by Hiromichi Fukuda JA1IFB/KA1Z

 
■ HAM RADIO 2009の風景  ■ リニア・アンプ用部品  ■ AT5K PLUS 5kW アンテナ・カップラー
 
     
 

HAM RADIO 2009 

2009年 6月26日から28日までの3日間、スイス、フランス国境近くの南ドイツ・ボーデン湖畔のフリードリスハーフェンでDARC主催「第34回 HAM< RADIO 」が開かれました。DARCの第60回総会同時開催と相まって、昨年を上回るる30ケ国から参加者17,400人が集い、大盛況であった。新規参入の日本企業LUSOの健闘を特記事項として大会本部は早々に関係者へ結果報告を行い、謝辞を述べています。

筆者は足掛け1年の苦しい準備を通じて、デイトンからドイツ・フリードリスハーフェン訪問への夢をかなえました。DARC役員さん達の丁重なご支援により、金魚すくいの網「ポイ」が破れずに楽しい数時間をフリードリスハーフェンのハムラジオ展示会で過ごすことができ幸いです。今回はフリードリスハーフェンにまつわるお話の紹介です。

日本人アマチュア無線家の桧舞台

カタログの表紙を飾ったJA2DJH、JA2LZVのアマチュア無線家お二方

第34回を迎える今年のハムラジオ展示会で参加者へ領布されたカタログの表紙に日本人アマチュア無縁家2名が紹介されています。会場でカタログを見て嬉しくなると同時に、これは「日本人初の快挙」と感激ひとしおでした。

「日本ハムフェア」、「デイトン・ハムベンション」と「ドイツHAM RADIO」の世界三大ハムショーはそれぞれ異なる表情をしています。

しかしながら、「HAM RADIO」は設営環境、交通整理、会場の整理整頓、大会関係者の応対どれも見事と賞賛できる、素晴らしい展示会でした。 「HAM RADIO」見学を前に夢を膨らませませたのはいうまでもありません。

 
     
 
HAM RADIOの主催者

次のドイツ・アマチュア・ラジオ・クラブと展示場経営者のフリードリスハーフェン株式会社が「HAM RADIO 2009」を主催しました。
 
 
Deutsche Amateur-Radio-Club e.V.(DARC)  (ドイツ・アマチュア・ラジオ・クラブ)
Lindenallee 4, 34225 Baunatal Germany
Telefone 0561 94988-0 Felefax 0561 94988-50  

 
 
Messe Friedrichshafen GmbH      (フリードリスハーフェン・メッセ株式会社)
Neue Messe 1, 88046 Friedrichshafen
Telefone +497541 708-307 Telefax +49 7541 708-331
 
■ HAM RADIOの開催場所
ドイツ南部地方の部分地図 
HAM RADIO開催地のフリードリスハーフェンはどこに位置するのか?実は、フランスとスイスの国境近くの南部ドイツ地方にあります。筆者はこの地方を何度も訪れているにもかかわらず、つい最近まで正確な場所を知りませんでした。

左の南部ドイツ地図の中央下で水色に塗られた、 また、SWITZERLAND文字の上、少し水色の濃いところがボーデン湖であり、その湖畔にフリードリスハーフェンがあります。 今年は前日の雨がたたり、少し肌寒い陽気でしたが、飛行船博物館の町で、飛行船と遊覧船でボーデン湖の遊覧が楽しめる美しい観光地との印象を持ちました。

フリードリスハーフェン近郊交通地図














右の地図はフリードリスハーフェンの近郊の交通地図です。メッセ開催地はドイツ、スイスの国際都市から訪問可能な、非常に地の利を得た場所にあります。筆者は初期計画を変更して、 ジュッセルドルフから、シテイ・ナイト・ラインなる夜行列車に乗り、2分の時間猶予しかないウルムで、駆け足で、各駅停車へ乗換え、7時間かけて遂にフリードリスハーフェンへ到着。
 
