by Masao Matsumoto (1938-2003)、JA1AYC Since 1955  
 
     
   

低い周波数帯は夜間の、それも冬場の伝播が良いと言われています。事実11月もすぎると夜間になると7MHzの信号さえフェージングを伴ったり、周囲のノイズや不可解な放送電波で妨害を受けたり、ローカルスキップなども手伝って、本当のDX通信以外は良好な通信環境が望めません。 でもDXをやるとするにはそれなりのアンテナシステムがありませんと、これも高望みです。正にDXハンターにとっては絶好のチャンス到来と言う訳ですが、悲しいかな短縮ダイポールのオーナーは指をくわえるのみです。

それに引き換え3.5MHz帯まで下りますと、今度は昼間の静けさがまるで嘘のように全国各地からの信号がモービル局のそれを含め面白いように入感してきます。短縮アンテナでも、そこそこに飛ぶようです。このバンド特徴と見ればどちらかと言うとラグチュウ派が多く、安定したコンディションをフルに活用して毎晩のように井戸端会議(失礼!)がくりひろげられます。  

7MHz帯では通称メンコ集め、アワードハンティングに熱中する方々が多いせいでしょうか、59/59のレポート交換を筆頭に、ショートQSOがその主流を占めています。中には59/59とやっているのは邪道だと眉をひそめる方もおりますが、59/59であっても交信は交信で、全国的に開けるバンドの特徴を生かし、かつ狭いバンドを有効に利用すると言う生活の知恵とも言えるでしょう。

BQ9P プラタス島DXペディション
(2001年3月6日〜15日)
それだけに7MHz帯での運用はオペレーションテクニックのマスターにも役立っていることもあるのです。混信、かぶりは日常茶飯事です。いちいちそれに目くじらをたてていては何もできません。電波法をきっちり守るとしたら、それこそ一日中かかっても電波の発射ができそうにありません。どうしても混信のない、ゆっくりとしたQSOを楽しみたいと言うのであれば18MHzなり21MHzなり、局数も比較的少なく、バンド幅もあるバンドにお出になることでしょうか。

もちろんV/UHF帯についても同様のことが言えます。ハイバンドではいつもコンディションの良し悪しがついてまわりますから、全国平均に電波を送受すると言うのには不向きかもしれませんが、一度コンディションがオープンすれば、それこそ居ながらにしていわゆるアームチェアQSO(安楽椅子に座ってのコンタクト)を楽しむことができるのです。 当然ローカルラグチュウであればむしろハイバンドの方が有利かもしれません。  

ラグチュウ派の多いバンドの特徴としては、あまりQSLカード云々にはこだわらないと言うオペレータを多く見かけます。これは新しい市郡、町村だと思って声をかけても結局はQSOができたと言う満足感だけで終わることも少なくありません。久々にカムバックした3.5MHz帯ですが、どうもそのあたりの感覚がまだつかめていないのです。バンドごとに新しいポイントを求めている方ははたしてどこにいるのでしょう?2000年も青い鳥を求めての旅が続きます。
 
     
 
     
   

無線が実用化されて1世紀少々、20世紀はまさしくその進化の歴史そのものであったと言えるでしょう。多くの諸先輩達がずんぐりとした真空管に、これも大ぶりのコイルを組み合わせて無線通信に挑んだのがもう何世紀も前のようにすら思える今日この頃ですが、実はそれほどのことでもありません。  

高一中二と言いますと、「実は家には高校一年のぼうずと中学二年の娘がいまして、これから受験期を迎えて大変なんですよ」と言うのが昨今の会話かもしれませんが、筆者の開局当初にもこの高一中二が頻繁にお空を行き交っていたものです。言うまでもなく高一とは高周波一段、そして中二とは中間周波二段増幅を意味したものでした。自作ともなるとその当時は聞きかじりの真似事が多かったのですが、受信機にしてもようやくスーパーヘテロダインと言うものが実用化された時代で、世の中にはラジオ放送受信用としていうところの5球スーパーが花盛りでした。

一方、通信用としては感度を高めるために、受信機の頭に高周波増幅を加える、選択度を高めるためには中間周波段で中間周波トランスを何本か挿入する、そしてそのロスを補うために増幅回路を付け加えるといった手段がとられたものです。ろくな測定器もなしにただこの回路の複雑さを競ったような気もします。つまり本当に選択度を高めたり、増幅をすることなしにただただノイズファクタを加えただけだったのかもしれません。

事実当時はファーストQSOと言えばお互いのリグ、アンテナの紹介は不可欠でした。例えば「当局の送信機(トランシーバーはまだなかった)のファイナルは807(もしくはマルナナと呼んだ代表的送信管)で変調はハイシング変調(もちろんAM)です。そして受信機は12球の高一中二です。」と言う具合でした。

シンガポールの植物園で筆者(故・松本正雄氏)
注目すべきはこの球数です。なにせ5球スーパー(その構成は発振および周波数混合で1、中間周波増幅で1検波と低周波増幅で1、スピーカーを鳴らすための増幅に1、それに電源の整流のために1の合計5球)が全盛の時代ですから、なぜか球数が多いことが即高級感につながるといった錯覚と自己満足があったのです。

高一中二としても球数とすれば2球ほどの追加で済んだものを、やれ別の発振回路のためとか、独立した検波回路のためとか、電圧安定のための放電管とか、よりパワフルなオーディオ出力のためとか言って無理にも球数を増やしては喜んでいたのです。
 
     

 

[編注] モービルハム 2000年1月号に掲載された松本正雄氏の記事を再編集しました。
 
Discover Ham Life ex JA1AYC Memorial を併せてご覧ください。
 
 
 
 
 
 
QTC-JAPAN.COM 2010.12.17
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