回り込みが起こった場合の対策を考えてみました。 
by Takashi Hioki JF1GUQ/KA8J
 
   
  コモンモードの挿入
古いアマチュア無線入門書には、トランシーバーとアンテナの間にローパスフィルターを挿入したイラストが描かれてれていました。YAESUのFT‐1000MPは、工場出荷時に第3高調波の強さを測定したデータシートがついて来ますが、そのデータには−60dBをクリアした値が記載されていて、ローパスフィルターが無用になる感じです。  

もちろんテレビ放送の弱電界地域ではまだまだローパス、ハイパスフィルターの出番もあるようですが、都市部では同軸ケーブルの外皮を伝わって流れる「コモンモードノイズ」の対策が重要視されていますので、その使い方を紹介しましょう。  

ローパスフィルタで除去できるのはカットオフ周波数以上の高い周波数ですが、現在のトランシーバーでは十分に高調波が抑圧されていますから、テレビ放送の受信障害緩和や回り込みにローパスフィルターの働きはあまり期待できません。  

一方、コモンモードノイズはアンテナの設置条件やケーブルの取り回しなど、さまざまなセッティング方法により多少の障害が残ることもありますから、ユーザーが個別に対応することになります。  

▲ラインフィルター挿入の一例(1)

実際の運用ではコモンモードノイズはマイク回路や電話機への回り込みについて万全を期します。  一例として、トロイダルコアに同軸ケーブルを巻きつけた自作のコモンモードノイズ・フィルターと米国製RadioWorks社のラインアイソレータ4K‐L1(国内価格6,000円)をトランシーバーとアンテナの間に挿入して解消したケースもあります。(同社の製品はエイチアンドエム社(電話:045‐750‐4380)で扱っています)。  

さて、イラストで示したMNF‐5Kはテフロン同軸ケーブルを使用した5kW耐圧(PEP)の高性能コモンモードノイズ・フィルターです。ご覧のようにトロイダルコアが2個並べて、その中をテフロン同軸ケーブルを巻いている構造です。キット(7,000円)としても供給されますから、手作りしても良いでしょう。完成品は9,000円です。  

SSTVやPSK31の運用では、トランシーバーとコンピューターとの接続のための配線が何本も行き来しますし、運用モードも連続したキャリアの送信ですから、回り込みを想定して対策を行います。  

MNF‐1はプラスチックケースの両端にRCA端子が取り付けられているライン用のコモンモードノイズ・フィルターとして市販されている便利な製品です。 

良く調整された八木アンテナと組み合わせる場合は、ほとんど回り込みなどのトラブルを起こすことはありませんが、まれに使用するアンテナの種類や設置場所、トランシーバーとコンピューターの置かれている環境によってはSSTV/PSK31などインターフェースを接続したときに電波の回り込みを起こすことがあります。

 
     
 
回りこみ対策

FT‐1000MPを例に、回り込みが起こった場合の対策を紹介しましょう。背面パネルのPTT、PATCH、AF OUTの各端子とインターフェースの間にMNF‐1を挿入して使用することで、手軽に回り込みが解消します(1個1,500円)。その他に市販の2分割のノイズフィルタを装着して効果がある場合がありますからお試しください。  

次に電源ラインの対策としてMAC‐30W電源用コモンモードノイズフィルタを電源ケーブルの途中に装着します(6,700円)。 このようにトランシーバーの接続ケーブルすべてにコモンモードノイズ・フィルターを装着することで、さまざまなトラブルを未然に回避できます。  

熱烈なFT‐1000MPのユーザーがいうには、「FT‐1000MPは電源を内蔵していて現在考えられる最高の性能を搭載した高級HFトランシーバーです。 FL/FR‐400ラインで初めて入門をした頃を思い出しながら、今日もFT‐1000MPで海外と交信しています。正しいセッティングとコモンモード対策で、安心してフル運用できるHFシステムが完成しました」と喜んでくれました。

▲ラインフィルター挿入の一例(2)
 
電話ラインへの対策
新しいトランシーバーを購入したら、送信機取替えの手続きが必要です。免許が届いたら、パイルアップに加わる前に電話障害の有無を確認しましょう。 シャックに電話がある方は試してみてください。 不幸にして電話ラインに電波が回り込んでいるようなら、基本的なチェックから始めましょう。

@ 障害のある電話機と無線機の距離を離してみる。
A カールコードを伸ばしたり縮めたりして障害が変化するかどうか確かめる。
B ISDN回線の場合はDSUやDSU付きTAを無線機や同軸ケーブルから離してみる。  

電話機への混入は、トランシーバーと電話機の距離を離してみます。フィルターはその作業の後で挿入しないと、強電界の場所ではいくら性能の良いフィルタでも効果を発揮しません。  

MT‐2は内部に小型のトロイダルコアにキャンセル巻きしたコイル3個を直列に接続した電話障害対策個コモンモードノイズフィルターです(2,200円)。 写真は2線式のタイプですが、ホームテレホン用の4線、6線の各タイプが用意されています。  

モジュラージャックで接続しますから、電話工事の資格は必要ありません。ここに紹介したコモンモードノイズフィルターは材料さえ揃えば手作りすることも可能です。  作るのが面倒という方には、アイテックセイワ(電話:0727‐99‐5062)に相談してください。
de JF1GUQ/KA8J
出典:モービルハム 2000年2月号 p.18〜21
 
ACフィルター:Tokin製のデュアル・トロイダルコア使用・極太20アンペアコード (ハムフェア2007)
Qubical Quadクラブのブースで見つけたACフィルター、頒布価格は3千円でした。
 


↓ACフィルターの特性
 
 
参考資料
コモンモードフィルターの巻線構造の2タイプ(TDK Techno Magazineより転載)
コモンモードフィルタは2つのチョークコイルが一つに合体した構造担っており、巻線に電流が流れるとコアに磁束が発生し、急激な電流変化に対しては電流を阻止するブレーキの役割を果たします(インダクタの自己誘導作用)
 
コモンモードフィルターの基本特性(TDK Techno Magazineより転載)
   
TDK Techno Magazine
 
 
QTC-JAPAN.COM 2010.12.13
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