アムステルダム発ミュンヘン行シテイ・ナイト・ライン夜行列車の客車案内板 未明に降り立った、信じられないような風情があるフリードリスハーフェン空港駅
空港駅の名誉のためカメラを引いて見たが、空港ビルと建設中のホテルしかありません 空港駅とボーデン湖の中間にある展示場上部水色の部分が遠方の山とボーデン湖
朝7時過ぎ空港ビル内は軽食カウンターの開店準備をしている女性一人で、ひっそり静まりかえっています。洗面のためにトイレへ、紳士の絵柄の扉を押しても開きません、ドイツ語で「ヘーレン」、ご婦人の絵柄の扉も鍵が掛かっていて、ドイツ語で「ダーメン」、朝早くから「どうすりゃいいのさ思案橋」。その上、トイレの鍵を開けてくれた件の女性から、ARRL/VECのワッペンを見て「建設業?」と問われる始末で、「そうだ、これからメッセの見回りに行く」とついつい話を合わせてしまいました。
 
■ メッセ展示場
一見ゴルフ・コースを連想させる芝生の中に美しい池をあしらい、メッセは下記のようなカマボコ型の展示場10棟から構成されています。今年は、各連盟のブースと新製品の展示場にホールA1、A2を、フリーマーケットにB1,B2およびB3をあてていました。広い廊下、入場口に加え、特にAホールは中心的会場としてゆったりとした佇まいを見せ、展示、見本市専門の設備ですから、全ての催物は屋内で進められ、雨天の心配もなく、疲れない設営です。
 
メイン・Aホールの池越しの全景 HAM RADIOホール配置図
 
プレス・センターがある事務所ビル HAM RADIO 表カンバン
世界三大ハムフェアの中でも、HAM RADIOは報道関係者向けに、プレス・センターが事務所ビル2階に特設されています。報道員関係者は所属企業の身分証明と最新の報道実績の写しを提出することが義務つけられていますが、個人用ロッカー、事務机および3台のデスクトップ・パソコン、電話、コピー機、さらに軽食と清涼飲料が無料で戴けるレストラン・ビストロもあり、至れり尽くせりの気配りでした。
 
HAM RADIO開催の裏方さん達
写真のような運営企業の役員さんとDARCの事務局職員、役員の総勢15人がHAM RADIO 2009を盛り上げています。特に写真左のYLは約10億円を管理する会計さん、方や右側のYLはDARCのナンバー2で、QSL転送業務について約1時間話を伺いましたが、質問の要点を外さず的確に回答してくれた才媛です。
 
メッセ展示場の運営企業の役員諸侯 DARC事務局の裏方局職員さん達
 
左からDL7RBI,筆者とDJ3WE
今回、HAM RADIO 2009 の会場で素晴らしいことがありました。それは筆者「夢よフリードリスハーフェン」への端緒を開いてくれた、DJ3WE、ジョージさんとDL7RBI、デニスさんとの出会でした。 写真撮影後、抱きかかえるようにされて、 IARU第一地域の連盟要人へ表敬訪問をしました。
 
HAM RADIO 2009の入場料
かかる商業的なHAM RADIOの入場料は?調べて見ました、次の表になります。 参加者達の懐具合と将来のアマチュア無線家を育成するDARCの思想を盛り込んだ傾斜料金が設定されています。 
 
番号
入場券の種類
入場料(ユーロ)
備  考
1
 当日入場券
8.00
-
2
 3日通し入場券
15.00
-
3
 当日割引入場券
6.50
 学生、シニア、身障者
4
 3日通し割引入場券
13.00
 学生、シニア、身障者
5
 12−18歳
4.00
 ティンーネジャー
6
 幼児−12歳
無料
 幼稚園児、小学生
7
 団体入場券
6.50
 20名以上の団体で1名当り
 
日本からの旅費、交通費
最近、HAM RADIOの主催者は日本のアマチュア無線界とアマチュア無線家に興味を持ち始めました。遠く離れた日本から参加したアマチュア無線家には特に親切な対応が行われます。参加を計画中の方々へ旅費交通費の概略を紹介しましょう。
 
