プラタス島DXペディション参加記録 (その2)

By Masao Matsumoto,JA1AYC
 
■東沙島とは
砂地に横たわるTitanex(建設前)
筆者も過去のDXペディションの折にプラタスとはQSOしているのですが、東 シナ海にある島で台湾領とくらいしか理解していませんでした。と言いますのも、小中学校で使う国定世界地図とか、よくある地球儀程度ではプラタス島は見当たりません。

まさしく絶海の孤島です。北緯10度38分、東経114度37分と言うのがその中心の緯度経度ですが、元は珊瑚礁でできた島で、その昔は鳥の糞が石化した燐灰石をとるために日本の企業が進出していたとも聞きました。

いまのナウル島(C21)となんとなく似ています。今や台湾の統治で政治的にはいささか微妙なところでもありますが、軍隊こそ撤退していますけれど、いまもなお沿岸警備隊が駐屯して、もっぱら不法漁船の監視などにあたっています。東沙とならぶ西沙(スプラトリー)はその所有権をめぐって今もなお紛糾していると聞きますけれど、少なくもここははっきりした台湾領です。折からスプラトリー(9M0M)のDXペディションも行われているのが偶然とは言え面白い感じです。
■基地設営開始
なにしろトータル800kgと結構な量の荷物ですから、東沙島に到着して もその積み下ろしと運用予定地までの移動でそこそこに時間がかかります。こんど借りることになった建物はかつて漁民が逗留する施設であったのですが、最近は舟の機動性も高くなって非常時以外には使われていない建物です。すべてが揃って荷解きを開始したのはかれこれ現地時間で午後2時をまわっていたでしょうか。なにはともあれリグ類をセットし、シャックの形を整えます。そして今度はアンテナの設営となりました。  

一刻も早く電波を出したいのは誰しもですが、アンテナなくてはどうにもなりません。とりあえず最初は160-40m用の巨大なTitanex (ドイツ製のバーチカルでなんと全長27.5mにも及ぶ)、トライバンド用のForce12のC-3、日本から持参した4エレの6m用八木の3本から始めます。なにがなんでも日暮れまでにこれらのアンテナを設営して運用を開始したいと言うのが全員の気持ちですが、なんとしてもTitanex は大物でイージーにことを進めるとエレメントの破壊につながりかねません。
27mからのものを立ち上げるのがどんな具合かは立ち会った人でなければ想像つかないことでしょう。海岸にその場所を決めたまでは良いのですが、いかに12本ほどのステーをとるかで時間がどんどん過ぎていきます。結局エレメントを組み立てただけで、その引き起こしは明日と言うことになりました。

シャックが作られた「東沙漁民服務站」の前で記念撮影 (拡大写真)

C-3トライバンダーの建設(夕闇迫る)
■トライバンドと6mで運用開始

JAをにらむ6mの4エレ

C-3は見事に組みあがり、Low SWRも確認されてOK。一方、東京から持 参した6mバンドの4エレメントは苦もなく組みあがって、とりあえずは4バンドでのQRVが可能になりました。早速ポールが14MHzで運用を開始します。6mバンドについては当初予定がなかったものですが、プラタスからの運用が過去に少なかったこともあって、6mマンの希望が強く、JA1ELY草野さんのお骨折りでFOやA5で活躍した曰くつきのアンテナをお借りすることになったものです。ことさらに責任を感じます。

こちらはIC-706にセットしてオープニングに備えます。JAはなかなか入感しないものの、現地時間午後8時過ぎにはV73やVR2との交信に成功して一部の望みをつなぎます。はたして現地時間午後10時直前(日本時間では午後11時ごろ)突如JAが強力に入感します。最初の交信はJJ1NLR、以下JR2HCB、JF2KOZと1から6エリアまでおよそ1時間ほど200局近くとQSO成立!出だしは好調と見ました。
C-3と手前は6m帯用の4エレメント八木 ローバンド・シャックの模様
■タイタネックス登場
立ち上がったTianex(人の大きさと比べてください)大きなサイズでご覧になれます
さて2日目、懸案のTitanex が全員の協力のもとに見事にその雄姿をあらわ しました。実に見事です。南シナ海に映えた全長27mのバーチカルに今夜、明朝の活躍が期待されます。そしてもう1本のC-3も完成。これでマルチオペレーションが可能になりました。 それぞれのリグにバンドフィルタをかませて相互干渉を避けながら14-28のトライバンドでSSB、CWのサービスが開始されました。時間によって入感状況は変わるもののJAの信号はいつも強力です。やはり予想していたようにEU勢の要求はすざましいものがあります。

