノスは樹脂製で金属製の部品は極力使わないことにします。  

実際の作業は土曜日、日曜日に月曜日が休日の3連休に金曜日を有給休暇で加えて4日間を用意して取りかかり、初日はシャックを解体することから始めました。HF帯トランシーバー2台、144/430MHz帯オールモード機とリニアアンプ、430/1200MHz帯FM機、ローテータのコントローラー、SSTVアダプタ、RTTYコントローラにパドル、コンピューターへの配線、DC電源すべてを一時部屋から出します。オペレーションデスクはコンピューター用の大きな机を使っていて、さらに奥行きを稼ぐために組立式のワゴンを机の後ろに置いています。それらをすべて部屋から外へ出しました。機器の搬出とケーブルの切断、取り替えの工事等で丸1日が費やされました。  
 
いろいろな実験や配置替えで収集の付かなくなったケーブル類。これではどんな対策部品も効果が出ない。 配線を固定してシャックの大掃除が完了。電話線,電源ライン,同軸ケーブルは平行しないように注意。
 
200Vのコンセントには内部にトロイダルコアに巻いたコモンモードフィルタを取付け、障害対策に万全の構え。 コモンモードフィルターはこのように金具で荷重を支えながらマジックテープで固定するとっきり。
 
2日目はコモンモードフィルターやAC200Vラインの配線をトリノスに取り付けていきます。写真には写っていませんが、200Vラインにはオーストラリアで購入した240V仕様の配電盤(大型のテーブルタップ)を取り付け、2台のDC電源と3台のコンピューターを200Vで動かしてします。  日本では200Vのテーブルタップは販売されていませんが、シンガポールや中国、オーストラリアのように200V以上の家庭内配線が一般的な国では、日常的にテーブルタップによる配線が行われています。秋葉原ではオーストラリア仕様のプラグが販売されていますから、旅行のついでにスイッチ付きテーブルタップを買い求めてはいかがでしょうか。  

200V使用による利点は100Vで駆動する時に比べて電圧変動が少なく、たとえ配線に高周波が重畳されても他の機械に与える影響は理論上4分の1になります。シャックにはエアコン用の200Vの配線を引いていますから、これを流用しています。家の建て替えや新築の時には、200V用の独立した配線を用意しておくと、将来の1kWの運用にも対応することができます。  

ISDN回線の電話ラインは、シャック内のTA(ターミナルアダプタ)がDSUと一緒になっているNECのAterm55を使用していますので、RS‐232C回線は直接メインのコンピューターに、電話とファックスはそれぞれアナログポートを2回路使用して宅内配線に戻しています。最初は見栄え良くTAをトランシーバーの隣に置いて運用してみましたが、即日電話障害が発生して引き込み口の近くの床の上に移しました。このような独立したTAは、電話回線により障害を受けているのか、電話機に直接電波が回り込んでいるのかが実験することが容易です。  また、TAがHF帯にノイズを出すことがあると、以前パソコン通信のフォーラムで話題になっていましたから、ISDN回線にも障害対策コアを挿入しておきます。
 
de JF1GUQ/KA8J
 
 
QTC-JAPAN.COM 2011.01.25
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