航空券 東京成田−フリードリスハーフェン往復
170,000円
宿泊費 朝食付き、1泊 86ユーロ、 5泊
64,000円
食事代 ビール込み
30,000円
交通費 タクシー代
5,000円
雑費 入場料、資料、ミネラルウオーター 
6,000円
合計 単独渡航として
275,000円
 
注1: 宿泊ホテルの予約は、www.deutschebahn.com から検索すると、駅近郊の安価且つ利便性の高いホテルを紹介してくれます。
注2: 仲良し二人旅なら一泊70ユーロ程度のホテルが利用でき、単価が半分になり、 昼食は近くのスーパーで調達すればさらに経費削減が可能です。
注3: 会場へは無料シャトル・バスが利用できますが、行動時間に制約が生じます。
 
フリードリスハーフェン近郊は英語がほとんどど通用しませんし、大枚の旅費、交通費がかかります。それでも一度は見学する価値があると思います。我々アマチュア無線家はDXと交信することがお得意でしょう。ここは度胸一番HAM RADIOへ挑戦されてみてはいかがであろうか。
 
HAM RADIO見学の効用
家族から「どうして毎年お金を使ってデイトンへ行くのですか?」胸にぐさっと突き刺さる質問がでます。土曜、日曜日に「5925 Thank you」とコンテスト・ナンバーを声高に送信しているだろう、相手先のアメリカの様子を見に行くのさと、下手な答をしています。一人で見知らぬ土地を旅するのはうきうきして楽しく、見知らぬアマチュア無線家、新しい技術との出会いもあります。この楽しみをアマチュア無線に縁遠い人達には説明のしようがありません。しかし、魅力があります。詰問が頭の上を通り越して行くのを筆者は黙ってしのいでおります。
 
じゃあ、HAM RADIO 2009 ではいかなる催物があったのかな? DARCは 国内外から著名人を招聘して62件の講演を舞台に載せました。講演内容は、アマチュア無線60年の歴史、SDR無線機の自作、D-STARの情報交換、周波数管理報、DX交信のすすめ、QSLカード、コンテスト参加、SSTV、SWLミーティング、またISS−スクールプロジェクト等多彩でした。時間が許す限り、講演を聴くことにより、ヨーロッパのアマチュア無線先駆者の開発方向が理解できるかも知れません。
 
特に青少年の育成のために「HAM CAMP 2009」、「HAM Rallye」 が企画され、記念局の運用の見学、新しい製品の展示ブース訪問が盛り込まれ、いかに 青少年がアマチュア無線に満遍なく接する機会を創出するかにDARCと運用企業の工夫が覗えました。
 
HAM RADIO講演会で入手した3つ折れの講演要旨
2バンド同居アンテナの特性 学校でのアマチュア無線 アマチュア無線の多様性とわくわくする期待と興奮
 
「HAM RALLYE」のカード
表紙とスタンプ欄 チェックポイントの位置とその名称
DARCが、IARU第一地域が一致団結して、将来を担う青少年の育成に積極的に取り組んでいる姿勢を肌身で感じるだけでも、HAM RADIO参加は有意義です。

HAM RADIO 2009 の風景
これより、順不同の写真を通じて「HAM RADIO」の風景をお伝えしましょう。
 
人気のフリーマーケットもこの盛況 これからディスプレー方式が主流に
最高責任者がアマチュアア無線博物館のブースを訪問し、楽しそうに歓談しています。 AFMはDARCの協力団体で700名のアマチュア無線家を擁し、無線機器の収集、修復および一般市民へ展示、陳列を行っています。
キッズ・プロジェクト キッズ・プロジェクト ARDF
 