JAと違って、ルールもなにもありません。QSOをしている最中にも数局が重なって呼んでくる始末には往生しました。スプリットもなにも関係なく数十いや数百の信号が乱れ飛んできます。 もうすでにBV9をコンファームしている局でしょうか、160mバンドはいつか? と言う問い合わせもしきり、RTTYは出るのか?と言う催促も結構ありました。

3日目ともなるとWARCバンド用のアンテナも立ち上がり、いよいよマルチバンドの運用が可能になって、好調です。でも突然の天候悪化で強風が吹きまくり、あのタイタネックスが見るも無残に首をたれてしまいました。それでも なんとか1.8、3.5MHzバンドの運用が続きます。更には7MHz専用のバーチカルアンテナも完成して、ローバンドの並行運用も可能になりました。 4日目は144MHzバンドのスタックも完成し、こちらは台湾本土を睨んでいます。ただし、なかなかコンタクトがとれません。いよいよ今夜からウィークエンド決戦の始まりとあって一段と盛り上がります。

プラタスの運用は今回で確か4回目ですが、まだまだ需要が多く、特にコンディションの良い時はパイルアップの壁も厚く特定の1局を選ぶのが大苦労です。むしろコンディションが悪目の時のほうがとりやすいのは皮肉です。これと言うのも今回のDXペディションの機器類ははっきり言って1時代古い機械が多く、またフィルタなども装着されていないものがあって、お世辞にもDXペディション向きとは言えません。

最新のリグやリニアアンプを揃えた大型のDXペディションにくらべるとぐっと見劣りするのも仕方がありません。あとは熱意でカバーしています。リグ類とはFT-990 1台、IC-751A 1台、JST-245 1台、IC-706 2台、Tentec 1台、FT-847 1台、それにリニアアンプはTempo2002 1(14MHz専用)、IC-2KL 1台(7MHz専用)、ヘンリー500W 1台(1.9、3.5MHz用)の構成です。本来ならもっと新しい装備が必要ですが、台湾の関税事情を考えると容易に持込が許されないので難しいところです。
7kWの発動発電機 WARCバンドのアンテナ
■RTTYとPSK31の登場
ここでRTTYの登場となります。今回はブック型のPC(パソコン)にMMTTYを搭載 して臨みました。PSKの方はLoggerです。MMTTYは大変使いやすいソフトで、あらかじめマクロボタンにペディ用のメッセージを用意して運用しました。 相手コールさえ確認できれば、即応答ができるのですが、問題はMMTTYの自動追随同調(つまりマーク周波数の微妙なずれを感知して追いかける)がかえって仇になった部分があるのです。

1局、2局の時には強い方の信号を追いかけるのでOKですが、数局の強い信号が重なると、どの信号を追いかけたらよいものか迷うのです。結果として、なかなか一つの信号を確実にとらえることができないのです。わけてもヨーロッパ勢はルール無視で呼んできますから、せっかくある1局とコンタクトに入っても、次の瞬間別の強い信号がかぶさってきますから、肝心の局の信号がどこかに飛んでしまう結果となるのです。そこで

「Please gentlemen, let me hava a chance to work the station I picked up first, otherwise , all of you might loose chance to work me. Please be patient and please cooperate!」
(どうかみなさん、私が最初にピックアップした局と交信する機会を与えてください。さもないとみなさんも交信の機会が失われることになります。どうぞ辛抱してください。またご協力をお願いします)
と何度と訴えたことでしょう。でも一度として利いた試しがありません。

WARCバンドやトップバンドもさることながら、RTTYの需要もめざましいものがあって、多分400局以上はお応えした筈ですが、とてもそんなものではおさまりません。でもJAのおなじみ各局とはひととおり交信できたと考えます。ご協力ありがとうございました。残念ながらPCの不調(バッテリーの寿命?)で最後にUSAサービスを行っている途中あえなくダウンしてしまいました。今回交信を逃した方はぜひ又次のDXペディションにご期待ください。いよいよウィークエンドに突入、フィーバーも一段とたかまります。   (その3)へ

■JA1AYC、松本正雄さんの記事を本ページの右上[関連ページ]に掲げてあります。
併せてお読みください。ご感想はこちらにお寄せください。

 
 写真&文:JA1AYC 松本 正雄 (2001.03.19)

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