直感ですが、子供連れの参加者が多く見られたような印象を受けています。
 
青少年の記念局運用風景  キッズの電子工作風景、誠に真剣そのもの
 
最大の見せ場、DLのアマチュア無線家が空にゆったり浮かぶ、ツエッペリン飛行船でエアロニューチカル・モービル*運用を行い、30分の飛行時間中に94交信を精力的にこなしました。この交信の様子は記念局で逐次傍受され、会場を歩く参加者のトランシーバーにも流れ、多くの若者がうっとりと聴きほれたという。頭の上から降ってくる電波に聴き入った若者の驚きと興奮は想像に難くありません。 *Aeronautical Mobile:飛行モービル
 
全ての機能を組み込んだ大型マイク  
誰が売り手か良く判らない SWRメーターにも見えますが?
 
   

HAM RADIO 展示分野と参加者の反応
「HAM RADIO 事務局」から入手した「HAM RADIO 2008」の出店企業の展示製品分野および参加者アンケート結果を紹介しましょう。
 
出店企業の展示即売会の製品分野
番号
出店展示分野
比率 (%)
1
 アンテナおよび周辺部品
26.00
2
 SW/VHF/UHF/SHF用通信機器
12.00
3
 SW/VHF/UHF/SHF用周辺機器
8.00
4
 測定器と周辺機器
2.00
5
 一般電子、電気部品
6.00
6
 アマチュア無線連盟、クラブ活動展示
42.00
7
 電子、電気関係文献とソフトウエア
4.00
 
HAM RADIO 2008参加者の反応アンケート結果
質 問
質 問 内 容
回答項目
比率(%)
1
 あなたはどこにお住まいですか  ドイツ国内
70.37
 外国
29.63
2
 あなたはすでに無線機器を購入しましたか  はい
74.17
 いいえ
25.83
3
 あなたは今後無線機を購入予定ですか  はい
55.72
 いいえ
21.03
 多分
23.25
4
 あなたのHAM RADIO評価は  大変良い
39.92
 良い
49.43
 満足
8.75
 不満足
2.90
 
分析表から、ドイツのHAM RADIOにおける展示は、アンテナと周辺機器、無線通信機器、日常の活動に関する面では各連盟のニュース提供に、大きく焦点が絞られていることが判ります。そうして、本誌で何度か紹介しましたように、東京秋葉原、大阪日本橋と京都寺町の電気街を持たない海外のアマチュア無線家達はHAM RADIOを格好のショッピング会場として、75パーセントの方々が何かを買い求め、90パーセントの参加者が展示会に満足な手応を得ています。
 
あとがき
2008年 8月、フリードリスハーフェンへ行こうと一念発起、集中してドイツ語の勉強をしました。話すまでには至っておりませんが、DARCの役員さん達は筆者のドイツ・アマチュア無線事情を日本へ紹介している努力を了としており、誠に居心地の良いQTC-Japan.com レポーターとしての取材旅行でした。
 
懸案の金魚すくいの網「ポイ」は、DARCの役員さんの横糸挿入と筆者の経験を織り込み、ドイツの水にも耐え、無事にヨーロッパのアマチュア無線家達に通用したことを報告しておきましょう。ご多分に漏れず、ドイツでも新型インフルエンザが災いして、出発3日前に旅程を大幅変更しましたが、最終日にフランクフルト中央駅から空港へ向う電車に乗り間違え、引き返すという一幕があったものも、計画通り旅行を終えました。
 
日常業務に忙しく、海外のハムベンション見学へ出向く時間が取れない読者のみなさんが多いのでしょう。しかし、一度は冒険して海外の催物を電車、バス、自分の足で歩いて現地の人々と同じ目線で見学することをお勧めします。きっと将来の糧になると考えます。 風のように駆け抜けた数時間の取材旅行を通じて、見聞きしたニュースが読者の皆さんのご参考になるよう念願しながら。 (おわり)  
 
 
de JA1IFB/KA1Z
 
 
 
QTC-JAPAN.COM 2009.07.09

(c) All Rights Reserved WWW.QTC-JAPAN.COM 2001-2009